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熊と薔薇(篤寛でtwstパロ)まとめ①/Novel by じゃこめし

熊と薔薇(篤寛でtwstパロ)まとめ①

12,469 character(s)24 mins

熊獣人でサバナ寮長のアツヤとハーツ寮長のヒロミでtwstパロです。パロ、獣人化など苦手な方には非推奨。たまに副寮長のイタドリとフシグロがちょろっと出ます。

Xで「🌹寮長コスの寛見が見たい!」と言ったら最高なフォロワーさんが最高の寮長ズを描いてくれたのがきっかけ。

そこから二人で盛り上がっては勢いのままに書いてX(べったー)にあげていたのがある程度溜まったので、もったいない精神でこっちにも修正しつついくつかまとめてあげる事にしました。

一部セリフやアイデアなどフォロワーさんからもらってます、パロ系あげた事無いので何か問題あればそっと教えてもらえると助かります…。

最近はこのパロしか書いてません、多分しばらくはこればっかり。ある程度まとまったらまたあげますが更新はXの方が早いので、もし早く読みたいよって奇特な方がいらしたらXのフォローをお願いします。

フォロワーさんの描いてくれた超絶可愛い寮長ズも誘導します、頼むから見てくれ本当にえろくて可愛くてかっこいいから。

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熊獣人でサバナ寮長のアツヤとハーツ寮長のヒロミでtwstパロです。パロ、獣人化など苦手な方には非推奨。たまに副寮長のイタドリとフシグロがちょろっと出ます。

基本的にXでフォロワーさんと盛り上がっては勢いで書いた物なのでキャラぶれ有り、繋がってないし長さもバラバラ。多少説明つけておきます。


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一応設定的な物(読まなくても大丈夫です)

アツヤ・・・サバナ寮長、熊の獣人。図体も態度もデカい。ユニーク魔法は熊化。しょっちゅうオフへされてるオフへ熊。ケンカップルの末にやっと口説き落とした美人の恋人にベタ惚れ。独占欲も嫉妬心も性欲も強い。真面目で清廉潔白が服着て歩いてるようなヒロミが自分に抱かれて乱れる姿に興奮している。

ヒロミ・・・ハーツ寮長、俺達の女王様。ユニーク魔法はそのままリドルから。決して小さくは無いのにアツヤの横に居ると小さく見える。クールに見えて独占欲も支配欲も気も強い。誰の言う事もきかない暴熊に首輪をかけて言う事をきかせられるのは自分だけという事実に優越感を感じて気持ち良くなっている。

ユウジ・・・サバナ副寮長、虎の獣人。アツヤを兄のように慕ってる。ヒロミと付き合えて良かったなと思いつつ、あんまり目の前でいちゃいちゃしないでほしいと思ってる。

メグミ・・・ハーツのしごでき副寮長、ウサギの獣人。人付き合いと感情表現が苦手で周りに馴染めなかったのを、ヒロミが優秀さを見抜いて右腕に育て上げた。


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〜ファーストコンタクトは式典で〜
(入学時の式典での初対面、この頃のヒグルマは見た目にコンプレックスがあるので男らしい男が嫌い)


クサカベがNRCに入学を決めた理由は、古い考えの同種族ばかりが集まってる地元でうだうだしてるよりかはいいか、ぐらいの軽いノリだった。だが鏡の間に集められた生徒達の多さにさっそく自分の選択を後悔していた。

かしこまった式典は嫌いだし、(耳用の穴が付いているとはいえ)フードがうっとおしいこの大袈裟な格好が暑苦しい。それに人混みは色んな匂いが混じるので大嫌いだ。自分は嗅覚だけだが、ヒト族より五感が優れている獣人は多くが人混みを好まない。

学園長だという胡散臭い面の男がニコニコと長話をしているのを右から左に聞き流していると、ふと目の前に立つ頭が僅かに揺れている事に気付いた。

初めはただ落ち着きのない男なのかと思った、もしくは自分のようにこの式典に飽きたのだと。しかしその体はやがてふらりと後ろに傾き、クサカベは咄嗟に胸の中に倒れる細い両肩を受け止めた。

「ッ!!」

獣人の自分に比べると薄い肩を受け止めた時にふわりと香った匂いに、一瞬ぞわりと毛が逆立った。何だ今のは、と思いつつ自分の胸までしか無い顔を覗き込んで、クサカベは言葉に詰まった。

