教員には何も知らされず進んだ「新事業」
しかし、この「研究者の獲得」について、東北大は教員たちに発表はしなかったという。結局、東北大に助成金が入るようになったのは2025年度から。海外の研究者獲得の取り組みを明らかにしたのは、2025年6月になってからだった。助成金を活用して「2029年度までの5年間で約500名の国際的トップレベル研究者を採用することを計画」していることを発表した。
また、海外からの研究者を受け入れるために、施設の整備も進められている。研究施設や住環境を整備するためにも、助成金の一部が使われている。ただ、研究者の獲得自体は、実際には苦労していると関係者が証言する。
「給与と研究費の合計を2000万円から1億円まで引き上げたものの、優秀な研究者の大量雇用はまだうまくいっていないようです。2025年9月の時点では、国際卓越研究者71名、次世代研究者15名の計86名を承認し、契約手続きを完了したのは48人と説明していましたが、専任教員として受け入れた国際卓越研究者は10人程度のようです。ただ、一般の教員に対しては、は誰を獲得したのか、名前も知らされていません」
前述した冨永総長の2026年の年頭所感には「100名を超える国際卓越研究者」を採用したとあるが、現場からするとその実態はよく分からないのだという。一方で、2025年秋以降、国際卓越研究大学の事業は一時停止され、海外研究者の採用にもストップがかかっているのだ。
筆者は東北大に対して2026年5月に質問状を送った。まず、「財務がショートしていると学内の教職員に説明し、国際卓越研究大学に関する事業がストップしているのは事実かどうか」。また、大学ファンドの運用益から2025年度に154億円、2026年度に169億円が交付され、人事院勧告による賃上げ分は補正予算に組み入れられたにもかかわらず、財務が「ショート」している理由を質した。東北大からは、設定した回答期限を過ぎても回答はなかった。
東北大はどのようにして海外研究者を雇用しようとして、一時停止する状況に陥ったのか。また、国際卓越研究大学の事業として進めていたものの、一時停止している事業は他にもあるのだろうか。
後編記事『巨額の税金を原資とする事業なのに、明確な説明ナシ…東北大学の教員たちが怒りの声を上げる「納得の理由」』でも、東北大の内部で何が起きているのかを、複数の関係者の証言から探る。