【大学野球】ドラフト戦線に現れた"最大の新星" 3年間未勝利だった関西大・米沢友翔が一気に1位候補へ駆け上がるまで
金沢学院大の川合錬磨(かわい・れんま)は、2年生だった昨年12月に大学日本代表候補合宿に招集された実力者。中村紀洋(元近鉄ほか)のように、バットをしなやかに扱える右の強打者だ。その川合も米沢の前に3打数0安打、2三振に抑えられている。 「150キロ級の球を投げる左投手と初めて対戦させてもらって、真っすぐ以上に変化球が初めての見え方で打ちづらかったです。とくにスプリットのように落ちるボールが対応するのが難しかったです」 ストレートも変化球も、相手打者に強烈に印象づけたことがうかがえた。落ちる変化球はチェンジアップも得意にしており、投球の幅は広い。 【54年ぶり大学選手権制覇の立役者に】 そして、もうひとつ。じつは米沢にはシュートという武器がある。 金沢学院大戦の立ち上がり、米沢は1番打者の川合から外角高めの146キロのボールで空振り三振を奪っている。捕手の笠井にこの1球について聞くと、「シュートです」と教えてくれた。 「右バッターの外に浮き上がりながらシュートしていく軌道です。このシュートがいい感じで決まるようになってから、スライダー、カーブと併せて(ホームベースの)横幅が使えるようになりました」 その後、米沢は擁する関西大は準決勝で國學院大、決勝で慶應義塾大を下し54年ぶりの大学選手権制覇。米沢は4試合に登板して3勝、防御率0.72という圧巻の成績を挙げ、最高殊勲選手賞に選ばれた。 大舞台でアピールに成功した米沢は、押しも押されもせぬドラフト1位候補になったと言っていい。 一方で、米沢のコンディション面も心配になる。肩・ヒジの不調で戦線を離れていた投手が、リーグ戦で55イニング、大学選手権でも25イニングを投げているのだ。 金沢学院大戦の試合後、米沢に疲労について聞くと、こんな答えが返ってきた。 「疲労はとくになくて、チームを勝利に導くことだけを考えています。投球が終わってからは、次の日に疲労を持ち越さないようにストレッチを重点的にやっています。この春は肩・ヒジは問題なかったので、自信になりました」
とはいえ、今後は7月に台湾で開催されるワールドカレッジベースボールチャンピオンシップへの日本代表招集が予想される。シーズン通して体調を維持できるかも、今後の米沢の課題になりそうだ。 今年は米沢だけでなく、有馬伽久(立命館大)、渡辺和大(慶應義塾大)ら大学生左腕に逸材が多い。秋にかけて、誰がトップランナーになるのか。ドラフト戦線からますます目が離せなくなった。
菊地高弘●文 text by Takahiro Kikuchi