瞼を半分閉じた青白い顔を見て一瞬女かと思って、いやいやここは男子校だとすぐに思い直した。これが普通の男ならすぐに「うっとおしい、さっさと離れろ」と体を押し返しただろう。

「っ、…おい」

面が良くて命拾いしたなコイツと心中で呟きながら、ぼうっとクサカベの胸にもたれかかる男に声をかけると男はゆっくり顎を持ち上げてクサカベを見上げた。パチパチと何度か瞬きして大きな瞳が見え隠れする度に、何故かクサカベは居心地の悪さを感じた。

男が自分の両肩を掴むクサカベの大きな掌を見て、それから自分がもたれているクサカベの胸を見て、また視線がクサカベの顔に戻る。恐らく寝不足か体調不良だろう、もしくは極度の緊張か?

いずれにしても倒れ込んできたのを支えてやったのだ、てっきり謝罪か礼を言われるものだと思ってクサカベは目を見開いた男が口を開くのを待った。

まさかその綺麗な顔が不快そうに歪むとは思っていなかったから。

「ッ……!離せ」

「は?」

汚いとでも言いたげな仕草で支えてやっていた手を振り払われて、クサカベの機嫌が一気に下降した。

「気安く触るな」

「…はあ?あのな、俺にもたれかかってきたのはお前の方だって、分かって言ってんのか?」

何だコイツ、人を痴漢みたいに言いやがって。イラついた顔で見下ろしても、男はさも自分が被害者かのように眉を寄せて「だとしても他人の体に気安く触れるな」とくるりと背を向けた。

強面の自覚がある自分に睨まれてもこんな対応が出来る胆力は評価してやりたい所だが、いやいやおかしいだろうが、と。美人だからって人を痴漢扱いするのは許せない。

「じゃあお前が人前で無様にぶっ倒れて恥をかくのを止めなきゃ良かった訳か?」

低い声で嫌味ったらしくそう唸ると、男はちらりとこちらを振り返りこう言った。

「そうだ。分かったら二度と俺に触れるな」

「!!ああそうかよ…よ〜〜く覚えとくぜ。お前、名前と寮は?」

この辺りに居るので新入生には間違い無いだろう。生意気にすました顔と妙に鼻につく匂いはもう覚えた、後は名前と所属寮をと思ってそう問うたのに。

男は振り返りもせず「野蛮な熊に教える名は無い」とだけ言うともう反応しなくなったのでクサカベは「コイツ絶対泣かす」と心に決めたのだった。



〜ビーンズデーでやり合う一年時の熊と薔薇〜
(初対面が最悪だったので顔を合わせては乱闘してた時期の二人)


その年のビーンズデーは怪物側が優勢だった。なんせ竪琴の前には半獣化したクサカベが陣取っていたのだ。どこから忍び寄っても優れた嗅覚でバレる上に、その巨体からは信じられないスピード、もちろんパワーは見た通り。次から次へとまさに千切っては投げ、の状態。

強靭な肉体は遠距離からの半端な魔法を跳ね返し、近付けば鋭い爪で地面ごと抉られそうになる。農民側は距離を取って様子見、怪物側は勝利を確信し後はクサカベに任せればいいやと高みの見物。

クサカベさえかわせれば勝てると考えた農民側は、苦肉の策でヒグルマを単身突撃させた。いや、正確にはヒグルマを中心に囮チームがクサカベを引きつけてる内に竪琴に触れようという作戦だったのだが、その頃のヒグルマとクサカベは顔を合わせれば乱闘というバチバチ時期。

頭に血が上ったヒグルマが飛び出したものの、ユニーク魔法を怪物側の上級生に弾かれ、その一瞬の隙を逃さず間合いを詰めたクサカベがヒグルマの細い首を片手で掴んだ(わざわざ腕をヒトに戻して)。

