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[篤寛]居酒屋あつや。・21[現パロ]/Novel by narrプロフ必読1\1加筆。

[篤寛]居酒屋あつや。・21[現パロ]

1,874 character(s)3 mins

2024/09/19:推敲済。

推敲は後日致します。
恋愛色強めかな?
穴子の旬は過ぎましたが。

長々と続くこちらのシリーズを読んでくださりありがとうございます(^人^)更にコメントやスタンプ、いいねやブクマは書く上で燃料となります。重ねてありがとうございますm(_ _)m!

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「清水、もう帰って良いぞ」
「ありがとうございます〜。…今回連勤徹夜新記録出ましたかぁ……?」
「いや。一年と半年前の弁護よりは短いな」
「…なんで日車さんこんなのばかり選んで来るんですか……!」
「帰るか」
「聞いてます〜?!」

 今回の弁護では検察側からの証拠が次々と出てきた。被告を弁護する側である私と清水も、被告と面会を重ね足跡を再び洗い直し、検察側の主張をひっくり返す弁護を続けてきた。この裁判で白髪が一気に増えて顔も浮腫んだ気がする二審の裁判官は、一応の無罪と判決を下した。
 一区切りついた安堵のため息を吐くが、控訴される可能性は十分ある。これもいつも通りだ。まだまだ気は抜けない。
 その為の下準備を進めてきてまた一つの区切りが漸くついた。後は最高裁を迎えるのみだ。

「これからどこか飲みに行くのか?」
「流石に家に帰って寝ますよ! あ〜……糠床大丈夫かな〜」
「…。きゅうりがいい」
「因みに見返りは?」
「この間君が欲しいと言っていた酒を取り寄せたんだが……」
「乗った!」


 そんなこんなで久方ぶりの我が家だが、早々後悔した。例の店の料理とキンキンに冷えたビールが飲みたい。

(今から行くか?)

 あの店に今から行ったら確実に寝落ちすることを分かりつつも、冷蔵室にも冷凍室にも酒以外入っていない。恋人、おそらく……、から貰った料理もストックもとうに尽きている。なのに腹は美味い酒と料理が欲しいと不服を垂れていた。結局考えるべくもなく、例の店に行く為再度靴を履いたのだった。


「…らっしゃいませ〜」
「日下部」
「おお、久しぶりだな! こっちこっち!」

 いつものようにカウンターに案内された日車は、椅子に座った瞬間安心感で酒が入ってもいないのにそのまま寝落ちしそうだった。
しかし何も食べてない飲んでないのに寝るのは忍びない。

「今夜は十五夜だそうだ」
「へぇ。んじゃ後で裏行って縁側で月見酒でもするか?」
「フフ、それは良いな」
「ところで……随分とお疲れだな?」
「まあ、仕事で少しな」
「なるほどね。まぁなんだ。食べて飲んで少しくらい忘れても良いだろ。月見酒は穴子の天ぷらと七海の土産の酒で良いか?」
「それは良いな」
「んで、肝心の夕飯はどうする?」

 それに日車は少し考えてから、「お勧めはあるか?」と聞くが、ふと日下部が労るように日車の頬に触れようとした。日車がパチリと瞬きすると、お互い照れが勝ってそれ以上には及ばない。そもそもここは店内という公共の場だ。
 日下部が慌てて手を引いて耳の先が赤く染まった顔を逸らし、日車がモゾモゾ居住いを正すと、もごりと日下部が「今夜泊まってく?」と聞く。
 日車は勿論「泊まる」と答えたのだった。


 日下部が厨房へ行って戻り、取り敢えず、と出した茄子の煮浸しは、暫く碌なものを食べていなかった日車の口を喜ばせ、胃に優しかった。次に出てきた厚揚げの甘酢餡かけも、とろりとした甘酢餡が食欲を更に増進させる。無論豆腐屋の厚揚げは美味い。
 全て平らげキンキンに冷えたビールを流し込んで、はー、と一息吐く。
 すると、戻ってきた日下部が「あいよ」と今夜の定食を出した。ゴマ鯖の糀漬けにとうもろこしご飯、豆腐とえのきの味噌汁といった具合だった。
 ゴマ鯖は脂がのっていて糀のこっくりとした甘味がクセになりそうで、とうもろこしご飯は仄甘くいくらでもおかわり出来そうだ。豆腐とえのきの味噌汁が胃に優しく落ちていき、キンキンのビールで冷えてしまった胃がほんのり温まる。
 日車がほぅ、と一つ息を吐くと、店を伺いながらもずっと目の前にいた日下部が、「少しはマシな顔になったな」と微笑んだ。日車もこの後裏へ回って月見酒を楽しみに、夕食を終え日下部に向かって誰にも見せない無防備な顔を晒した。
 慌てたのは日下部だった。自分の手でその無防備な顔を覆い、こちらを物珍しげに、というよりも微笑ましげな顔を向ける常連客から隠す。
 日下部はふと、微動だにしない日車に気づき覆っていた手をどかした。すると、日車は真っ赤な顔で日下部の分厚く温かい手を手繰り寄せ、自分から日下部のその分厚く程よく温かい手で顔を覆い隠した。

「……すまん…………」
「いや、なんつうか、その、あ〜〜〜……!!!」

 今夜は夏の夜空の下縁側でひんやりと冷えた白ワインで穴子の天ぷらを食べながらゆっくりと月見酒を楽しむつもりが、その前にとんでもないハプニングに出くわしてしまった自業自得の二人であった。

Comments

  • 小夜双☆スカィWeb
    September 17, 2024
  • shida
    September 17, 2024
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