服薬と認知行動療法による変化
「落ち着きがない、気に食わないことがあるとすぐに暴れる(=多動)」ことのほうが目立っていたため、この症状をメインに上司に相談していたのですが、この多動傾向は服薬開始とともにかなり収まりました。その反面で、もう1つの傾向――こだわりの強さ、コミュニケーションの難しさ(自閉スペクトラム症)がクローズアップされてきました。
そこで、ASDの特性に合わせた「認知行動療法」もスタートしました。認知行動療法とは、「〇〇したら即ほめる」「△△できたらごほうびを与える」という手法で、望ましい行動を強化する効果があります。まずは、学校の先生の協力を仰ぎながら、できることから1つずつ進めました。たとえば、45分授業の間じっと座っていられたら、シールを時間割表に1枚貼り、そのシールを1週間分集められるとごほうびをもらえるという仕組み(トークン・エコノミー法)を実践しました。
シールという目に見える形で成果が集積されていくのが、タロウにとってわかりやすかったようで(服薬の効果と合わせて)効果てきめん、授業中もじっと座っていられるようになりました。シールがよかったり、花丸がよかったり、ごほうびを与える頻度も1日あるいは1週間に1つだったりと、子どもによって異なりますが、その子に合ったやり方で進められる認知行動療法はおすすめです。
環境調整については、ほかに次のようなことを実践しました。
◎ 視覚化
次に何をするのかわからないと不安になるので、スケジュールを目に見える形で、教室の机の上に貼ることにしました。朝8時からホームルーム、1時間目は算数(かけ算)、2時間目は音楽(合唱など)、3時間目は体育(ドッジボール)など。それまでは、授業中でもたびたび席を立って教室の壁の時間割表を見にいっていましたが、机に貼ることでおさまりました。
◎ 構造化
ノートや文房具などの色を教科ごとに区別して、パッと見でわかるようにしました。たとえば、国語が青い教科書なら青いノートや青いフォルダを用意して、同じ色でまとめるのです。すると、ぐちゃぐちゃだった机がかなり整理され、本人の混乱もおさまりました。
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