「ッ!!ぐ、っ…!!ォフ…ウィ…!ズ…!!」

「ハッ。無駄無駄。喉締め上げられてちゃ詠唱出来ねえだろ?」

「ぅ、ぐうッ……!!!」

ルール上、ヒグルマはもう怪物側に捕まったので失格だ。だというのにクサカベはヒグルマを離さず、楽しそうに笑う。

「苦しいか?離してほしいか?だったら言ってみな。“お願いします”ってよ」

「だ、れ…がッ…がはッ…!!!」

片手で容易く掴める程首も体も細く小さいのに、ヒグルマは自分の倍はありそうなクサカベの大きな手を酸欠になりつつも指でガリガリと引っ掻く。

息も絶え絶えな状態で生理的な涙を浮かべ、赤くなった顔でクサカベを睨む姿はまるで捕食寸前の子猫のようで、クサカベの嗜虐心をこれでもかと煽った。

ハッハッと無意識に荒くなる息に血走る目、舌舐めずりしながら首を掴んだ腕を持ち上げると、ヒグルマの両足が地面から離れた。

頭から丸呑みしてえ。

だらりと腕を垂らして最早ほとんど意識の無いヒグルマを見て、興奮状態の頭に浮かんだ欲望のまま、クサカベが大きな口をぱかりと開いた瞬間。

当時のハーツラビュル寮長の防御魔法がヒグルマを包み、サバナクロー寮長と傍観していた上級生達の攻撃&捕縛魔法がクサカベを直撃した。

ヒグルマはそのままハーツラビュル寮長に医務室へ運ばれ、クサカベはさすがに上級生の本気の魔法を雨あられと打たれてノックアウトされた。

その後、混乱の内に農民側の勝利でビーンズデーは幕を閉じたがハーツラビュル側の怒りは凄まじかった。

寮長同士で話をつけた結果か、クサカベはサバナクロー寮長に教育的指導という折檻を受けたがクサカベ本人はどうでも良かった。

寮長から受けた数多の傷より、掌に薄っすら残るヒグルマの爪の跡を見て騒ぐ胸の理由を探す事に忙しかったからだ。



〜熊に首輪をかける薔薇〜
(二年後期ぐらいのまだ付き合いたての二人)


年に数度ある、学内に来賓を迎えるようなイベントの日。既に来賓は門前へ到着しつつあり、各寮長を先頭に出迎えの為に生徒達は城の正面ホールに集まっていた。そのホールに学園長の悲鳴のような声が上がった。

「困りますよクサカベくんんん!!!」

「うるせえなあ」

なんだなんだとそちらを見れば、学園長が何かを握りしめながら半泣きでサバナクローの暴熊に詰め寄っていた。

「今日は地元の偉〜い人達やPTAの方々も来られるんですッ!!!愛想良くニコニコしろとは言いませんが、せめてネクタイは締めてください!!!!」

「断る、そんなもん付けてたらうっとおしくてたまらねえ」

どうやらいつも通りにノーネクタイでボタンを閉めないクサカベに、なんとかネクタイを締めさせようとしているらしい。

「ッ!!!あなたからも何とか言ってください!!寮長でしょう!?!?」

「別にいいだろネクタイぐらい。どうせ誰も見ねえよ」

「何言ってるんですか!!!!」

言っても聞くような熊では無いのでサバナクローの寮長にどうにかしろと詰め寄るが、こちらもどこ吹く風で欠伸をする始末。

「あぁ〜どうしましょう!もうすぐ来賓をお迎えしなければいけないのに……あっ!!!ヒグルマくん!!あなたにコレを託します!!!!」

困り果てた学園長の目に入ったのは、ハーツラビュルのヒグルマだ。入学時からクサカベとは犬猿の仲で顔を合わせては乱闘騒ぎを起こしていたが、二年に進級してからは取っ組み合いをする事はぐんと減り最近では嫌味こそ言い合うものの良きライバルとなっている様子。

頭が良く口も回る彼なら、クサカベにうまい事ネクタイを締めさせられるかもしれない!学園長は藁に縋る気持ちでヒグルマの手にネクタイを押し付けると早口で事情を説明した。

「もうあなたしか居ないんですッ!!どうにかクサカベくんにネクタイを…痛い!!」

泣きべそかいた学園長にぎゅうと両手を握られて目を白黒させるヒグルマが何か答える前に、その繋がれた手をクサカベがべしんと叩いた。学園長が痛みで手を離した事で、二人の手からはらりとネクタイが落ちた。

