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しばらく飲み会は禁止の方向で/Novel by からっぽ

しばらく飲み会は禁止の方向で

2,286 character(s)4 mins

日車さんに堕ちてついに書いてしまいました。
付き合ってる篤寛と他の大人組が飲み会に行った時の一場面妄想短文です。かっこいいアツヤもヒロミもいません。可愛いヒロミはいます。

篤寛最高すぎる。世話焼き系ドスケベボディの三十路と、人を信じて人を信じられなくなってでもやっぱり善性を捨てきれないお労しい系三十路なんてエロスが過ぎません?アダルティ。
そんな二人が甘々なイチャラブしてくれたら最高やんけ、ってことで書きました。
これから覚悟しろよ、恥ずかしいぐらいラブラブにしてやるからな。

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 時刻は午後22時過ぎ。いわゆる華金と言われる金曜日の夜、繁華街は仕事終わりの社会人達で賑わっている。日下部や伊地知など呪専で働く大人達が集まったチェーン店の居酒屋も、例に漏れず多くの人々が酒と肴に酔っていた。日下部自身、アルコールに脳を浸して日頃の面倒事を一時でも忘れてやろう。そんな気分だったのだが。


「んふふ……くさかべぇ……」
 その意気込みは隣でベロベロに酔った恋人、日車寛見によって遥か彼方へ吹き飛ばされた。
「はぁ……んぅふふふ……」
 普段の無表情はどこへやら。何が楽しいのかずっとくふくふ笑っている。とろりと日下部の肩に頭を預けてくる日車の顔は暖色のライトのせいだけでなく真っ赤だ。ふに、と柔らかい頬が形を変えているのがたまらなく愛おしい。
「(美味そうなほっぺしやがって〜齧りつきてぇ〜)」
 そう思いながらなんでもない顔で下心を抑える。ポーカーフェイス舐めんなよ。日下部が悶々としているとは露知らず、相変わらずふにゃふにゃと笑う日車。
「ご機嫌さんってか? ったく……」
 ジョッキに残っていたビールをぐいと飲み干し溜息を吐く日下部と、その隣で泥酔した日車。二人を正面の席で見ていた猪野が目を丸くする。
「日車さんって酔ったらこんな感じなんですね。意外っす」
 だろうな、と日下部は頷く。
 日下部は監視対象として長く接してきた事もあり、意外とこの男が表情や感情豊かなのは知っている。とはいえ日々の冷静沈着が服を着て歩いていると言われる恋人の甘い顔を同僚達に見せるのは良い気分ではない。
「ちゅーか、日車先生にここまで飲ませたの誰だよ」
 日下部が飲み会に合流した時点で日車はほぼほぼ出来上がっていた。店に入ってあの大きな目と目が合った途端、ぱぁと花が咲いたような効果音つきの表情を浮かべてくれたのは正直嬉しかったし可愛かったが。俺の見てないところで何してくれてんだ、とも思う。不機嫌そうな日下部に猪野が顔を引き攣らせ苦笑いを浮かべる。
「え、へへ……誰というか、みんな? みたいな……」
 あ?と凄む日下部を静止するように涼やかな声が。
「いつも君が彼を独り占めしてるからさ」
 日車がいる側とは反対から聞こえた声に日下部は眉間の皺を深くする。
「仕事の覚えが早くて誠実で真面目、そして法的な知識も申し分ない天才ときた。そんな彼と交流を深めたい人間は大勢いるさ」
 私も含めて、ね。と冥冥が美しく微笑む。
「その過程で〝少々〟酒が進んでしまったのは申し訳なく思っているよ。まぁ、君も美味しい思いができるからいいじゃないか」
 後半は日下部にだけ聞こえる声量で囁く冥冥。日下部と日車の関係は誰にも口外していない。が、明らかに察している様子の彼女に日下部はこの会話を早々に切り上げることにした。ちっ、と舌打ちし、楽しそうに微笑んでいる冥冥から目を逸らす。
「ほら、日車。水飲めよ」
「みず……? ゃだ……」
 コップを口元へ持っていくがぷい、と顔を背けられる。子供っぽい仕草に口元が緩みそうになるが、それはそれとしてちゃんと水分はとってほしい。
「やだじゃないでしょーよ。ならこっちは? ほら、ジュース来たぞ」
 少し前に頼んでおいたオレンジジュースがタイミング良く到着した。冷たくて美味しいですよ〜、と火照る手に持たせてやる。
「……のむ」
「はいどーぞ」
 よしよし、大人しく飲む気になってくれたか。と安心した日下部だが、次の瞬間予想外の日車の行動にびしりと固まる。
「んぅ、んん……? ぅむ……?」
 日車は、店側がアルコールとソフトドリンクを区別するためジョッキに差し込まれたマドラーを一生懸命に吸っていた。
 ちう、ちう、と可愛らしく音を立てながら飲もうとしているが、どれだけ頑張っても飲めないことに困惑して首を傾げている。飲みたいのに飲めない。優秀な頭脳は許容範囲外のアルコールのせいで正常に機能していないようだ。

 ちゅ、ちゅぅ、ちう……

 まるで幼い子がこの世の理を学ぶ前のような無垢な様子に反して、どこか淫美な雰囲気も醸し出す恋人。日下部は軽く眩暈がした。
「ん゛ん! ひ、日車、それストローじゃねぇから。ほら離して」
 わざとらしく大きく咳払いして己の煩悩を振り払う。お世話モードに脳を切り替え、日車の口からマドラーをそっと引き離す。
 つぅ、と細く透明な糸が、同じく透明なマドラーと普段より赤く水々しい日車の舌を繋ぎ、ぷつりと途切れた。
「…………っ!」
「くさかべ……?」
 とろりと熱が籠って溶けた瞳と視線がぶつかる。血色を増した艶やかな唇が自分の名を呼んだ瞬間、日下部は脳みその血管がぶつりとキレた音を聞いた。
 がたりと立ち上がってコートを引っ掴む。
「これ二人分。じゃ」
 財布から明らかに二人分ではない枚数の札を叩き付けるように机に置き、日下部は未だふわふわと体を揺らしながらオレンジジュースを不思議そうに見つめている日車を抱き上げて店を後にした。


「な、なんか、すごかったすね……はは……」
 真正面で日車の色気に当てられ、いつものらりくらりとした日下部の初めて見る圧に当てられ。何もが何だか分からない可哀想な猪野がなんとか言葉を発した。
「ふふふ、そうだね。良いネタが撮れたよ」
 そう言って冥冥がいじるスマホの画面には何が写っているのか。おそらく、飲み会直後の日車が乱れていく様子と先程のやけに淫美な一連の……猪野はそれ以上考えるのをやめ、乾いた笑いを返して伊地知の隣へ席を移動した。


おわり♡

Comments

  • Natukaze
    May 14th
  • いちご飴
    May 6th
  • ミッキー
    May 4th
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