[篤寛]昼間の居酒屋あつや。1[現パロ]
2023/12/17:アンケートご協力ありがとうございました(^人^)!
今後は通常の居酒屋あつやと昼間の居酒屋あつやでシリーズは一緒でタイトルだけ夜と昼として分けることにしました。昼のお話は読みたくないという方は目次の方で昼間のと言うのを避けて読んでいただければと思いますm(_ _)m
ザ・餃子パーティ+篤寛買い物デート回的な何か。夏はまだまだこれから。スイカまだ出回ってるか分からんが食べさせました。捏造とかてんこ盛りなので何でも許せる方向けです。
⭐︎
⭐︎
⭐︎
⭐︎
⭐︎
いつも閲覧ありがとうございます。たくさん読んでもらえるとそれだけ嬉しみが増します。(お話が)愛されてる感感じてとても嬉しいです。更に評価やコメント、スタンプなどいただけた日には画面の前で匍匐前進するほどです。重ねてありがとうございます。つたないものしか書けませんが、一所懸命書きました。少しでも読んでくださった方に楽しいと思っていただけるお話をお届け出来たらなあと思っています(^人^)
二期の六話目某美少女戦士並みにメタモルフォーゼでした((震))み、みみず人間・4……。
- 48
- 32
- 1,211
『本日から明々後日までお休みします。』
なんだ今日は休みかと、日車が居酒屋あつやの前で立ち尽くした直後、背後から声をかけられる。
驚いて振り返れば日下部だった。
「何か食ってきません?」
「しかし今日は休みだと……」
「あんたは特別!」
そう言われて悪い気はしない訳で、日車は一も二もなく頷き日下部の後ろに続いた。
通されたのは奥の部屋、居住スペースだった。
冷えたビールが美味い。
突き出しに今日はポテトサラダではなくワカメときゅうりとトマトの酢の物が出され、その絶妙な酸味と隠し味に何を使っているか聞いたらマヨネーズとの答えが返って来て、日車は最初の一口から最後の一口まで美味しくいただいた。
今日は玉子が食べたいと言って出されたのはトマトと玉子の炒め物で、中華風の味付けにトマトの酸味と玉子の甘みととろみがとても合う旨さで、これもまたビールが進んだ。
ふと、冷酒でも持ち込めば良かったかと日車は思ったが、元々それほど酒に強い訳でもないので、また酔っ払っても迷惑をかけるだけだろうしやめておいて正解だったなと心の中で得心顔をする。
物足りないなと思っていたら豚肉の胡麻和えが出されて、これも胡麻の香ばしさと旨みが生きていてとても美味かった。
ビールを飲み切るのと同時にご飯も食べ終わり、腹ごなしに少し早足で帰るかなどと思っていたら、「今日は泊まって明日ちょっと買い物に付き合っちゃあくれませんかね」と代金の代わりに買い物の手伝いを請われる。
考える前に首肯してみれば日下部が笑った。
歯が綺麗だとなんとなく触りたくなったのを堪えて、日車はシャワーを借りて早々に寝たのだった。
翌朝、昨日の残りのワカメの味噌汁と目玉焼きと雑穀米を食べ終え歯磨きをして着替えると、日下部が「じゃあすみませんが付き合って貰いますよ」と言って階下に降りて行った。
日車もそれに続き降りて、日下部の運転する車の助手席に乗り込んだ。
「ナビは出来ない」
「ハハハハハ、それは期待して無いです」
それに些か気分を害したものの、折角の日下部とのお出かけだ。
気合いも入ると言うもの。
しかしいざデパートに着くなり、心細くなる。
それほどこう言ったところに来たことがないからだ。
最近の記憶でも来た覚えは無いし、長年避けていた傾向がある。
幼少期に母親に連れられてデパートの屋上で遊んでソフトクリームを食べた覚えはあるが、それ以降デパートには近づいていない気がした。
