ウクライナ侵攻から4年 避難生活を送る子どもたちの居場所作り 元高校教師が新たな支援活動へ

2026年6月17日 18:35
ロシアによる軍事侵攻で、避難が長期化しているウクライナの子どもたちを支えていきたい。愛知県に住む元高校教師の男性が中心となり、新たな支援活動が始まりました。

久田光政さん

 この戦いは、一体いつまで続くのか。

 ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、国内外への避難も長期化しています。

 こうした中――。

 ウクライナの隣国、ポーランド。

 戦禍を逃れて暮らす人々の支援に訪れたのは、愛知県瀬戸市に住む、久田光政さんです。

 「今苦しんでる子たち、とりわけ戦争で苦しむ人たちに対して、アプローチを30年間の経験を少しでも活かしてやっていきたい」(久田光政さん・70歳)
 

久田さんが大切にしてきたのは、子どもたちに寄り添った心のケア

子どもたちに寄り添った心のケアを大切に
 かつて国語の教師として、名古屋の東海高校で教壇に立っていた久田さん。

 約30年間、国内・海外を問わず地震や津波で被災した人たちなどの支援を続けてきました。

 中でも大切にしてきたのは、子どもたちに寄り添った、心のケア。

 「目の前で人が亡くなっていくところを、見てしまった子どもたちのメンタルは非常に関心がある」(久田さん)

 国連の調査では、4年前から始まったロシアの侵攻により、ウクライナでは3500人を超える子どもが亡くなったり、けがをしたりしています。

 そして、ユニセフによると、18歳未満のこどもは全体の3分の1以上にあたる、約260万人が国内外に避難しています。
 

言葉の壁を少しでも乗り越えて、子どもたちとの距離を縮めたい

距離を縮めるため「ウクライナ語」を学ぶ
 5月、名古屋市内の大学には、ウクライナ語を学ぶ久田さんの姿がありました。

 「ウクライナで活動をするなら、少しくらい文字を読めなきゃダメでしょと思う」(久田さん)

 言葉の壁を少しでも乗り越えて、子どもたちとの距離を縮めたい。

 その思いは、講師を務めるウクライナ出身のテチヤナさんにも伝わりました。

 「ウクライナの子どもたちは、みんな日本が好きです。だからこそ一緒に遊んだり、話を聞いたりするのがうれしいかと思います。わざわざ来てくれるのも、手伝ってくれること自体がとても大切です。本当にありがとうございます」(名古屋外国語大学 ウクライナ語講座 テチヤナ・サイエンコ講師)
 

久田さんが向かったのはポーランドの「キエルツェ」

「非常に不思議な気分」
 そして――。

 6月2日、久田さんが、支援活動を一緒に行う英語講師とともに向かったのは、ポーランドの「キエルツェ」。

 ウクライナからの避難者が来ている街の1つです。

 「非常に不思議な気分になって。全く戦争の雰囲気なんてみじんもないが、数百キロ離れた先では、人が人でなくなっている。殺し合いをしている」(久田さん)
 

書道で子どもたちと交流

日本の文化が、交流のきっかけに
 初めて訪れた異国の地を歩き回り、ようやく子どもたちと交流できる施設が見つかりました。

 久田さんが取り出したのは、書道の道具。

 日本の文化が、交流のきっかけになると考えていたのです。

 「墨をすり始めて、墨のにおいもしてくるし、『この人何するんだろう』という、『これをお手本に書いてごらん』と言ったら、大ウケだった。子どもたちが来るプログラムがあるので『そこでやれる?』というので、『もちろんです』と」(久田さん)

 当日、集まったのは、ウクライナとポーランドの子どもたち、約20人。

 初めて手にした「筆」に、興味津々。

 自分の名前を、漢字にして書いてみることに挑戦!

 さらに久田さん、なんとマジックも披露しました。

 「今日はとても楽しかったです。子どもたちもみんな喜んでいました。たくさんの家族が来てくれて、みんな大満足しています。特に漢字を書くのが楽しかったらしいです」(ウクライナ出身の施設のスタッフ)
 

「素直さ」に隠れた“本当の感情”に気づくことの大切さを訴える

「素直さ」に隠れた“本当の感情”に気づく大切さ
 次の日、施設のホームページを見ると、交流会の様子が、日本語でも紹介されていました。

 しかし、子どもたちの笑顔に囲まれた久田さんはある懸念を、抱いていました。

 「みんないい子だった。僕たちがこういう事がやりたいなと思ったことは、ちゃんと子どもたちはその通りに反応してくれて。ただそれが『本当にいいことなのか?』ということ」(久田さん)

 久田さんは、子どもたちの「素直さ」に隠れた“本当の感情”に、大人が気づくことの大切さを訴えます。

 「震災の遺児孤児の活動をする中で、みんな“いい子”になる。地震の被災した子たちは。(ウクライナの子どもたちは)国の状況も当然わかっているわけだから、お母さんが一生懸命やっている、お父さんが戦地で頑張っている中では、“聞き分けのいい子”であるべきだと理解している。(本当の感情を)発散できる場所を作っていかないと、将来的なメンタルに大きな問題を残すことはほぼ間違いないと思う」(久田さん)
 

NPO法人「あいちグローバルチャイルドリリーフセンター」を立ち上げる

子どもたちのサポートができる施設作りを目指す
 久田さんは、医師や教師、海外で支援活動に取り組む人たちとともに、NPO法人「あいちグローバルチャイルドリリーフセンター」を立ち上げました。

 「(ポーランドの)キエルツェで、ひと部屋を借りて、子どもたちが集まってきて。ウクライナの子たちが、わがまま言える、大騒ぎで遊べる、わーっと遊べるような空間を絶対作らなければいけないと思った」(久田さん)

 ポーランドなどに避難している子どもたちに、心のケアなどのサポートができる施設作りを目指しています。
 

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