12月22日(木)
■戦争関連の美談には嘘が多い】本日の産経新聞が、第二次大戦中に多くのユダヤ人を救った“命のビザ”で知られる日本人外交官、杉原千畝(ちうね、1900〜86年)が進めたリトアニアからの救出劇の成功の背景には、ソ連領を通過するユダヤ人から経済的利益や軍事情報を得ようというソ連側の狙いがあったと報じた。
ロシアの歴史研究家らの共同研究で分かったとのこと。
■この美談について、30年ほど前、僕が構成を担当したラジオドキュメンタリー『1500人の命を救った1500枚のビザ』(NHK)も、美談をひろげる一翼をになったので他人事とは思えない。このドキュメンタリーはその年の芸術祭賞のラジオドキュメンタリーで最優秀賞を受賞した。 
■その後、ノンフィクションの取材で、僕の大学時代のロシア語会話教師であった野村タチャーアさんが、杉浦千畝さんのことを「人間として許せない」と話していた。タチヤーナさんのご主人はドイツ駐在の帝国陸軍の将校の野村氏。敗戦後、タチヤーナさん夫婦は杉浦千畝夫婦とシベリア経由で2ヶ月ほどかけて、日本に帰還した。その間、タチヤーナさんが見聞したことで「許せない」という言葉に集約されることがあったとのこと。具体的に聞き出そうとしたが、「杉浦さんが亡くなっているし、大きな問題になるので話せない」と、タチヤーナさんはそのまま墓場までもっていってしまった。
■杉浦千畝氏の行動は「命のビザ」としてひろまり、すくうわれた人数は僕が構成を担当したときの1500人から4000人から5,6000人にもふくれあがり、テレビドラマや映画になった。タチヤーナさんの言葉を聞いている僕としては胃のあたりがもやもやする気分だった。その後、名古屋地方のテレビ局が「真相」をということで、ドキュメンタリーを企画し僕に接触してきて、協力しますと応じたが、企画自体が実現しなかった。
■このケースもふくめ、戦争中の美談には嘘があるというのが、僕の確信のようになっている。上記のことを詳しく知りたい方は拙著「昭和情報秘史」(双葉社)を読んでみてください。すでに絶版になっていますが。
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