RTCの歴代パンタグラフキーボード選手と、その打ち方

競技タイピング界最高峰の全国大会、REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP。2017年から定期的に開催されており、予選を勝ち抜いた16人のトップ選手たちが1対1の対戦で鎬を削ります。

さてこの大会、キーボードブランド『REALFORCE』主催の大会ではありますが、試合においてはどのメーカーのキーボードでも使用可能です。そのため、選手はそれぞれ使い慣れたマイキーボードを持参して臨むことになります。
基本的にはREALFORCEやHHKBのような静電容量無接点方式のキーボードが人気であり、選手によってはゲーミングデバイスでおなじみメカニカル軸のキーボードを用いる人もいます。

そんななか第三の派閥として毎回根強くひとつの勢力を形成しているのが、パンタグラフ方式のキーボードを使用する選手たちです。粒が高い通常のキーボードと異なり、軸を平たく薄いキートップで押し込む方式で、昇降機構がパンタグラフ状であることからその名前が取られています。
安価かつ軽量で、特にノートパソコンに使用されることの多いこのキー方式ですが、Bit Trade Oneの『BFKB113PBK』をはじめ、いくつかのメーカーからは"高級パンタグラフキーボード"と呼べる製品もリリースされています。薄いキーボードを好む選手たちは、競技においてこれらのデバイスを使用して試合に臨みます。

かくいう私も、このBFKB113PBKの愛用者。打ち心地の良さから日常的に欠かさず使用しており、練習では使い込みすぎてキーに穴を開けたこともあります。パンタ最高。Bit Trade Oneさんありがとう。88も再販してください。

今回はそんな私がトッププレイヤーのスタイルを研究する目的で、歴代のRTC出場者からパンタグラフ式ユーザーをピックアップし、その打ち方を見ていこうと思います。

RTC2017

youtu.be

ゆっきー。選手(出場大会:2017,2019)

使用:Excellio Lite 桃 FKBE109/JP (2017) / BFKB113PBK(2019)

画面右側の選手です。かな入力でパンタグラフ派は珍しい気がします。
この大会はカメラが横視点なので少し運指などがわかりづらいのですが、指使いはそれなりにベーシックな形に近いです。上下動が大きく、ワード間のニュートラルなところで手を上げたり、打つたびに跳ねるように腕を上げたりしています。特に右手は空中にいる時間が長いです。

のん選手(出場:2017,2018,2023)

使用:BFKB113PBK

画面左側。複数回出場の有名プレイヤーです。
横移動の多い運指が印象的な選手で、強い指である人差し指・中指を中心に激しく打ち付けてはキーボードの上を飛び回ります。とくに跳ねるような歩くような右手の動きは印象的。このようなスタイルと薄型のキーは相性がよいです。

RTC2019

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o-ck/あるぱー選手(出場:2019,2023,2024)

使用:BFKB113PBK

画面左側。レジェンド選手です。ちなみにDDRでもプロリーグのドラフト候補です。
この人の最大の特徴はなんといっても人差し指・中指でほとんどのキーをカバーする我流運指。左の小指を曲げ、右の親指を反らせ、手全体を突っ張りながら上下左右に飛び回ります。指の角度は垂直に深く入れています。右手がキーボードに対して45°に近い角度で置かれていますが、これは2本指をよく動かすためにとっているスタイルでしょう。

tetsu選手(出場:2019)

使用:BFKB113PBK

画面右側。
標準的な運指であり、多くの指をバランスよく使っていて移動が小さいです。握るような猫の手で、着実にキーを打っていきます。動きの激しい傾向にあるパンタグラフ勢のなかでは、コンパクトな打鍵スタイルが特徴的な感じがします。

RTC2023

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goe選手(出場:2023,2024,2025)

使用:BFKB88PCBK

画面左側。2024年大会では3位という好成績を残しました。
これまでの選手と異なり、BFKB88という型のキーボードを使用しています。かすりミスを防ぐためにアイソレーション構造を選んでいるとのこと(本ブログのインタビュー参照)。標準運指をベースにしているので手が飛び回るようなことは少ないですが、特に左手などは基本浮かせておいて使う指だけを下ろすなど、したたかな上下動が見て取れます。

really選手(出場:2023,2024)

使用:BFKB88PCBK

画面右側。並外れたトップスピードを持つ選手です。
こちらも使用キーボードはBFKB88。左手薬指をAに置くなど人差し指・中指を多く用いており、強い指で打鍵を進めていくスタイルが見て取れます。親指をしまって手を丸め、指先に力がかかりやすいようにする工夫も見られます。なお2024年大会ではREALFORCE GX1を使用しています。

魔が差す選手(出場:2023,2024)

使用:BFKB113PBK

画面左側。
標準に近いベーシックな運指です。ニュートラル状態では手の力を抜いて中指の付け根が曲がった状態に、打鍵時は手に力を込めて中指が反った状態になっています。魔が差す選手以外にもいくらかみられる特徴であるため、パンタグラフキーに力を伝えるためのひとつのヒントになるのかもしれません。

RTC2024

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てぃーがー選手(出場:2024)

使用:BFKB113PBK

画面右側。
正確性の高さも含め、比較的綺麗な打鍵をする選手だと思います。指使いも標準運指そのままです。手は浮かせて指をキーに対しておおよそ45°~60°の角度に保ち、振り下ろす、という動きが印象的です。

seina選手(出場:2023,2024)

画面右側。2023年大会ではHHKB Professionalを使っていました。
最下段をほぼ親指に任せるという、他の選手にはほとんど見られない独自運指を使いこなすことが最大の特徴です。手に力を込め、上から降ろすという基本スタイルは他のパンタグラフ選手の打ち方とあまり変わりませんが、そこに親指を活かしたつまむような形が加わっています。


細かい打ち方の傾向は運指等によって異なってくるため一概には言えませんが、以下がさしあたり自分にとって参考になる点かもしれません。
・指の角度を垂直に近く、深めに入れる
・手に力を込めて適度に浮かせ、指先に力が伝わるように上下動を伴って打っていく
これらは粒の高い通常のキーボードとは異なる、薄型キーボードに最適化したような動きであるともいえます。
さまざまなモデルケースを意識して、今後の練習に役立てていきたいと思います。

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