滔々と 私の大河 > 江刺みゆきさん 第4部・漁協女性部長編 (6)伝統食クジラ汁、再発見

クジラ汁の振る舞いに向けた試食会の様子を紹介する石巻かほく記事=2001年4月1日付
日新丸入港セレモニーの盛況ぶりを伝える石巻かほくの記事=2001年4月22日付

 石巻地区漁協女性部長になった2年後の2001年、日本の調査捕鯨船団の母船「日新丸」が石巻に寄港しました。石巻港でセレモニーをやるということで、当時石巻魚市場の社長だった須能邦雄さんの依頼で、クジラ汁のお振る舞いをすることが決まったんです。

 食用のクジラは当時、高級だったミンククジラでなく、マッコウクジラが多かったのよ。いきがいいと、刺し身にして食べられたんだ。荻浜では刺し身のほか、つくだ煮にしたり焼いて食べたりしていたけども、汁にして食うことはなかった。

 セレモニーで実際に作る前に試食会があり、ともにお振る舞いをした「母なる北上川を愛する女性の会」と一緒にクジラ汁の作り方を教わったの。向こうの会長は毛利スミ子さん。石巻の街中にあったクジラ料理専門店「いさな寿」から、千田美恵子さんが教えに来てくれた。

 そのとき初めて、クジラ汁では赤い肉でなく白い「ウネ」(皮)の部分を使うんだと知って驚いた。私も「井の中の蛙(かわず)」だったんだよ。野菜はキャベツともやしとネギ、あとは豆腐。そんなもんだったね。

 セレモニーで作るときは、かなり大きな防災鍋を五つも用意したのよ。野菜やウネは前の日に全部切って500人分ずつビニール袋に分けておいて。6000食ぐらいだったかしら。かなりの量を準備したのね。

 鍋にウネと野菜を入れて、みそを溶いて、一般のお客さんのほか日新丸の船員さんにも振る舞いました。私はリーダーだったから、指示を出したり味を見たり。すごくにぎわったのを覚えてます。あれだけの量のクジラ汁が全部出たからね。子ども連れや若い人たちに「おいしい、おいしい」って喜んでもらって、本当にうれしかった。

 船上では、クジラを持ち上げる大きなクレーンとかクジラの体重計や冷凍庫の見学会をやっていたようです。私たちはクジラ汁を作って食べさせるのが精いっぱいだったの。だから船の中は見られなかった。なかなか見ることができない大きな船だったから、乗りたかった。残念だったな。でも、お客さんには喜ばれてね、みんなして「良かったね」って喜んだよね。

 日新丸の寄港がきっかけで須能さんとの縁ができ、その後、私が食育の活動に力を入れていくきっかけにもなりました。

(元県漁協女性部連絡協議会会長)

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