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夜中の深淵と朝日の愛慕。/Novel by しいな

夜中の深淵と朝日の愛慕。

4,134 character(s)8 mins

篤寛。日車は呪術師。交際同棲済み。
篤也が完全にヤンデレ化したので、最初ちょっと重め。ウルトラハッピーエンドにしました。

注意
篤也は日車のことを愛を込めて「ひろ」と呼んでいます。
篤也がよわよわです。

補足

日車も、篤也が死んだら後追いしてもいいと思っています。躊躇いもなく篤也の愛刀でぶすりと。でも、日車は、タイミングが悪いと思って言葉にはしてません。気持ちは一緒。

心地よい沼ですね。

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こんなん俺じゃない。ちくちょう、泣きそうだ。
束縛したくないのに。アンタは自由にさせたいのにこんな、こんな俺に縛られていいはずないんだ。
アンタが弱ってたのはほんのひと時で、俺はもう必要ないのに、アンタは真面目で優しいから…。俺のお節介も干渉も受け入れてくれる。もう、寛見は1人で過ごすこともできる。でも、もう離れたくないんだ。離れられないんだ。自分勝手に生きているのに、他者に対してここまで干渉するなんて俺じゃない…。好きだ。好きすぎるんだ。ずっとそばにいてほしい。寛見、ひろみ。ひろ。好きだ。お前がそばにいてくれないと落ち着かないんだ。ずっと寛見だけを見て、ずっと俺だけを見ていて欲しいこんなドロドロした独占欲なんて今まで感じた事もない。お前だけなんだ。こんなん本来の俺じゃないんだ。大切にしたいのに。尊重したいのに。ひろ…悪い。俺が悪いんだ。でももう手放せない。ごめんな。好きだ。ごめんな。

26時、
俺は隣で眠るひろみの手を握りながら、自問自答と謝罪を心の中で繰り返していた。

このままでは、いけない。甘やかしてると言いつつ、甘やかされてるのは俺だ。情けない。やっぱり涙が出てきた。30代後半も過ぎたオッサンがよ。ばかじゃねぇの。ばかだよ。くそ。つれぇ。好き過ぎるとこうなるなんて知らなかった。この家から一歩も出したくねぇ。ずっと俺の見えるところにいてほしい。やっぱり結婚して、いや、養子縁組で、戸籍にいれて、俺に縛り付けたい。流石に嫌がるかな。きっとコイツは真面目に手続きを考えてくれそうだが、違うんだ。俺だけのものにしたい。誰にも見せたくない。ずっと囲っておきたい。そんなこと言えねぇよな。望んでるが、望んでない。だめだ。今夜は。良くない考えしか出ない。同じ思考がぐるぐる回る。気持ち悪い。あー情けない。整理つかない。つれぇ。ほんとごめんな。ひろ。…ひろ。愛してる。涙も止まらないし。なんだこの感情は。

「ぅっ…ふ……うぅ…ひろ……はぁ……」

掴んでいた手にそっと力をこめる。
最近この感情が重くなってきてる。
生徒の前で醜態も晒した。妙に後悔してないのが、さらにだめだ。反省できない。ひろに迷惑かけた。でも俺とひろの出来事は他に知られたくない。2人だけのものにしたいんだ。あー終わってる。結局見られてんのによ。ばかかよ。くそ。くそ。うまくいかない。こんなに好きなのに。他の奴らが邪魔…っと危険だ。学長代理なのに教師なのに呪詛師みたいな考えしてると本当に飲み込まれてしまう。だめだ。落ちてはだめだ。そうだ、学長代理なんだからいくらでも融通きかせたらいい。ひろを俺の秘書にしてずっと同行してもらおうか。…いや、それは望まないか。コイツは有能。コイツ強い。他の奴らとも交流が取れてきてるのに。囲ってはかわいそうだ。こっちに引き入れたのは総監部の末端の俺。責任がある。そう。責任あったのに、なんだこの体たらくは。懇ろにまでなって。だらしない。一教師としての矜持はどこいった。組織にいるんだから、他人からコイツを見られ無い様にするなんて無理だ。あーだめだだめだ。このままじゃこいつを殺して、俺も死にそうだ。このかわいい寝顔のまま殺したら、その表情のまま死ねるかな。それがしあわ…だめだだめだ。今夜は悪い思考しかしない。起こすか。かわいそうだけど。1人で整理できない。せっかく寝れたのに。ごめん、ごめんな。

「ひろ。……おきてくれ……ひろみ。」


名前を呼ばれた気がしてなんとなく覚醒する。
肩も優しくトントン叩かれている…?この大きく安心する手はあつやか…でもなんだかいつもより冷えている気がする。
眠気まなこで目を開けると、…あつや?

「あつ や?あつや。泣いているのか?」
「ひろ、ごめんな。ごめん…。」
「泣いてるな…?どうしたんだ。誰があつやを泣かせたんだ…。」
「…おれ。」
「俺のあつやを泣かせるなんて、叱ってやんないとな…。」
「叱ってくれ…。本当もうだめなんだ。」
「とっておきを教えてやろう。あつやにおそわったんだが、心音をきくと落ち着くんだ。ほら、どうだ?」

なんだか眠くて良くわからないが、あつやが泣いてるから頭を抱きしめてやった。
こうすると、だんだん眠くなる。
あつやも俺のしんおんきいてねたらい…い………。


朝になって起きたら篤也に腕枕をしていた。腕の感覚が、無い。きっと痺れている。

「篤也、朝だ。起きよう。」
「…はよ。」
「おはよう。顔をあげてくれ。腕が痺れてしまった。」
「ん。」

もぞっと、篤也の頭がさらに下に潜った。
上げてと言ったのに。う。きた!あー腕が!しびれっ!