「ホットプレートはうちにあるんで、食材だけ買い込みましょう」
「あ、ああ」
「? 何か、嫌なことでも?」
「いや、嫌じゃ無い。行こう。生鮮食品だな?」
「餃子たらふく作るんで先ずは餃子の皮と餡の豚ひき肉と玉ねぎとキャベツですね。後は……パプリカなんて食いたく無いですか?」
「パプリカ?」
「ええ。アレ焼いて食うと美味いんですよ。鮪みたいな味しますよ?」
「…。ウソだろう?」
「ああいや、ホントです。マジで鮪ですから。試しに帰ったら、あ、明日うちで餃子パーティ開くんで今日も泊まっていきません?」
「泊まる」
「よし! んじゃま、パプリカと、あとはニンジンとピーマン食べられます?」
「ああ。私は割合何でも食べられる」
「美味しく?」
「ふ、ああ、美味しく」
「ハハ! ならいいや! じゃんじゃん買ってきましょう!」
こうして日下部と日車はカートを押して手当たり次第に食材を計一万円程買い込み、海を見ながらゆっくりと帰りは車を転がして帰った。
保冷剤も買っておいて正解だったなと日車は思った。
さて、餃子パーティ当日。
七海と灰原はスイカを手土産に訪れ、伊地知は何故か五条と夏油を伴って現れた。
ついでに家入はもう既に持ち込んだ酒で何瓶かやっている。
集まった面子に渋い顔をしつつも、日下部はせっせと餃子を作っては焼き作っては焼きして、一旦手を止めるとビールで乾杯をした。
灰原がコーラなのは彼が悪酔いして何故か恥のかかせ合いになるからで、なんとかビールにありつこうとする灰原を七海が必死に止めている。
スイカが二個あるのはご愛嬌だ。
一つは先ほども言ったが七海が持ち込んだもので、もう一つは日下部と日車が良かれと思って昨日買ったものだ。
日車も餃子作りに参加していて、形の崩れた、餡がはみ出した餃子がちらほら覗く。
「難しいな」
「コツ覚えりゃ簡単ですよ」
「簡単に言ってくれる」
「そりゃ、まあ、ねえ?」
「素直に不器用だと言えば良い」
「あんた拗ねないでくださいよ」
「拗ねて無い」
「いや、拗ねてるでしょ」
「…」
「ま、慣れますってそのうち」
「は、まだ作るのか」
日車が呆れたような驚いたような半々の顔をして見せると、日下部は困ったように「こいつらは中々食うんですよ」と笑った。
ならば仕方ないと、日車も餃子を黙々と作り続ける。
日下部としては日車にも是非とも餃子を作るのではなく食べて欲しいのだが、中々上手くいかない。
何せ手伝う気が他の面々にないからだ。
餃子パーティなんてするんじゃなかったと早くも後悔しているが、まあ日車を二日も泊めれられたことを思えばまあ良いだろうと、日下部は自分を納得させた。
「すみませんね、作ってもらってばかりで」
「いや、中々楽しい」
「あんたも物好きだ」
「日下部さんもな」
笑った顔は中々に珍しいので、少し悪人面になってしまうのが玉にきずだがまあそれも愛嬌だろうと、日下部は七海の提案だったが餃子パーティなんてものを開いてみて良かったかと手のひらを返して思う。
日車が楽しければ他の面子がどうだろうが構わない。
どうせ好き放題やるのだ。
それがこの面子だ。
そう日下部は自分に言い聞かせて、また餃子作りに没頭するのだった。
「日車さん、あんた餃子食べました?」
「いや、これからだな」
「んじゃ一休みして餃子食べちゃいましょう。あと、野菜とかそうだ! パプリカ! それにズッキーニ買って来たんだった!」
「…忙しないな」
進行役が日下部なので、他の面子はひたすら飲み食いするだけで日下部の様子など見向きもしない。
