☆ペル方程式の解の構造
完全に知識問題の🤡ホイホイなので一般論を暗記しておきましょう。
いろいろな話が出てきてぐちゃぐちゃするかもしれませんが、1番重要なのは次の定石です。
☆相方を持ち出せ
・a+√bと言われたらa-√b
・a+biと言われたらa-bi
・sinと言われたらcos
は相方であり、一緒に扱うと上手くいくことが多いので、何も言われなくても自分で持ち出しましょう。この知識だけで解ける問題も多いです。
類題:1993東工大後期2, 2003東大理系4, 2019早稲田商1(4), 2020京大理系2
まず、ペル方程式の概要について解説します。不定方程式x²-dy²=1 (x, yは整数, dは平方数でない自然数) をペル方程式と言います。dが平方数の場合は(x+√dy)(x-√dy)=±1という因数分解型に帰着するので、dが平方数でない場合が考察対象です。
ペル方程式の解は、
・x²-dy²=1は無数の解を持つ。
・x²-dy²=-1は解を1つも持たないか、無数の解を持つ。
ことが知られています。
例えば、x²-3y²=-1は解を持ちませんが、これはmod3で簡単に分かります。
この解の個数から予想されるように、ペル方程式には、解を1つ見つけるとそこから解を無限生成するアルゴリズムがあります。このアルゴリズムはざっくり言うと次のようなものです。これはパッと答えられるように暗記してください。
ペル方程式x²-dy²=1の最小の非自明解を(a, b)とし、(a+b√d)ⁿ=aₙ+bₙ√dによってaₙ, bₙを定めると、(aₙ, bₙ)はaₙ²-dbₙ²=1を満たす。さらにこの(x, y)=(aₙ, bₙ)がペル方程式の解のすべてである。
では、このアルゴリズムについて解説していきます。次の5ステップから構成されます。
①対称性の利用
ペル方程式はxを-x, yを-yとしても変わらないことから、x>0かつy>0で考えることにします。他の解は適当に±をつければ作れるからです。また、(x, y)=(±1, 0)という自明解がありますが、この解は無限生成につながらないので一旦無視します。
②最小の正の非自明解を見つける
無限生成のスタートとなる解を見つけます。最小と言ってもどのような基準で最小と言うかが不明瞭では困るので、きちんと定式化します。x+√dy>1を満たす最小の(x, y)=(a, b)をペル方程式の最小解と言います。この最小解を求めるのは意外と難しいですが、ポイントは☆相方を持ち出せです。
③n乗を展開する漸化式を作る
(a+b√d)ⁿ=aₙ+bₙ√d (aₙ, bₙは整数) によって数列aₙ, bₙを定めます。このとき、(a+b√d)ⁿ⁺¹=(a+b√d)ⁿ(a+b√d)からaₙ, bₙは簡単に漸化式が作れます。さらに、相方について(a-b√d)ⁿ=aₙ-bₙ√dが成り立ちます。これは二項定理からほぼ明らかですが、帰納法で示しておくのが安全です。
さて、連立漸化式(a+b√d)ⁿ=aₙ+bₙ√d, (a-b√d)ⁿ=aₙ-bₙ√dは、
・和と差をとるとaₙ, bₙが求まる。(係数交換型の連立漸化式のため。)
・積をとるとaₙ²-dbₙ²=1が分かる。つまり、ペル方程式の解を見つけられる。
一般項は汚いのであまり使いませんが、求まることは知っておいてください。これで解の漸化式ができたので、(a₁, b₁)=(a, b)からどんどん次の解を求めていくことができます。ペル方程式を表に出さずにこの漸化式が帰納法の練習問題として出題されることも多いです。
④単調性から解が無限に存在することを示す
③だけでは(x, y)=(aₙ, bₙ)が無限に存在することまでは言えません。途中で同じ項が現れて、以降は循環する可能性があるからです。どの組(aₙ, bₙ)も等しくないことを直接示すのは難しいですが、ペル方程式の場合、a₁<a₂<...<aₙ<...という単調性が言えて、ここから循環を否定できます。ペル方程式の問題以外でも「無限に存在することを示せ」と言われて循環を否定したい場合は「単調性の利用」を疑ってください。単調でもない数列の循環を否定するのはなかなか難しいはずです。
類題:2022千葉大7
⑤漸化式で得られる解がすべてであることを示す
漸化式(a+b√d)ⁿ=aₙ+bₙ√dによって、ペル方程式の解が無限生成できることは分かりましたが、他にも解があるかはまだ分かっていません。実はこれ以外に解はないのですが、それを示します。なかなか技巧的な方法です。a+b√d>1なので、どんな実数zも、nを上手く選ぶと、区間(a+b√d)ⁿ≦z<(a+b√d)ⁿ⁺¹に含まれます。同様に、x²-dy²=1を満たす(x, y)は、nを上手く選ぶと、区間(a+b√d)ⁿ≦x+y√d<(a+b√d)ⁿ⁺¹に含まれます。このように考えると「x²-dy²=1のとき、(a+b√d)ⁿ≦x+y√d<(a+b√d)ⁿ⁺¹ならばx+y√d=(a+b√d)ⁿであること」が帰納法で示せます。n=k→k+1の証明よりも、n=1のときの証明に手間がかかりますが、ここでも重要なのは☆相方を持ち出せです。
ペル方程式の解の無限生成アルゴリズムは以上です。この流れを暗記できていれば引用元の2015早稲田理工2, 1967京大理系4, 1985東工大1も単純作業として解けるはずです。
完全に2015年早稲田理工🥸
この流れさえ覚えておけばペル方程式の問題で困ることはないから暗記する価値のある問題
ペル方程式の難問だと1967年京大や1985年東工大が有名だけど早稲田の問題を覚えてれば解ける(というか覚えてないと無理)