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患者の死から1年8ヵ月、事態が動くも

高本氏は当時、筆者の取材に「空気除去が不十分で、その結果、心筋梗塞を発症した可能性が高いと思います」と話していた。さらに国立国際関係者はこう声を潜めて語る。

「実は3人の外部有識者は国立国際側が提供したビデオを見て、問題点をきちんと意見書に書いていたのに、それを国立国際側が遺族に伝えなかったのです」

高本氏ら複数の心臓外科の専門家の意見を踏まえ、遺族は改めて第三者機関による調査を求めたが、病院側は「承服しかねる」と突っぱねた。

画像/国立国際医療センターHPより引用
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事態が動いたのは、高本氏が学会誌にこの事例を病院名を伏せて論文発表し、〈患者中心の医療の理念に反した憂慮すべき事態〉と痛烈に批判してからだ。マスコミの報道も始まり、病院側がようやく事故報告に踏み切ったのは、なんと患者の死から1年8ヵ月が過ぎた頃だった。

しかし病院側は、この期に及んでも、過失による医療事故ではないという主張を変えなかった。独自の院内事故調査委員会(外部専門家5人と内部委員2人)を立ち上げ、空気混入と見られる場面があったことを認めつつも「問題ない範囲」とする報告書をまとめた。だが、その5人の専門家は全員が「匿名」であり、遺族が氏名開示を求めても拒否し続けた。

不誠実な病院側の態度に、遺族は国立国際の運営法人などを相手取って民事提訴に踏み切り、さらに執刀医であるH氏を刑事告訴している。

風向きが変わったのは昨年5月だ。第三者機関である日本医療安全調査機構が、73ページに及ぶ「医療事故調査・支援センター調査報告書」を開示したのだ。つづく【後編記事】『東大医学部に絡む新人事に疑問の声が…医学界の最高権威がフタをしようとする“6年前の重大事故”』で詳報する。

「週刊現代」2026年6月22日号より

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