少しは気にしてやれば良いのではと日車は思ったが、七海と五条が口を揃えて「日下部さんは手が抜けるところは抜いてる」と言うので、日車は五条はともきく七海のかなり呂律が危うくなっているそれを信じて良いものか悩んだ。
やがてホットプレートの上の餃子を全て日車の皿に載せると、「あとは、日車さん全部食べちゃって。あんた全然食ってないだろ」と笑い、ホットプレートの上に次々と野菜を投入していく。
パプリカもあったし、何故かナポリタンもあった。
(何でも有りだな)
日車はそう思ったが、これからが本番とばかりに場は更なる盛り上がりを見せた。
やんやと掛け声をかけながら、今までの体たらくは何だったのかと言うほど、他の面子も働き始める。
どうやら自分の分は各自で焼くスタイルらしく、日車もそれにならって待望のパプリカを焼いて行った。
ひっくり返そうとすると横から「まだ焼けてねえじゃん、日車さん」と酒が入っていないにも関わらずやたらとテンションが高い五条が話しかけてくる。
「そうか?」
「皮が真っ黒に焦げるまで焼くんだよパプリカは」とそれだけ言うと、五条はさっさと自分のところへ戻ってしまった。
何やら日下部がすまなそうな飼い主に叱られた犬みたいな顔をしているのが物悲しい。
少し笑いそうになるのを必死で噛み殺しつつ、パプリカが焦げるまでひたすら待つ。
その間ナポリタンを食べたが、太めの麺でこっくりした味に仕上がっていてとても美味かった。
隠し味にやはりマヨネーズを使っていると言う。
あの酢の物と同じだ。
マヨネーズは万能なのかと日車は思いながら、パプリカが焦げたところで皿に盛る。
と言っても二切れ程度だったが。
焦げを取り除いて一口口に入れると甘みが先ず広がり、次にトロッと蕩けるような食感がする。
そうして噛めば噛むほど味が出て、飲み込むと口の中いっぱいにパプリカの甘みが残った。
「これは、美味いな」
「わさびと醤油を付けても美味しいですよ!」
白米の入った、持ち込んだのだろうマイ茶碗を片手に、灰原がニカリと白い歯を見せて笑う。
気おされる気がしたのは何故だろうか。
それはそうと、良いことを聞いたと、日車はままよと少しだけワサビと醤油を付けてパプリカを食べてみた。
「これは……。鮪のトロだな……」
「私の恋人も蕩けるような顔をする人でしたよ」
七海の様子がおかしい。
目がすわっているし、澱んでいる。
息が酒臭いと思ったら、一人で焼酎やら日本酒やら発泡酒やらをちゃんぽんで呑みまくっていた。
酒瓶や酒の缶がゴロゴロ転がっている。
危険だ。
日車が日下部に伝えようとした途端、日車の口がにっこり笑う夏油の手に塞がれ五条のからかい攻撃が始まる。
「なに、お前振られたの? ハハ! だっせ! 恋人に何やらかしたんだよ! アハハハハ!」
「五条さん……。外に出ましょうか」
「一人で行けよ。さみしんぼか?」
二人の殺気とでも言うのか、緊張感がその場に走る。
しかし夏油は笑っているし、灰原は仕方ないなあという顔をしているし、ただ伊地知だけがあわあわと泡食っていた。
二人が腰を浮かせた瞬間だった。
黙々と飲んでいた家入がボソリと、「治してやらないからな」とたった一言呟く。
どうやら楽しく呑んでいたのにその場を崩されたことに腹を立てているらしいと、そこら中に転がった酒瓶の真ん中で静かに怒っていた。
しかし、この一言が効いたらしい。
七海も五条も今までのギスギスした雰囲気がなんだったのかというほど、殺気を収めて交互に「喧嘩なんてしません」だの、「喧嘩なんてしないよー」と家入のご機嫌伺いに回り始める。
その場の雰囲気がまたガラリと変わり、またあのまったりのんびりとした空気感に満たされる。