「何をするんですクサカベくん!!学園長に対する暴力行為なんて退学になっても文句は言えませんよッ!?!?」

「ぐるる……」

「何故私に対して唸るんですか!?そんなにネクタイが嫌なんですか!?!?」

凶悪な顔で唸るクサカベに、叩かれた手を摩りながらもう何が何やらという様子の学園長。ヒグルマは落ちたネクタイを拾うと軽く埃を払い、表情を変えずに「承知しました学園長」と言うとくるりと背を向けた。

「クサカベ、ここで騒いでは皆の迷惑になる。顔を…いや、首を貸せ」

「ぁあ!?」

「ちょ、暴力はダメですよ暴力は!魔法も禁止!!分かってますね!?」

噛みつきそうな勢いでヒグルマを追うクサカベに思わず学園長が付け足すが、ヒグルマは顔だけ振り返ると短く「勿論です、お任せを」とだけ返した。

近くの空き部屋に向かう二つの背中に不安がよぎるが、もうヒグルマに任せるしかないかと学園長は外へ足を向けた。空き部屋へ入るとヒグルマは扉を施錠した。クサカベは面白くなさそうな顔で壁にもたれている。

「クサカベ、屈め」

「断る」

「クサカベ」

無理矢理魔法で締めようとしても抵抗して長引くだけだろうと、ヒグルマが手ずから締めてやろうとネクタイ片手に前へ立っても、クサカベはぷいとそっぽを向く。

(コイツ…トランプ兵でも無いのにこの俺がわざわざ締めてやろうというのに…。うちのトランプ兵なら涙流して喜ぶのに…!)

無礼者めと気分を害しながら、少し前に恋仲になったこの熊にどうすれば言う事を聞かせられるか考えた。最近ヒグルマはこの熊を躾けようと色々と試してる途中だったが、それは案外簡単なのかもしれないと思い始めていた。

「…アツヤ」

「……あんだよ」

まず、名前を呼ぶと必ずこちらを向く。よし、次はこの無駄にデカい体を屈ませるか座らせるかしないと、(腹立たしいが)手が届かない。ヒグルマはとりあえずもう一度「屈め」と言ってみたが、ふんと鼻を鳴らして無視された。

不機嫌そうなクサカベの顔に見下ろされながら、さてどうするかなと考える。そして、あまり使いたく無い手ではあるがとりあえず首を捕まえないと話にならないと、ヒグルマは顎に当てていた指を自分の薄い唇に当てた。

「アツヤ」

「んだよ…」

「口付けを許可する」

「!!!」

そう言われてクサカベは歓喜の表情を隠せなかった。何せ二人は最悪の初対面から乱闘時期を経て、まだ交際を始めて間も無い。クサカベの本気を疑い嫌悪を露わにするヒグルマに、恥を忍んで愛を囁き必死に口説き落としたばかり。

やっとの思いで交際を了承してくれた日、嬉しさと愛しさのままクサカベが抱き締めてキスしようとしたら怒り狂って首を刎ねられた。そうして真っ赤なヒグルマに「破廉恥な!やっぱり交際は無しにする!」なんて恐ろしい事を言われたので、しばらくは大人しくしてようとこれでも色々我慢しているのだ。

体に触れる時はもちろん人目の無い時にヒグルマの様子を見ながら恐る恐る。当然キスなんて両手で数える程、口になんてまだ数回しか許してもらってない。

そんな状況で唇に触れる許可が出た。格好つけて「何だそりゃ?そんなもんで俺が尻尾振って喜ぶとでも思ったのか」とでも言いたい所だが、意思に反して背中は壁を離れ腰に腕を回していた。

「いいのか」

「…舌は入れるなよ」

「………」

「返事は?」

「…わあったよ」

不満そうな返事だが、うなじに手が添えられ嬉しさが滲む顔が降りてきたのでヒグルマは体を固くしながら瞼を閉じた。ヒグルマが体に触れさせないのは、初めての交際で何もかも未知の世界だと尻込みしてるからだ。

体を引き寄せられるとどうしていいか分からないし、口付ける程顔を近付けられると恥ずかしくてたまらない。それについ最近までライバルだと思ってた男に好き勝手されるのは気に食わない。

食い付かんばかりに大きな口を動かしてちゅ、ちゅ、はむはむとヒグルマの唇を堪能しているクサカベの、うなじや腰に添えられた大きな掌とか、密着している体の熱さとか、うまく呼吸出来ず「ん…ふぅ…」と鳴る自分の声。

