本文へスキップ

「国民の教育を受ける権利」の保障に貢献する
日本教育法学会

声明


2026年6月18日 日本教育法学会会長声明


5月22日文部科学省見解に対する声明

2026 年 6 月 18 日
日本教育法学会
会長 丹羽 徹

 2026年4月、文部科学省は同志社国際高校に対して辺野古沖で起きた転覆事故に関する立ち入り調査を行い、5月22日に「同志社国際高等学校の研修旅行等について(これまでの把握事項と文部科学省の見解)」(以下、「見解」と略す。)を公表した。「見解」は、同志社国際高等学校の研修旅行中の教育活動が「政治的活動を禁じる教育基本法第14条第2項に反するものであったと考えられ、是正を図る必要がある」と述べている。さらに、松本洋平文部科学大臣は同日の会見において、同校に対して改善状況等の報告と是正を求める指導通知を発出したことを明らかにした。
 生徒の生命の安全配慮義務における重大な過失が生じた事実については、同校と関係機関・団体はこれを真摯に受け止め、徹底した原因究明と再発防止策を講じる必要がある。
 しかしながら、文部科学大臣が個別の学校の教育内容に関する調査を行い、「教育基本法第14条第2項の違反」を「認定」したことには、教育法学の観点からは看過できない問題がある。

1. 文部科学省は特定の教育活動に関する監督権を持たない
 文部科学省には、学校の特定の教育活動について調査する法的権限はない。私立学校については、私立学校法は文部科学省を学校法人の所轄庁と定めているが、その権限は学校法人の組織、財政への監督に限られている。今回の調査と特定の学校の教育内容に対する適否の判断、および学校法人等に対する命令・是正指導はいかなる法的根拠に基づくのか、文部科学省が明らかにすることができないのもそのためだろう。

2. 教育基本法の趣旨をゆがめている
 教育本法第14条第2項は、学校教育の目的である子どもの人権を保障するために、第1項の政治教育の振興・尊重を踏まえて、政治教育を行う際の留意事項を示したものである。文言から明らかなように、同項の禁止する政治教育・政治的活動は、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための」政治教育・政治的活動と狭く限定されている。
 ところが、文部科学省「見解」は、「政治的中立性の確保」がされていないことを理由に、同志社国際高等学校の教育活動を「教育基本法第14条第2項の違反」であると断じている。教育基本法第14条第2項の趣旨をはき違えていると言わなければならない。

3. 教育への「不当な支配」である
 旭川学テ最高裁判決(1976年)は、日本国憲法第26条・第13条に基づき、「子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げる」ことのないよう、教育内容に対する国家的介入はできるだけ抑制的でなければならないと判示した。教育基本法第16条第1項も、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と定め、政治権力による教育への不当な介入を厳格に禁止している。
 個別の学校の教育内容の是正を求める文部科学省の行為は、憲法に抵触し、教育基本法が禁止する「不当な支配」にあたると言わなければならない。

 以上から、文部科学省による教育基本法第14条第2項への違反を理由とした是正の指示は誤りであり、この指示および「見解」の撤回を求める。

以上

  *PDFファイルは、こちらをご覧ください

過去の声明


※クリックすると声明文をご覧いただけます。
年月日 日本教育法学会会長声明
2025年5月30日 「日本学術会議法案の修正または廃案を求める声明」
2023年2月15日 日本学術会議が発出した声明「内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』について 再考を求めます」に賛同します。
2020年10月17日 「日本学術会議会員候補者任命拒否問題に関する会長声明」
2014年5月11日 「地方教育行政法・学校教育法・国立大学法人法の改正案の撤回・廃案を求める声明」

日本教育法学会事務局

〒060-0811
札幌市北区北11条西7丁目
北海道大学大学院教育学研究院
光本滋研究室気付
TEL 011-706-3186
メール
 education_law_kあっと
        yahoo.co.jp

*あっとを@に変換してください。
*迷惑メール防止措置です。

newpage2.htmlへのリンク