【SS】驟雨【トレウマ】

  • 1二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:30:41

     G1レースを間近に控えたある日の夕方、トレーナーはドリームジャーニーを気分転換に誘って外出した。
     一張一弛、大事な試合だからこそ息抜きは必要。
     お出かけの最中、一天俄かにかき曇り、時ならぬ降雨に見舞われてしまう。
     天気予報に雨マークがなかったためあいにく雨具の用意もなく、近くに雨宿りできそうな建物もない。
     吹きつける強風、勢いよく降り頻るコイン大の雨粒は、容赦なく二人の体を濡らしていく。
     あっという間に、項垂れたウマ耳から水滴が滴り落ちる。
     ウマ尻尾も濡れそぼっており、水分の重みで動きが鈍い。
     ドリームジャーニーが着ているグレーのブラウスは色が濃くなり、微かに下着のラインが浮き出ている。

  • 2二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:32:05

     トレーナーの白シャツも透けており足元も歩くたび水音がする。
     トレーナーは考えた、このままでは大事なレースを控えたドリームジャーニーの健康に支障をきたす、と。
     今いる場所から学園の栗東寮に帰るより、トレーナーの自宅に戻った方がはるかに近い。
     もちろん、担当ウマ娘を自宅に招くのは望ましくない。
     だが、それよりも大事な彼女に風邪など引かせるわけにはいかない、と判断したトレーナーはドリームジャーニーと共に自宅へ向かうことにした。



    「ジャーニー、入って。」
    「…失礼します、トレーナーさん。」
     電気をつけたトレーナー宅の玄関の三和土に立ち尽くすドリームジャーニー。

  • 3二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:33:20

     不意打ちのようなお宅訪問で緊張しないわけがない。
    「ジャーニー先にシャワーしてよ、そんなに濡れたままだと風邪ひくから。」
     そう勧めるトレーナーに躊躇いを隠せない。
    「私はウマ娘ですから、少々濡れたままでも問題ありません。トレーナーさんから先にお使いいただいだ方がよろしいのでは?」
     どちらがシャワーを先に使うかで小さく諍う二人だが、そこはトレーナーが譲らなかった。
    「レース出場を控えた君に、万が一のことがあってはいけない。だから、先に温まって欲しいんだ。」
     トレーナーが風邪をひいてもレースに支障はないが、ウマ娘の場合出場取り消しになってしまう。
     事態の重さを考えたら、どちらを優先するかは一目瞭然だった。

  • 4二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:35:21

    「…すみません。それではお先に。」
    「シャンプーやボディソープ、脱衣所のタオルは自由に使って。それから、君が着られそうな服がないか探しておくから。」
     ウマ尻尾まで隠れる服の用意などある訳がない。
     だが、トレーナー宅にウマ娘用の服があれば、その方が問題だろう。
     ドリームジャーニーを浴室に送り出し、トレーナーは急いで着替え、彼女でも着れそうな服がないか探しに行った。
     熱いシャワーを浴びながら、今日のことを振り返るドリームジャーニー。 
     用意周到な彼女は、実は雨具を用意してあった。
     だが、小柄な彼女一人がようやく入れる小さな折りたたみ傘では、強風が吹けばさしていてもさしてないのと同じこと。
     篠突く雨に降られたのは災難だったが、トレーナーのお宅訪問にまで漕ぎ着けられたのは奇貨居くべしと言うべきか。
     普段使いのものとは全く異なるシャンプーやリンスの香り。
     男性向けの、甘さが全くないそれらを身に纏いトレーナーと同じ香りに包まれることで、ドリームジャーニーの独占欲は密かに満たされた。

  • 5二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:36:48

     トレーナーを待たせているから、いつもよりかなり慌ただしく入浴を済ませ、洗い髪をきっちりタオルでまとめる。
     置いてあるビニール袋に、濡れた衣類はまとめて入れる。
     脱衣所の籠に入れられていたのは、着丈80センチはあるだろう迷彩服のジャケット。
     『君の膝まで隠れそうな服はこれしかなかった、ごめん』とのメモが添えられてある。
     トレーナーの心遣いに感謝しつつ、ドリームジャーニーはジャケットを羽織った。