何もかもに心中では目を白黒させてるヒグルマだった。だけどそれが嫌な訳じゃ無かった。“あの”クサカベが背中を丸めて自分に夢中になって、愛しさや嬉しさを隠しきれず唇のみならず顔中にキスを降らせるのは気分が良い。

「ん…ふっ、クサカベ、くすぐったいぞ」

「アツヤ」

「アツヤ、くすぐったい」

「じゃあこっち」

また唇に戻ってきたクサカベが自分に夢中になってる内に、首に手を回した。クサカベは一瞬ヒグルマが珍しく乗り気になったのかと喜びかけたが、しゅるりと回されたネクタイに唇を離さないままじとりとヒグルマを睨んだ。薄っすら目を開けたヒグルマが、手を動かしながら笑う。

「オフウィズユアヘッド…なんてな」

「卑怯者め」

「キスしない方が良かったか?」

「そうは言ってねえ」

「あ、ちょっと待て。先に締めさせろ」

「…ぐえ」

「おっと、すまない」

文句言いつつまだキスしようとするクサカベに、わざと強めにネクタイを締めてやった。ちょいと調整して見栄えを確認してから、ぽんと軽く叩いた。ミッションコンプリートだ。

「よし、じゃあホールへ…」と背を向けようとしたヒグルマの腰を、「そうはいかねえよ」と再度引き寄せ、今度は深く口付けた。

「!!んー!!……んっ、ふう…!」

噛み付くように開いたクサカベの大きな口に唇ごと覆われて、厚くて大きな舌が口内を好き勝手に動く。まだディープキスに慣れていないヒグルマが怒りながら抵抗するが、この体格差で口を塞がれてはなす術が無い。

じゅうと舌を吸われて背中がビリビリ震え、情け無くも体の力が抜けていく。そんなヒグルマを抱き抱えるようにして、クサカベはヒグルマの口内を貪った。

次はいつ許可が出るか分からない、今の内に充電しておかないとと何度も角度を変えて舌を絡めた。はふはふとうまく呼吸出来ていないヒグルマが段々酸欠でぼーっとしてきて、緩んだ口から混ざった唾液が顎へと伝う。それをぺろりと舐めるとクサカベは唇を解放してやった。

「はっ、はぁっ、はぁっ……」

「ヒロミ…ヒロミ…」

目を伏せて必死に息を整えるヒグルマのぐったりした体を抱き締めながら、名残惜しくて頬に何度も口付ける。このまま抱きてえなあ、なんて思っていると徐々にヒグルマの目の焦点が合っていき…。

「オフウィズユアヘッドッ!!!!!!!」

「ぐあっ!?!?」

「舌は入れるなと言っただろう!!!!君は何を考えているんだ!!!同意無くこんな事をするのは暴行と変わらない!!!!この、野蛮な熊ッ!!!!!バカ熊ッ!!!!!!」

「いていて痛え!!!悪かったって!!ヒロミ!!!やめろってバカ!!」

「バカは君だ!!!!このッ…!よくも…!!!ファイア__」

「!!よせよせシャレになんねえぞ!!!!」

「動くなバカ熊ッ!!!俺が自ら躾けてやる!!!」

ブチギレたヒグルマは魔法を封じられたクサカベ相手に容赦無く魔法を連打する。クサカベはそれを自慢のスピードと肉体で何とか交わす。しばらく小競り合いをしてからヒグルマは肩を怒らせてホールへ戻って行った。

(あ〜やっちまった。ちょっとだけ舌入れるつもりがガッツリ楽しんじまった。めんどくせえなあ…ありゃしばらく口きかねえぞ)

鼻息荒く真っ赤な顔のヒグルマが空き部屋から出てきたかと思えば、服と髪を若干焦がしたオフへ状態のクサカベが続いて、周囲の生徒達は「ま〜たやったのか」「最近大人しくなったと思ったのになあ」なんてちょっとずれた勘違いをした。



〜ご機嫌ななめの熊がハーツに乗り込んでくる〜(三年初期)


