[篤寛]昼間の居酒屋あつや。・2[現パロ]
2023/11/21:昼間の居酒屋あつや(居酒屋あつや。番外編としてシリーズにまとめてます)。
寛が飲みすぎた翌日のお話。
今回篤と寛が仲良しこよししつつ距離感計りあってます。篤寛ですが寛篤でも読めるかなー? という相変わらずなお話です。会話文気味。
いつも読んでくださる方ありがとうございます(^人^)更にコメント、スタンプ、いいねやブクマの好評値ありがとうございます♪次への励みになります! 重ねてありがとうございます(^^)つたなあものしか書けませんが、読んだ方に少しでも楽しんでいただければ幸いですm(_ _)m
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その日の朝、日車は目が覚めて暫し自分がどのにいるのか分からなかった。
どこか見覚えはあるが自分の部屋では無い。
朧げな記憶を探っているうちに、そういえば昨夜日下部の店で飲みすぎたかと思い出し、額に指先を当て項垂れる。
(また迷惑をかけてしまった)
日車がうんうん唸りながら一人反省会をしていると、そこにスウェット姿の日下部がぬっと現れ、「あ、日車さん起きました? 酒は抜けてます?」と日車に聞いた。
「ああ、また迷惑をかけてしまった。すまない」
「いいっていいって、そんな畏まらないで。昨夜は日車さん相当参ってたでしょーよ。そんな日もありますって」
「すまない。ありがとう、日下部さん」
「それより、朝パンで良いですか? 今ちょっと米切らしてて。んで、今日休みで詫び入れたいってんなら買い出しにまた付き合っちゃくれませんかね?」
「あぁ、そういうことなら。しかしそれで良いのか?」
「良いっすよ? んじゃ、朝ごはんは気分上げるためにスペシャルトーストにしますか」
「スペシャルトーストとは?」
それに日下部は、「ま、大したもんは作れませんがね」と二マリ笑った。
日車は日下部の出す料理で失敗したことがないので、何が出てきても美味いだろうと、のそりと起き上がりスペシャルという朝食を期待することにして、早速身支度を整えるのだった。
スペシャルトーストとは端的に言ってマルゲリータのトースト版だった。
たっぷりのざく切りトマトとたっぷりのモッツァレラチーズにバジルが散らされ、見るからに美味そうだ。
ピザソースはお好みらしく、他にもタバスコやレモンやはちみつ、更にはマヨネーズやら醤油までテーブルにずらりと載せられている。
日下部は迷わずタバスコを手に取り、日車に目線をやるが日車は首を横に振り無難にピザソースを取った。
それにかぼちゃのポタージュが添えられ、朝ごはんの始まり、「「いただきます」」を合図に先ずはピザトーストを一口食べる。
「美味いな。これは下の店では見かけたことはないが」
「あー……たまーに出す時だけ張り紙貼りますけどねぇ」
「毎日食べられるものではないのか」
「結構めんどいですからね」
「なるほど」
(それでは日下部さんの機嫌次第ということか)
そう結論付けた日車は、ひたすらに黙々とピザトーストを食べ進め、少しして口の中のものを飲み込むと、口を開いた。
「昨夜は悪い酔い方をした」
「あー……。。仕事絡みですかい?」
「ああ、裁判で不正をされてな」
「えっ、そんなこと、ほんとにあるんで?」
「たまにな」
「世も末ですねぇ」
「全くだ」
また、ピザトーストを黙々と食べ進め、とうとう平らげると次はかぼちゃのポタージュを一口スプーンで掬って口に運んだ。
まろやかな口当たりに上品なかぼちゃの甘みが口の中に広がり、荒んだ気持ちを和らげ飲み込むとそのまま不満ごと消えていった気がした。
「…日下部さんの料理はすごいな。なんというか、幸せになれる」
「うーん。まあなんちゅうか、人間美味い食いもん食えば大抵腹の虫も収まるもんでしょ。有名な料理家せんせは食べることは生きることって言ってましたしね。ま、料理をする人、あ、家庭料理もですけどね? そんな人間にとっては当たり前のことなんですけどねぇ」
