[篤寛]居酒屋あつや。・20[現パロ]
2024/08/03:誤字脱字推敲修正済。
二次創作BLCPものです!
食べて呑んでおしゃべりするだけ〜。
誤字脱字推敲は後日致しますm(_ _)m
いつもコメントやスタンプ、いいねやブクマをありがとうございます^_^
何より貴重な時間を割いて読んでくださり感謝しかありません。
これはなんか最終回が書いてる側が飽きた時くらいしか分からんですね。それでよろしければ今後とも飽きるまでお付き合いくださると嬉しいです。
諸々、重ねてありがとうございますm(_ _)m
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今日も散々だった。
ビールも良いが気分転換に冷えた日本酒でも呑みたい。
この間の天ぷらは素麺で食べたが、今度はそばで食べたい。
きっともっと美味いことだろう。
そういえば鰻を何年か食べていない。
食べるのだったらやはり鰻屋が良い。
あわよくば篤也さんを誘って一緒に食べに行きたい。
更に鰻を美味しく感じることだろう。
そんなことを思いながら歩いていたら、いつのまにかいつもの店に着いていたのだった。
暖簾をくぐればらっしゃ〜いというやる気があるのかないのか分からぬ声がした。
しかし日車の顔を認識した途端店主である日下部はパッと笑顔になり、日車をいつもの席へと誘導する。
他の客はそれを優しく温かい目で見ていた。
日車としては些かこそばゆいが、それも日下部の笑顔を見れば吹き飛んだ。
外と違い店の中はエアコンが効いていて涼しい。
(日本酒の前にビールだな)
思った途端キンキンに冷えたビールとお通しが出された。
トマトとモッツアレラチーズのサラダである。
蒸し蒸しと暑い季節にはぴったりだ。
(この店は何でも出てくるな……)
「どうだい? 美味いか?」
「ああ。冷えたトマトにまろやかなチーズ、それに冷えたビールがうだった身体にちょうどいい」
「そうか。そりゃ良かった。それで、今日は何にする?」
「あ、と……。それはそうと、その、だな、今度鰻を食べに行かないか?」
「へぇ? デートのお誘いってわけか」
「デ……! そ、そう……か……そう……なるのか……」
日車は目を見開いた後、自分の顔に火がついたように熱くなったのを感じ、それを隠すために俯いた。
一方の日下部も日下部で、自分が言ったことに日車の赤く染まった顔を見てゆるんでしまう口元を、手で押さえている。
それをずっと見ていた他の客からは若いって良いわねぇなどと言いながら会計をお願いするおばあちゃんまでいた。
(失態をおかしたな)
誘うならば昼間家に行くか電話で済ませば良かったと日車は今度は首まで真っ赤にして俯いた。
しかし、日下部の緩んだ目元と口元を見てその思いも吹っ飛ぶ。
日車も熱が冷めると、ゆるむ口元をごまかす為にトマトとチーズを口に入れて咀嚼した。
そして少し考えた後、今夜食べたいものが浮かぶ。
「天ぷら蕎麦も捨て難いのだが……少し辛いものが食べたい」
「辛いもの? う〜ん。…じゃあ、麻婆豆腐なんてどうだ?」
「! 良いな」
「なら、麻婆豆腐な。それと〜……その手に下げてんの酒だろ? 冷やすか?」
「頼む」
「ほいよ」
まだひんやりと冷えているビールをトマトとチーズで食べ終わる頃、今度はホタルイカが出てきた。
入りはイタリアンだっだが本当になんでも出てくる。
「ほい、冷酒」
「もうホタルイカが出てるんだな」
「ああ、お前さんも行ったことのある魚屋で見かけてな。ほくほくしながら買った。因みに今夜の俺の晩酌のお供もここれ」
ニンマリ笑う日下部に、日車はドギマギして視線をそれ以上合わせることができなかった。
日下部もそれを見てあーだのうーだの言っている。
それほど照れる場面でもないのだが、コソコソ話する仲というのはやはり格別なもので、しかも名前呼びタメ口を初めてからのそれは破壊力がでかい。
日車は誤魔化すためにホタルイカを食べ、そこに冷酒を呑んで考えることを一旦お持ち帰りすることにして応える。
「良い塩梅だ」
「ん、そりゃ良かった。んじゃ、もうちょっとだから待っててくれ。ああ、餃子付けるか?」
「…お土産は……」
「しゃあねぇなぁ。あんたなら良いさ」
そう言った日下部は首まで真っ赤になっている。
それに釣られて日車も顔に熱が溜まった。
その後は誤魔化すように冷酒とホタルイカを交互に口に入れて、麻婆豆腐が来るのを待った。
ちょうどホタルイカを食べ終わった頃、麻婆豆腐が来た。
汁物は味噌汁ではなくトマトと卵のスープである。
いただきますの挨拶を改めてしてから、赤と黄色の脂が浮いた麻婆豆腐を一口食べると、山椒と唐辛子がピリリと効いてご飯が欲しくなった。
ご飯をかき込むと、また麻婆豆腐を一口、そしてまたご飯わ食べの繰り返しをする。
この麻婆豆腐とご飯の組み合わせは、酒を飲むのを忘れるほどのものだ。
ネクタイを緩めてほうっと息をつくと、トマトと卵のスープを一口飲む。
トマトの酸味と甘味が口の中をさっぱりとさせて、卵がその後でまろやかにしてくれ、また麻婆豆腐とご飯を食べる準備が出来た。
その繰り返しをするうちに、いつの間にかぺろっと食べ終えてしまう。
日車がふと視線を上げれば日下部がにこにこしながら見ていた。
「餃子、揚げたのもあんだよなぁ」
その一言にごくりと喉を鳴らす。
しかし、腹を撫でてから中々にくちいことが分かった。
「…。すまない……お土産で……」
まことに口惜しいが、好きな人に見られたくない身体にはなりたくない。
無論病気も勘弁願いたい。
「果物くらいは食えそう?」
「食べる」
「そうこなくっちゃ!」
日下部が嬉々として奥へと引っ込んでいくのを見ながら、今夜ももう酒はいいなと思ったらいつの間にか空にしている。
麻婆豆腐恐るべし。
小皿に切った果物を乗せてきた日下部が、ことんとそれを日車の目の前に置く。
「もう梨が出ているのか」
「これは夏油からの貰いもん。五条とロケで行ってそこの土地の年配の方から貰ったらしいんだわ。これ食わすのはお前さんだけだよ」
日下部のいきなりの低音での囁きを耳元で受けた日車は、慌てて梨に齧り付く。
じゅわりと口内に入ってくる優しい甘さが身体の熱を幾分か発散してくれた。
「君は、時々意地悪だ」
「手を替え品を替えないと逃げるだろ?」
「〜〜〜! 君は……、…篤也さんのいけず」
「ハハ! あんたに言われるのは中々クるねぇ。…さて、お土産お土産っと」
日下部が奥へと消えると、日車は再び湯だった脳をどうしようかと、まだ残っていた梨にしゃくりと齧り付くのだった。
それと、餃子はなんと12個もあり、その半分は新作の揚げ餃子で、後日日車は牛乳を飲んでから美味しくいただいた。
そんな、ある初夏のこと。