お茶会まで一時間を切り準備に慌ただしいハーツラビュル寮のキッチンに、庭で準備中の筈のトランプ兵の一人が慌ただしく駆け込んだ。

「大変です寮長ッ!!!」

「…何事だ?」

いつものようにきっちり寮服を着込んでキッチンを監督していたヒグルマが、滞りなく進んでいた流れを止めたトランプ兵をじろりと睨んだ。その美しくも恐ろしい表情にたじろぎつつ、トランプ兵はヒグルマの耳元に口を寄せて声を落とした。

「…サバナクローの、クサカベ…寮長が、庭に」

「!!………メグミ」

「はい寮長」

ぴくりと眉を上げたヒグルマは副寮長のフシグロに「少し外す、ここは任せた」とだけ言うと出口へ向かった。トランプ兵の表情や声色から、それが好意的な来訪では無いと読み取ったからだ(そもそも彼がここへ足を運ぶ事は滅多に無い)。

マントをたなびかせカツカツとヒールを鳴らす女王の背中に、フシグロは「承知しました、行ってらっしゃいませ」と頭を下げた。早いリズムでヒールを鳴らすヒグルマに小走りでついて行きながら、トランプ兵は手短に説明を始めた。

トランプ兵達がテーブルのセッティングをしていた所へふらりと現れたクサカベは、不敬にも女王専用の椅子にどかりと腰を下ろすと一言「女王様を呼べ」と言ったそうな。

「即刻つまみ出そうかとも思ったんですが…」

「いや、適切な判断だ。用件はともかくアレ相手ではお前達では歯が立たない。…無作法者の躾は俺がする」

トランプ兵がクサカベをその場で追い返さなかった理由はいくつかある。

一つ、押しかけてきたとはいえ仮にも相手は寮長。自分達の判断で追い返して良いクラスの人物じゃ無い。
二つ、そもそも女王様と副寮長以外にあのクサカベを力付くで追い返すなんて出来ない。刺激しないよう遠巻きにするのが精一杯。
三つ、我らが女王様の“赤い薔薇”に誰も逆らえない。

そう、何をどうしたらそうなるのか、あの粗野で野蛮な毛むくじゃらの熊(ハーツラビュル寮生談)は女王様の恋人なのだ。学園七不思議の一つと揶揄されるぐらいの異色カップルは入学当初から犬猿の仲だったのに。

一年の頃は乱闘騒ぎも数知れず、女王の法律の鬼と呼ばれるヒグルマがクサカベ相手だと当時は魔法も手も出る始末。二年に進級して乱闘騒ぎこそ無くなったものの、たまに顔を合わせれば嫌味の応酬。三年になりしばらくして、気付いた時には二人は恋人になっていた。いや、周りが知らなかっただけで恐らくもっと前からだろう。

とはいえ人前でそれらしい言動をとる事はほとんど無く、今までのように顔を合わせては一言二言ちくりと嫌味を言い合うような関係は変わらず。しかしお互いが自分以外に害される、またはアプローチをかけられると、手がつけられないくらい暴れ出すのだ。

イベントで校内を訪れていた外部の男にヒグルマが腕を引かれてタチの悪いナンパをされた時の事。たまたま近くに居たクサカベはブチ切れて怒りのままその男に向かって突進した。

随行していたサバナクローの寮生数人が体当たりで止めようとしたが、ユニーク魔法が暴走したのかただでさえ大きいクサカベの体は常時より膨れ上がり、牙を向いて唸りながらも寮生を引きずって歩みを止めなかった。

あまりの恐怖にナンパ男はあっという間に失禁しながら気を失ったが、それでもなお男へ手を伸ばしながら暴れるクサカベを、周囲に居た生徒達が致し方なしと嬉々として魔法で攻撃したのだが、恐ろしい事にクサカベはそれらを自慢の肉体で跳ね除けたのだ。

「ダメだこりゃ」と早々に匙を投げて逃亡する生徒達、失神した男を抱えて泣きべそかいて震えてる男の仲間達。大騒ぎの現場で興奮したクサカベを止めたのは、他でも無いヒグルマで。

「アツヤ、もういい」

目の前に来たヒグルマの一言にクサカベはようやく止まったが、まだ鼻息荒く唸りながら男達を睨んでいた。ヒグルマが振り返りもせず「さっさと立ち去れ」と言うと、男達は失神した男を引きずって慌てふためいて逃げて行った。

獣の本能か思わずその背を追おうとぴくりと体が反応したクサカベに、ヒグルマが「アツヤ、ステイ」と言うと、不機嫌そうに「俺は犬じゃ無えぞ」と言いつつやっと怒気を収めた。