「なるほど。確かに」
「ま、美味いって言って貰えて、んで幸せだなんて言ってもらえたら料理したかい十二分にありますよ」
そう言って、日下部がピザトーストの最後の一口を暫し咀嚼してから飲み込み、かぼちゃのポタージュも全て飲み干した。
日車もかぼちゃのポタージュを惜しみながら最後のひと掬いを口に入れ、よくよく味わってから飲み込み、日下部の言葉と共に心と身体に染み込ませたのだった。
買い出しは餃子パーティを開いた時に行ったスーパーに行った。
米だけでなく、肉や野菜やはたまたスパイスなども買い込み、それを車に積み込むと日下部が日下部がまた運転をして帰り道を行く。
そのまま暫く車を走らせていると、日下部が日車に「今度釣りに行きません?」と誘った。
「釣りか。日下部さんはよくやるのか」
「ええ、釣りは趣味と実益兼ねて」
「趣味と実益ということは、あの店で食べる魚を日下部さんが釣ってくるということか?」
「まあ、でも俺の腕と行ける場所だけだと出せる魚が限られくるんでそれはそれで買いますけどね。日車さんはやったことあります? 釣り」
「ないな」
「やったことないなら釣り堀なんてどうです? 釣り堀なら釣具貸してくれますよ?」
「やってみたい。今度休みが取れたらこの間貰ったままの電話番号にかける」
「んじゃ、約束」
「約束か。フ。いいな」
「ハハ、ガキみたいっすよね」
「だな。フフ」
ひとしきり笑い合った頃には、昼頃になり店兼日下部宅へ着いていた。
ちょうど昼飯時である。
「日車さん、あんた今腹減ってます?」
「がっつりってほどでもないな。軽く何か食べたい程度だ」
「んじゃ、甘いもんは好きですかい?」
「あぁ、嫌いじゃない。あまり自分では買わないが、部下が土産と言ってよくくれる」
「…その部下って……、いや、なんでもないです」
「なんだ、言ってくれ」
「いや、なんでもないですって。んじゃ、昼は甘いものでー……、フレンチトーストとはちみつトーストどっちが好きです? それともプリンとかパフェとかのが良いですかい?」
「…悩むな……」
「んじゃ、スペシャルフレンチトーストで決まりってことで」
「フフ、それもスペシャルなのか」
「そ! 今日は大盤振る舞い! んで、夕飯はどうします? 店で食います? それとも、明日早いですかねぇ?」
「家に帰っても食うものがないからな。店に顔を出そう。しかしそれまでどこにいれば良いか……」
「いやぁ、うちで好きに寛いでて下さいよ」
「迷惑では?」
「あんたなら歓迎!」
「そうか……」
いつの間にやら懐に入れられていた様子に、何やらくすぐったい思いを日車は抱きつつも、その思いに直ぐに蓋をして封印して心の底に沈める。
(これは中々厄介だ)
そんなことを思いながら、日車は自分が許された範囲をくすぐったくも愛しく思う。
一方日下部もこの自分のただならぬ日車への強い思いを隠せなくなってきていることに、実は内心動揺が隠せないでいた。
しかし、そこはもうそろそろ二人とも不惑に近い年齢である。
そこそこの落ち着きはあるので、下手な手は打ちたくない。
そうやって、今は互いに都合の良い距離関係を測っている最中だ。
ただ、当人たちの周りは既に周知済みで、付き合っている、少なくとも好き合っているこということを前提で二人を見ているという事態だが。
まあ、二人が幸せで平穏ならそれで良いだろうと、周りの、特に日下部に縁のある人間たちは思っている。
当人たちだけがそれに気付かぬまま、或いは気づいても気づいていないフリをして、しらを切って流すのだ。
そうして、居心地の良い居場所を得る。
それが、今の二人の最適解だった。
そんな、飲みすぎた悪い夜から途端幸せな時間を得た日のこと。
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- 小夜双☆スカィWebOctober 28, 2023