     着替えたトレーナーはドリームジャーニーでも着られるものを手配するべくクローゼットを探す。
     最低でも彼女の膝まで隠れそうなもの、ウマ尻尾があっても問題なさそうなもの。
     白シャツでは透けが気になるだろうし、Tシャツでは丈が短すぎる。
     それらを勘案すると、手持ちの迷彩ジャケットぐらいしかなかった。

  • 6二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:40:52

     年頃のウマ娘に着せるには無骨にすぎるが、この際目を瞑ってもらうしかない。
     脱衣所の籠に衣類やタオルを用意して、これしかなかった旨のメモを置いておく。
     シャワーを浴びているすりガラス越しの姿にドギマギする。
     彼女の体調管理に必要なことだから。
     そう心の中で言い訳しても、胸の高鳴りは抑えられない。
     そうこうしているうちに、ドリームジャーニーが浴室から出てきた。
     迷彩服を着ている担当ウマ娘から、自分が使っているシャンプー類の香りがするのはどうにも落ち着かない。
     湯上がりで眼鏡を外し、頭にタオルを巻きつけているドリームジャーニー。
     いつもは大人びているはずなのに、何故か幼く見えてさらに鼓動が高まる。
    「トレーナーさん、お待たせいたしました。どうぞ。
    「あ、ああ。」
     物思いに耽りながら上の空でシャワーを浴びるトレーナー。
     しばらくは浴室から出られそうもなかった。

  • 7二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:43:42


     トレーナーがシャワーを浴びていても豪雨は続いている。
     雨足は衰えることなく、さらには遠雷まで聞こえはじめた。
     稲光が先行し、その後しばらくして稲妻が轟くのだが、だんだんその間隔が短く、雷鳴が大きくなっていく。
     トレーナーはその雷鳴に不穏さを感じ、手早くシャワーを済ませて部屋着を着た。
    「お疲れ様、ジャーニー。」
    「トレーナーさんこそ、お疲れ様でした。」
     湯上がりでまだ体はほてっている。
     このような非日常の出来事に、何と言えばいいのか言葉をかけあぐねる。
     その時窓の外で凄まじい閃光がきらめき、轟音と共に落雷した。
    「うわっ!」
     雷が落ちてすぐ、あたりは真っ暗闇と化し、トレーナーは驚きの叫び声をあげた。
     鼻をつままれてもわからない暗闇に、本能的に恐怖を覚えるトレーナー。

  • 8二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:46:27

     動きが取れず立ち尽くすトレーナーにドリームジャーニーが声をかけた。
    「トレーナーさん、私は少々夜目が利きます。その、手を繋いでも?」
    「こっちこそお願いするよ。」
     ドリームジャーニーに暗闇での誘導を依頼した。
     小さな手で右手を握られ、その温かさに少しずつ息が弾むのを抑えきれない。
    「こちらにソファがありますので、お座りになってください。」
     座るよう促されるが、どうにもこの温かな手を離しがたい。
    「あの、手を繋いだままでもいいかな?」
    「おやおや。ふふ…、貴方という人は…。」
     暗闇で表情は伺えないが、呆れたようにドリームジャーニーは微笑んだようだ。
    「私は構いませんよ?このままでも。」
     隣合わせてソファに座る。
     まだまだ余裕がある様子のドリームジャーニーに対し、自分だけが慌てているようで情けなくなってくる。