ヒグルマがクサカベの体中を押さえている(ぶら下がっている)サバナクロー寮生に「もういいぞ」と声をかけると、皆脱力して周囲に転がった。若干気まずそうに鼻を鳴らすクサカベに寄り添い、ヒグルマは「いい子だ」とうっとり笑った。

NRC生は学んだ、荒ぶる獣に見えない首輪を掛けられるのはヒグルマだけだと。

クサカベが他寮の生徒に強襲を受けた事があった。クサカベが寮長になって間も無い頃だ。クサカベの先代寮長に恨みがあったらしく、理不尽にもクサカベでその恨みを晴らそうとしたのだ。

さすがのクサカベも一人きりの時に多数に囲まれた上に、自寮の下級生を人質にまでとられてはなす術が無かった。「俺達からの就任祝いだぜ!」と四方八方から攻撃魔法を浴びせられ、防戦するしか無かったヒグルマは袋叩きにあい医務室まで運ばれた。

一部始終を聞き、仏頂面で医務室のベッドへ寝転ぶクサカベを見たヒグルマはぷっつんし、周囲の止める声も聞かず単身他寮へ乗り込んだ。「謂れのない恨みで複数で襲うとはあまりに卑劣」「俺が首を刎ねてやろう」と怒りに顔を歪めながらユニーク魔法を連発、該当者だけで無く止めに入った全員の首を刎ね続けた。

オーバーブロッド寸前まで魔法を連発したヒグルマを止めたのもまた、クサカベだった。

「もうやめろヒロミ」

寮生の肩を借り松葉杖で駆けつけたクサカベにすら、ヒグルマは「誰に向かって言っている!?君は黙っていろ!」と怒りを露わにしたが、クサカベはただ「ん、」と腕を広げた。

鼻息荒くマジカルペンを振り上げたまま数秒固まったヒグルマだったが、やがてだらりと腕を下ろすとゆっくりクサカベに近寄ってその腕の中に収まった。

痛む体でそっと抱き締めて「ありがとな、もう十分だから」と背を撫でてやると、色々と衝撃でざわついている周囲をじろりと睨んで「見せもんじゃねえぞ」と威嚇するが、死屍累々状態の周囲の生徒達は「いやここハーツでもサバナでも無いんですけど…いちゃつくなら自分の寮帰ってくれませんかね…」と思ったが誰も言えなかった。

ともかく、普段がどうあれ有事の際は抑えがきかないほどお互いを愛しているらしい二人だ。下手につついて被害を被りたくは無いと、NRC生はこの二人が揃うとそそくさと逃げるようになった。

そんなクサカベが、アポも無しにお茶会間際のハーツラビュルの庭に現れたのだ。しかも見るからに機嫌が悪い。絶対に関わりたく無い。トランプ兵の心中はさておき、ヒグルマの心中も穏やかで無かった。

クサカベはヒグルマの城であるハーツラビュルを「目が痛くなる、臭い」と苦手として近付きたがらない。粗野に見せてアポも無しに押し掛けるような男では無いし、お茶会の事もちゃんと記憶している筈なのに"今"やって来たという事は、緊急事態かトラブルか…とにかく嬉しい訪問では無いだろう。ヒグルマとしてもお茶会の準備を邪魔されて苛立っているが、まずは現状の確認だ。

慣れた道を進みお茶会会場へ辿り着く。可愛い自分のトランプ兵達は生垣や薔薇の木に隠れてすっかり怯えてしまっている。長い長いテーブルの一番奥。クサカベは女王だけが座る事を許された椅子に不機嫌な顔でふんぞり返って座ってるだけでなく、足をテーブルに上げている。

それを見た瞬間ブチッとスイッチが入ったヒグルマが、マジカルペンを構えながら足早にクサカベへ歩み寄った。

「今 す ぐ 足 を お ろ せ !!」

「おうおう、やあっとお出ましかよ女王様」

「女王の法律以前の問題だ!君には人としての振る舞い方から教えなければならないようだな?」

「これは失礼を女王陛下…なんせこちとら下賤な獣故、平にご容赦を」

「よくも俺の庭で、俺のお茶会をぶち壊すような真似が出来たなクサカベ…!当然首を刎ねられる覚悟がおありだな?オフウィズ…!「ほら」…ッ…何だ…?」

怒りのまま首を刎ねようとして、想定外の行動に虚をつかれた。クサカベが拳を突き出したので殴りかかってきたのかと思った。しかしクサカベからは攻撃の意思は感じず、それは握った何かを渡そうとしている動きだった。

