医療機関が健康診断で肺に異常を見つけたのに「異常なし」と誤通知したことで、肺がんが進行したとして、大阪府の女性が医療機関側に4000万円超の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、大阪高裁であった。西村欣也裁判長は440万円の支払いを命じた1審大阪地裁判決を変更し、賠償額を約2220万円に増額した。
判決によると、平成28年の健診の胸部X線検査で、担当医師が当初「異常なし(A)」とした判定を「要経過観察(C)」に変更。だがシステム上の問題で結果通知書に反映されないまま、当時50歳の女性に届けられた。女性は治療のきっかけを逃し、約1年後、ステージ3まで進行した肺がんが見つかった。
1.2審がともに正しい健診結果の報告を義務とした中で、判断を分けたのは、誤通知されなければ、女性が再発や転移を繰り返すような症状には至らなかったといえるか否かの認定だった。医療訴訟で因果関係があったというには「80%程度確か」という水準の立証が求められるとされ、1審は水準に達しないとして慰謝料のみを認めた。
一方で高裁判決は、複数の研究報告の内容を吟味し、健診当時の女性のがんのステージであれば、手術を受けてから5年間の無再発率は80%を超えると指摘。正しい通知を受けていれば手術を受けることができ、少なくとも5年間は悪化を避けられたと判断し、慰謝料に加え、治療費などを含めて賠償を命じた。
医療訴訟の立証ハードルの高さは患者救済を難しくしているとされる。女性の代理人弁護士の須藤隆二弁護士は「期間を5年と区切ることで因果関係を立証しやすくし、以降の再発リスクは損害額で調整した。患者を救済する上で『あるべき判断』だ」と評価した。
医療機関側は取材に「対応できる者がいない」とした。(西山瑞穂)