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The Works "レザボア・ドッグス" is tagged "篤寛" and "腐術廻戦".
レザボア・ドッグス/Novel by 卜部

レザボア・ドッグス

1,587 character(s)3 mins

篤寛。フォロワーさんからのセリフリクエストで書きました。メイドはよい文明。

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 高専の廊下を巨大なメイドが歩いてきた。
「おー、日車。顔色が悪いな。ちゃんと食ってるか?」
 腕周り、胸回り、腰回りに、尻回り。とにかく全てがデカい男がピンクのミニスカートの、恐らくメイド姿でこちらにむかって歩いてくる。白いタイツをガーターで釣り、スカートは短すぎて足の殆どが露出している。屈んだりは絶対に出来ないであろうそれを着た男は、あまり考えたくはないが、日下部篤也という男に間違いない。
「麻雀の罰ゲームでな」
「サイズがぴったりなのはどういう了見なんだ」
「それは俺も知りたい」
 日下部はオプションなのかモップを肩に掲げて隣を歩く。よく見るとメイドのヘッドドレスもしっかり頭に付けている。日下部はそれでも堂々としていたが、羞恥はないのだろうか。
「恥ずかしくないのか」
「恥ずかしいな。でも慣れたよ」
「慣れるものなのか」
「そりゃね。麻雀で負けてるの、俺だけだったからね」
 メンバーが何となく予想が付いてしまったが、俺は黙った。藪から蛇を出したくない。
「アンタのほうが似合いそうだな、メイド服はロングスカートもあったぞ」
「麻雀も、女装もやらない」
「残念」
 そう残念そうでもない日下部は、何故か俺の隣を歩く。背丈はそんなに変わらないのに、体の分厚さは俺の倍以上あるんじゃないのかと思えるほどの恵まれた体躯の男が、破廉恥極まりないフレンチメイドスタイルで俺の隣にいる。そんな悪夢のような状態を続けたい男がいるだろうか。答えは否だ。
「隣を歩くのをやめてくれないか」
 俺はそう言って、日下部の方を見た。日下部は特に気にした風でもない。俺の隣を辞することもせず、俺の歩調に合わせて歩いている。つまり大股で。
「下着が見えてる」
「見せてんだよ。嫌な気持ちになるだろう」
 罰ゲームの鬱憤を、出会った誰かで晴らそうとしていたのは明白だった。恐らく生徒と出会ったなら、この男はこんな事はしなかっただろう。そういった線引きは出来る男だ。それを知っているくらいには親しい。最近は、特に。
「最悪だ。フリルがえげつない上に布が少ない」
「男性用だから、大切な部分は隠れてるぞ」
「下着が見えてる時点で地獄だ」
 俺は目的地に辿り着いた。日下部はまだ付いてくる。ドアを開けて中に入ると、そこには卓を囲む男女三人と、壁にかけられたメイド服(ロングスカート)がある。
 そんな馬鹿な。俺は図書室を目指した筈だ。それなのにここは、宿直室で——
「諮ったな、日下部!」
「気付かなかったオマエが悪い」
 笑う日下部のほうに目をやると、ピンク色の視覚の暴力と焦点が合う。下着は白で、ガーターベルトが白いタイツをつり上げており、リボンがあしらわれた靴は磨き込まれたエナメルだ。思わず観察してしまったが、気付かなかった、とはどういうことだ。
「誘導してたんだよ、ここに」
「必要以上に近付いて隣を歩いていたのは、」
「結界術の応用だ。対象を任意の場所に誘い込む。極々初歩の罠だから、見破ると思ってたぜ、天才」
 笑う日下部は、けだるげで覇気の欠片もない。こんな昼行灯に俺は不覚を取ったのか。悔しさが募る。
「新しいカモを連れてきたぜ。服を返してくれ」
「いいよ。君のその格好もなかなか良かったけど、奥で着替えてきたまえ」
 思った通り、メンツの一人は冥冥女史だった。あとのメンツは秤と虎杖だ。軽い絶望を覚える。
「未成年に賭け事は、」
「だから着せ替え麻雀なんだよ。お金は賭けてない」
 冥冥女史の楽しそうな声が更に絶望感を煽り、俺は肩を落とした。この豪運のメンツの中で、勝ち上がっていくビジョンが見えない。詰みだ。
「じゃあせいぜい頑張れよ、天才日車寛見」
 すっかりいつもの格好に戻った日下部は、言い終わると俺が入ってきた扉を閉めた。
 ゲームオーバー。そう言われた気がした。

Comments

  • Natukaze
    May 20th
  • 菅流@芋づる式
    May 16th
  • 好想变成有钱人
    May 16th
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