「フードコートの安いラーメン屋」という誤解
本題に入る前に、世間のイメージを一つだけ修正しておきたい。
スガキヤは、フードコートの安いラーメン屋ではない。正確には、ラーメンチェーンも運営している食品メーカーである。
スガキコグループは、店舗を運営する「スガキコシステムズ」と、麺やスープを製造する「寿がきや食品」という、役割の異なる二つの事業会社で成り立っている。「寿がきや食品」の売上高は、2024年度で約201億円。一方、店舗を運営する「スガキコシステムズ」は、採用情報などから約120億円規模とみられる。グループ売上のおよそ3分の2を、全国のスーパーやコンビニに並ぶ即席麺・チルド麺の製造販売が稼ぎ出している。
この垂直統合は、スガキヤの低価格の源泉でもある。自社工場で麺やスープをまとめて作り、自前の配送網で店舗へ運ぶ。製造から販売までを一気通貫で担う「製造小売(SPA)」のモデルを、半世紀も前から飲食業で確立していた。ユニクロやニトリの名が知られるよりずっと前から、スガキヤは同じ仕組みを回していたわけだ。中間マージンを排除できるからこそ、ワンコインのラーメンが成立する。
つまり、私たちがフードコートで見ているスガキヤは、氷山の一角にすぎない。この二面性が、後の財務分析で効いてくる。ここではそう指摘するにとどめておく。
もっとも、東海地方での存在感は、冒頭で見たとおり圧倒的だ。「安い」「早い」「子連れで行ける」「デザートがある」という四拍子が揃った結果、スガキヤは名古屋人の生活動線にそのまま埋め込まれた。フードコートの原風景と言ってもいい。