「さっさと受け取れ」

「…何だこれは」

「忘れもんだよ」

「何?」

言われて訝しげな顔のまま左手で受け取る、右手に握ったマジカルペンはまだクサカベを狙っていた。クサカベの大きな掌から落とされたのは、制服のネクタイに付けているピンズだった。

それを見てハッと息を飲んだ。午前中に人目を忍んで肌を重ねた時にその場に忘れてしまったらしい。動揺を隠してさっとポケットへしまい込む。トランプ兵達がクサカベを恐れて遠巻きにしていて良かった、この距離では分かるまい。

ようやくマジカルペンが下がったところで、クサカベははあとこれみよがしにため息を吐くと文句を垂れた。

「うとうとした俺も悪かったけどなあ、久しぶりに二人になれて抱き合ってよお、昼過ぎまでは居れるって言うから休憩したらもう一回と思ってたのに…起きたらお前は居ねえし。そんなんありかよ?」

「ぐっ…」

クサカベが機嫌の悪い理由が分かった。お互い忙しい身で、半月ぶりにようやく時間が作れて体を重ねたのに、一回戦が終わるとお互いの体温が心地良くて二人してうとうとしてしまったのだ。

先に起きたヒグルマは時計を見て慌てて服を着て、申し訳ないが今起こすと引き止められるのは目に見えてるからとクサカベを置いてその場を去った。それに怒っているから、"わざわざ"お茶会前の庭に現れたのだ。

「ぅ…悪かった…」

「何?聞こえねえよ。あ〜あ、お前が俺の体目当てだったとはなあ!さすがの俺もショックだわ」

「やめろ…!俺のトランプ兵達に聞こえる!!」

わざとらしく呆れ声を上げるクサカベに焦ったヒグルマが、その口を塞ごうと胸元に飛び込むようにして手を伸ばした。どうしても獣人の自分より小さな体が、魔法を使う事も忘れて一生懸命口を塞ごうとするのを愛らしく感じつつニヤニヤとかわす。

「傷付いたから暴れちゃおっかな」

「やめろシャレにならん!!女王の法律〇〇条によりお茶会に招待されていない者は__ッ!!」

招待されていない者がどうなるかは、クサカベには分からなかった。続きは漏れ出す空気ごと自分が食べてしまったから。
周囲から聞こえる悲鳴にクサカベが気分を良くする一方、ヒグルマは人前でこんな事をされている怒りと、恋人を一人置き去りにした罪悪感で頭が混乱して咄嗟に体が動かず、どうすべきかと迷う腕がうろうろと彷徨ってる間に後頭部と腰に手が回り、背がのけ反るくらい深く口付けられた。

「んぅ!んー!!」

文句はクサカベの口内に消え、抗議するように胸元を叩いてもその立派な筋肉にはまるで効果が無い。動揺のせいでうまく鼻から息を吸えず息も絶え絶えになりじわりと体から力が抜けた頃、のけ反った姿勢のまま唇が解放され二人の間につぅ、と糸が張った。

クサカベがそれをペロリと舐め、「女王陛下、万歳__なんてな」と、自分の前でしか見せない、つい数時間前にも見たいやらしい顔で笑った。



(ハァッ…!ハァ…!…オフウィズユアヘッドッ!!!!!!!!!!)

(いっ!?あにすんだお前ッ!?!?)

(それはこちらのセリフだ!一体いくつ女王の法律を破れば気が澄むんだ君はッ!!あり得ない、信じられない、君のような無作法者が俺の庭に足を踏み入れてるなんて許しがたい!首を刎ねてやるッ…!!!)

(もう刎ねてるだろうが!!!!)

(うるさいッ!!!このバカ熊!お茶会が台無しだ、どうしてくれる!!)

Comments

  • Natukaze

    最高…!最高でした…!

    Mar 28th
  • 小夜双☆スカィWeb
    November 21, 2025
  • ミッキー
    November 20, 2025
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