中東情勢の悪化を受けて原油価格が高騰しているにもかかわらず、コアCPIは2026年2月以降、前年比1%台の伸びにとどまっている。補助金政策をはじめとした政策・制度要因が物価を押し下げているためである。政府による各種の価格抑制策は、家計や企業の負担を和らげるという点では一定の役割を果たしてきた一方で、物価の基調を見えにくくするという問題を生み出している。
こうした状況を受け、日本銀行は特殊要因を除いた消費者物価上昇率の試算値の公表を開始した。2026年4月のコアCPIは公表値の前年比1.4%に対し、特殊要因を除く試算値は同2.8%となり、公表値の伸びを大きく上回った。公表値は2025年5月の前年比3.7%をピークに足もとでは1%台半ばまで大きく低下しているが、特殊要因を除く試算値からみると、2023年終盤以降の基調的な物価上昇率は概ね2~3%で推移していると考えられる。
特殊要因を除く指数には課題もある。何を特殊要因とみなすかについては恣意性を排除できず、過去に遡った一貫的な指数の作成や後世における検証も容易ではない。特殊要因を除く指数は物価の基調把握に有用な補完指標であるが、それだけで判断するのではなく、刈込平均値や加重中央値など他のコア指標も併せて参照し、多面的に評価することが重要である。
■目次
・原油価格高騰でも2%割れが続く消費者物価上昇率
・日銀が公表を開始した特殊要因を除く消費者物価
・特殊要因を除く指数の課題