「…ひろみ、夜中起こして悪かった。」
「っ、そうだった、か?確かにそんな気が?それで腕枕したん。だな。君にされる事は、っ、あっても、俺の腕枕はめずら、しいな。」
「痺れてんの?」
「大丈夫っだ。じきおさまる。」
「ふ、ほんとアンタは…。はぁ〜あ。やっぱり好きだなぁ。」
「?なんか変だな。あつや。顔見せろ。」

痺れて無い方の手で顎をすくったら、目が!腫れてる…!!というかなんか潤んでる?涙が、あっ、溢れ…

「どどうした!泣いてるじゃないか!誰かにいじめられたか?!」
「はは、夜中と同じこと言ってる。ふ、う、ごめ。とまんね。」

こんな弱ってるあつやを見るのは初めてだ。思わず抱きしめる。

「どうして泣いているんだ。誰のせいだ?」
「おれ。」
「???」
「叱ってくれ。」
「叱られたいのか?」
「うん。」
「こらー。…どうだ?」
「…足りない。」
「足りないか。あつやを叱る要因が俺には無いからな。叱られたい理由は言えるか?」
「……言えない。嫌われる。」
「嫌わない。」
「幻滅する。」
「しない。」
「…俺のアンタに対しての重い気持ち知っても、アンタは優しいから受け入れてくれるけど、俺が、嫌なんだ。」

あつやが、腹の方で俺の服を掴む。

「…重い、か。重いって、想うと似てないか?」
「は?」
「“重さ”と、相手を想うの“想い”、だ。きっと君は想いが強いから重くなるんじゃないか?愛情深いんだ。それって悪いことでは無いだろう。」
「…。それでひろに嫌われたら、俺は死にたくなる。」
「じゃあ、俺が死んだらどうなるんだ?後追いするか?」
「やめてくれ。もう、俺は大事な人を失いたく無い。ひろ、愛してる。アンタが死んだら俺は生きる意味がない。首掻っ切って死ぬ。」
「俺を失いたくないんだな。なら、あつやは生きるしかないな。」
「…?」
「そうだろう。他に誰が俺を甘やかして、死んでも守ってくれるんだ?」
「俺以外は嫌だ。」
「じゃあ頑張ってくれ。一緒に生きよう。」
「…わかった。ひろ。アンタと一緒にいさせてくれ。」
「もちろんだ。あつや。」

ぎゅっとお互い強く抱きしめた。
苦し。さすがだ。


涙が落ち着いたあつやの顔を拭き、手を引いてリビングのソファに座らせた。
どうやら眠りが浅そうだ。目が腫れているのにクマがある。今日はお互い仕事だ。どっかで仮眠取れたらいいが。
冷凍庫から保冷剤を持ってきて、薄いハンカチで包んで目元を冷やす。少しでも腫れを引かせてあげたい。あつやが保冷剤を受け取ったので、自分でやってもらうことにした。
ちらりと時計を見る。まだ、時間あるな。
リビングの棚から小箱を取り出す。

「あつや、少し見てくれないか。」
「ん、…なに?」
「ペアのネックレスだ。」
「は……。」
「君を不安にさせて悪かった。これで安心できるだろうか?」
「は、え、アンタ、準備して、たの?」
「君と俺とでは指輪よりこっちの方が良いかと思ってな。俺もペアの物を買うのは初めてだ。」
「ひろ…。」
「シンプルなデザインを選んだ。元々アクセサリーしないからな俺たちは。同じデザインにした。ここのプレートは元々一つだったものを切り分けたものだ。見てくれ。」

2つの箱のうち一つを蓋を取り、あつやに手渡した。
ネックレスはプラチナのチェーンの一部にプレートがついている。篤也は震える手で取り上げ、眺める。
プレートに小さく埋め込まれたダイヤが朝日を浴びてキラキラと光を反射していた。光が、部屋の中に散らばる。

「あつや…受取ってくれるか?」
「〜〜〜っ!」

あつやが、丁寧にネックレスを箱に戻し、向かい合い俺の両手を握った。あ、涙が、また溢れてる。

「ひろ。ありがとう。これも、お前も、大事にする。愛してる。」
「…また、目が腫れてしまうな。俺も愛してるよ。あつや。」

篤也の手を握ったまま、その額にキスをした。


「…これはプレートの所に文字の刻印もできたが、なんて書いていいか分からず、そのままにしてもらった。後からでも可能らしいから今度一緒に注文しに行かないか?これでは、どちらのか分からない。」

お互いに付け合い、あつやのネックレスに触れながら話す。
まだあつやの涙は引かない。こんなに泣くんだな君は。
まったく。泣いていても男前だな。

「ふ、う、なんだろう。はあ、すごい、安心する。もう外さない。」
「いや、刻印する時は外してくれ。」
「はあ、うン、刻印ね、オッサン2人で何書くんだ。これがいい。」
「まぁ…俺も思いつかないし、君がいいなら、俺もいい。…あつや、今日はサングラスしてったらどうだ。目、もう腫れしばらく引かないんじゃないか。それ。」
「…ん、目じんじんするな。そうする。」
「よし、でかける準備をしよう。」

立ちあがろうとすると、あつやが俺の腕を掴む。

「…ひろみ、迷惑かけてごめんな。もう大丈夫だ。
なんならもう俺らの関係を高専のやつらに話してもいい。何かあった時、理解しててほしい。」
「そうか。そうだな。君に死んでも守ってもらわないといけない。」
「本心だけど、…アンタも擦りますね。ふー、でも後日な。目がこれじゃ、痴情のもつれ過ぎる…。」

ははっ、ほんとだな!と笑った。


俺たちのネックレスを見て、星が秤にペアアクセサリーをねだるのはまた別の話。


Comments

  • 小夜双☆スカィWeb
    May 29th
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