  • 9二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:49:27

    「…その、嫌じゃない?」
    「嫌であれば、どれだけ濡れてもお住まいにお邪魔などいたしません。その意味がわからないほど子供ではありませんから。」
     言外に好意を持っていると含まれたトレーナーは、ドリームジャーニーの肩に手を回す。
     至近距離でも表情さえわからない暗闇がトレーナーを大胆にさせていた。
    「ジャーニー、今度のレースが終わったら君のご両親にご挨拶させてほしいんだけど。」
    「はてさて。どのようなご用件でしょう?」
    「君と交際させてください、って。」
     フサフサしたウマ耳に、そう囁かれてドリームジャーニーの動きが止まる。
    「本当は卒業後に言うつもりだったんだけど、こうして君の温かさを知ってしまったら、早い方がいいと思って。」
     ドリームジャーニーとしても卒業までに地固めをしてじっくり外堀内堀を埋めるつもりだったのだが、何と本丸の方から開城してきた。
     ドリームジャーニーはウマ尻尾をトレーナーの腰に絡め、背中に腕を回す。

  • 10二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 20:50:52

    「そんなことをおっしゃってしまえば、もう私から逃げられませんよ?」
     今ならまだ間に合う、といわんばかりの言葉だが、もちろんドリームジャーニーとしてはゆめゆめ逃すつもりなど全くない。
    「逃げないよ。というか、俺だって君を逃がさないよ。」
     そのまま二人は抱き合い、お互いの体温を確かめる。
    「それでこそ、私が最も好ましく思うお方だ。」
     熱い吐息、そして唇が重なり合う。
     その後のことは、激しい雨音に全てかき消されてしまって何もわからない。



     ドリームジャーニーはその後、大レースに見事勝利した。
     メディア出演時に好きなものを問われた時、必ず『大雨と雷ですね』と答えていた。
     理由を問われても微笑むばかりで、決して答えなかったという。
    終わり

  • 11二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 22:35:01

    これには暴君もニッコリ

  • 12二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 22:43:16

    ちょっと途中飛んでんよ〜

  • 13二次元好きの匿名さん26/06/15(月) 23:08:30

    >>11

    あざす、ジャーニーはやれば出来る子


    >>12

    飛んでるところはセルフサービスでオナシャス

  • 14二次元好きの匿名さん26/06/16(火) 08:55:13

    やったんだな…姉上!

  • 15二次元好きの匿名さん26/06/16(火) 10:28:02

    イチャついてるのは健康にいい
    配布ブラストのイベント見る限りウマ娘は大きな音が苦手そうだから
    雷が鳴りやむまで一言断って耳塞いであげるとか可愛いなと思った(妄想)
    ジャーニーは耳触られるの嫌そうだけどそこは信頼度でなんとか……!

  • 16二次元好きの匿名さん26/06/16(火) 10:44:33

    ほう 雨宿りジャーニーですか…たいしたものですね
    トレーナーのお宅にお邪魔する姉うジャーニーはエネルギーの効率がきわめて高いらしくレース直前に愛飲するオルフェーヴルもいるくらいだ余
    それに特大タッパの迷彩ジャケット
    これも即効性のトレウマ食です しかも停電もそえてイベントバランスもいい
    それにしてもうまぴょい描写無しだというのにあれだけ興奮できるのは超人的なSS力というほかはない

  • 17二次元好きの匿名さん26/06/16(火) 12:46:00

    >>14

    ご想像にお任せする


    >>15

    あざす、大きな音苦手なんか>ウマ娘

    ジャニトレならウマ耳触っても許されそうな気がする予感


    >>16

    あざす、書きあぐねてたら現実がフィクションを上回ってしまった

    王よ、姉上に迷彩ジャケットを着せたい筆者の夢が叶ったでござる

    そのものズバリ描写よりも、レギュレーションに違反しない程度の匂わせや寸止めの方がよりそそられると思うの

  • 18二次元好きの匿名さん26/06/16(火) 22:11:23

    この日の前後での様子の変化とか比べてみたいですね

  • 19二次元好きの匿名さん26/06/16(火) 22:18:18

    >>卒業までに地固めをしてじっくり外堀内堀を埋めるつもりだったのだが、何と本丸の方から開城してきた。


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