これ以上の被害を生まないため、カリルさんの必死の訴えは続く(Instagramより)

これ以上の被害を生まないため、カリルさんの必死の訴えは続く(Instagramより)

毎晩、異なる女性が連れて行かれ…

 拉致された若い女性は、“サバヤ(性奴隷)”と呼ばれた。彼女らは、ISISの支配地域で人身売買されるか、ISIS戦闘員によって監禁され、奴隷生活を余儀なくされたという。

 カリルさんは、ISISの最高幹部であるアブ・モハマド・アドナニに囚われていた。カリルさんはそこで、日常的に繰り返される性暴力に怯えながら生活していたことを、2022年3月に中東情報メディア「アル・モニター(AL-Monitor)」で語っている。

「ISISの中枢都市ラッカにあるアドナニの邸宅で、カリルさんは複数の若い女性と共に監禁されていたそうです。ある夜、アドナニは彼女らの部屋にやってきて、24歳のサヒラさんを強引に連れていきました。およそ30分後、カリルさんが耳にしたのはサヒラさんの悲鳴でした。その翌日には別の女性が、さらに翌日にはまた別の女性が連れて行かれるのを、カリルさんは目撃しています」(国際ジャーナリスト)

 毎晩、暴行を受けた女性たちが戻ってくる時の様子を、カリルさんは「死体のようだった。彼女たちは何も話さなかった」と証言している。そして1か月後、カリルさんにとって“最悪の事態”が起こる。

「アドナニは、監禁していた女性らを本人の意思に関係なく護衛兵に割り当てました。ただ、カリルさんだけはその場に残されました。それは、カリルさんがアドナニだけの“サバヤ”にされることを意味していました。2014年当時、カリルさんはまだ15歳にも満たない少女でした。必死に叫びながら彼を蹴るなどして抵抗しましたが、手首をソファの脚に縛り付けられ、気を失うまで殴られたとのことです。

 アドナニによる暴行は、ソファに縛り付けられた状態で繰り返されました。イスラム教徒にとって重要な礼拝の前後にも平然と暴力は繰り返され、妊娠しないよう薬まで飲まされたようです。カリルさん曰く“悪夢の日々”は、数か月続いたということです」(同前)

 米メディア「CNN」の取材によると、ISISに拉致された女性らのなかには、絶望の末に自ら命を絶った者が数百人いるとの証言もある。前出「ルドー」のインタビューにおいて、カリルさんは次のように語っている。

〈国際的な支援がなければ、同様の犯罪は繰り返される可能性がある〉〈私が公の場で語る理由は、ジェノサイドが2度と我々の身に起こらないようにするためだ〉

 これ以上の被害を生まないため、カリルさんの必死の訴えは続く──。

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