焦ったのは結局日車と伊地知だけで、他の面子はこうなることを予測していたのかもしれない。
いや、そう信じたいと、戻ってきた日下部がやにわ家入の頭を撫でるのを少し羨ましいなと思うほどには日車も結構酔いが回っていた。
日下部がそれに気付き酒のグラスを水が入ったグラスにすり替える。
日車は気付かず気にせず飲んでいた。
「あの、日車さん大丈夫ですか?」
「らいりょーぶら」
「アハ、全然大丈夫じゃないじゃん」
「日下部さん! 七海が潰れてます!」
「悟は場酔いしてるね。…硝子は相変わらずうわばみだ」
「…解散」
日下部の氷点下のその一言で、各々小さくなりながらしずしずと転がる酒瓶やら缶やらペットボトルやら何やらを片付け、酔っ払った者は布団に寝かせてしまい、ことんと落ちたのを見るとそれぞれ支度をしてお泊りの準備を始めたのだった。
日車は変な時間に寝たものだから、真夜中に目が覚めてそのまま冴え冴えとしてしまった。
話し声が聞こえるが誰のものかとそちらへ行くと、何やら「だって日下部さん日車さんのこと……」と、自分の名前が出てきたものだから日車は息を殺して続きを待つ。
しかし、日下部はそれを遮り「確かにそうだが言うんじゃねえぞ」と誰かに告げていた。
何が確かにそうなのか。
日車は聞きたくて聞きたくて思わず襖をスパンと音を立てて勢いよく開けてしまった。
その場の空気が凍りつく。
張り詰めた空気を緩めたのは、日下部の慌てた声だった。
「日車さん! あんた起きて大丈夫なのか?!」
「目が冴えてな。それよりも何やら私のことを話していたようだが」
「べ、別に何でもねえよ!」
「いや、確かに『日下部さんは日車さんのこと……』と聞かれた日下部さんは、『確かにそうだが言うんじゃないぞ』と言っていた」
愕然とする日下部と、目を眇める五条と、二人を交互に睨め付ける日車の、緩んだ空気がまた緊張状態に陥ったところで、「ところでスイカ食べない? 日車さん」と五条が聞いてきた。
それにうっかり釣られて「食べる」ところっと纏う空気を変えた日車に五条も日下部もホッと胸を撫で下ろし、日下部がスイカを切ってきて三人で食べて、また眠たくなってそのまま寝てしまった日車を大事そうに抱えて、日下部は布団に寝かせたのだった。
五条はポツリと「重症だね」と呟き、自分もアレだけ愛されたら幸せかな? と胸の内で思いつついや呪いだねと思い直し、別の部屋へ移動して朝まで仮眠を取るため持ち込んだ特製のお高い椅子に座って眠りにつく。
それを見守った日下部はというと、盛大にため息を吐き、「心底びびった」と股間を見つつまたため息を吐き吐きトイレに駆け込みしばらく出てこなかったのだった。
翌朝、死屍累々かと思われた面々だったが、酔い覚ましにスイカを食べさせたら速攻で元気を取り戻し、各自お泊まりセットを抱えて帰って行った。
日車も同じく帰ろうとしたところ、日下部に引き留められお土産にとスイカを以前のメロン同様丸々半分持たされる。
結構重いなと思っていると、日下部がもごもご口を動かした後に、「昨夜のこと覚えてます?」と聞かれると、日車はとんと記憶が飛んでいたのでそれを正直に伝えた。
心なしかホッとした様子の日下部に不信感を抱くも、スイカは口止め料か何かか? と不正に当たるか考えたが疲れてきてやめる。
そして今度こそ「また今度は店に行く」と日車が外に出ると、見送りに来た日下部が「良かったらまた泊まってって下さいよ」とへにゃりと笑い、日車はそれにやはり犬みたいだなと口端を上げて笑いながら「そのうちな」と背を向けたのだった。
そんな、そろそろ残暑厳しい季節のこと。