南コーカサスのアルメニア議会選で親欧米のパシニャン首相の与党「市民契約党」が過半数の議席を確保。親ロシア派野党に勝利し単独で政権を維持した。ロシアは経済的揺さぶりや偽情報流布などの工作を行ったが、大国の介入を選挙ではねのけた意義は大きい。
アルメニアがロシア離れを図る最大の要因は、旧ソ連時代から続くアゼルバイジャンとのナゴルノ・カラバフ紛争にある。
アルメニアは南コーカサスで唯一、ロシア主導の「集団安全保障条約機構(CSTO)」に加盟してはいるが、2020年と23年にアゼルバイジャンの全面攻撃を受けた際、CSTOは支援せず、アルメニアは実効支配を失った。
これを機に対ロ不信が高まり、アルメニアはCSTO参加を凍結し、事実上の脱退状態が続く。
プーチン大統領は議会選直前、「アルメニアはウクライナと同じ道を歩んでいる」と警告した。親欧米姿勢を攻撃理由とするような恫喝(どうかつ)は到底看過できない。
アルメニアはロシア主導の経済協力機構「ユーラシア経済同盟」に加盟するが、ロシアは「同盟か欧州連合(EU)かを選べ」と事実上の経済制裁で圧力をかけ、対抗してEUはアルメニアへの5千万ユーロの緊急支援を表明した。
この間、トランプ米政権の仲介でアルメニアとアゼルバイジャンとの和平交渉が本格化し、両国首脳は昨年8月、ワシントンで紛争終結の共同宣言に署名した。平和条約の締結には至っていないが、長年の敵対関係に終止符を打つ枠組みが整いつつある。
パシニャン氏は議会選後「アルメニアはロシアとEUの間で選択を迫られることはない」と、多角的な外交・貿易政策を進める方針を強調した。エネルギーや貿易などを巡りロシアへの依存度を低下させる宣言と読み取れる。
アルメニアの欧米接近はロシアの南コーカサスでの影響力低下につながる。ロシアは議会選翌日、衛生上の理由でアルメニアからの魚介類の輸入規制強化を警告した。ロシアは過去ジョージアにも経済制裁を科して親欧米政権を弱体化させており、主権国家への不当な圧力を認めてはならない。
日本政府は、自立を目指すアルメニアの歩みを積極的に支援すべきである。ロシアによる干渉を排するためにも、国際社会と協力して監視を強めたい。
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AA 6月18日21時58分
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ぶちお 6月18日21時28分
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