本日警察署よりトレント刑事告訴の件で連絡がありました
BitTorrentによる著作権侵害事件における刑事告訴と捜査着手について
1. 刑事告訴に基づく捜査の着手
当事務所が刑事告訴を行っておりました著作権法違反被疑事件につきまして、捜査機関が先日、被疑者の自宅に対する捜査を行ったとの連絡を受けました。
なお、捜査の時期及び担当警察署等の具体的情報につきましては、捜査の性質に鑑み、本稿では記載いたしません。
また、これまで告訴した件についても随時捜査が開始されることが予想されます。
2. BitTorrentによるアップロードと刑事責任
BitTorrentの仕組み上、ファイルをダウンロードする利用者は、その過程において、同時にファイルの一部を不特定多数の他者へ送信(アップロード)しています。これは、著作権法上の公衆送信権及び送信可能化権の侵害に該当します。「ダウンロードしていたにすぎない」との認識であっても、技術的にはアップロードを行っている点に留意が必要です。
著作権侵害の罪につきましては、著作権法第119条第1項により、10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又はこれらの併科が定められています。
さらに、近年の著作権法改正により、違法にアップロードされた著作物であることを知りながらこれをダウンロードする行為についても、刑事罰の対象とされています。従前、ダウンロードに対する刑事罰は音楽及び映像に限られておりましたが、令和2年の著作権法改正(令和3年1月1日施行)により、漫画・書籍・論文・プログラム等を含む著作物全般へと対象が拡大されました。正規に有償で提供されている著作物等について、違法にアップロードされたものと知りながら、継続的又は反復してダウンロードした場合には、著作権法第119条第3項により、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、又はこれらの併科の対象となり得ます。
すなわち、BitTorrentの利用者は、ダウンロードと同時にアップロードを行っているため、アップロード及びダウンロードの双方の側面において、刑事責任を問われ得ることとなります。「ダウンロードしていただけだから問題ない」という認識は、もはや成り立ちません。
トレントによる著作権侵害が「民事上の和解により完結する」との理解は、もはや実態に即したものではありません。違法アップロードは、損害賠償という民事責任の問題にとどまらず、刑事責任を問われ得る犯罪行為です。
3. 当事務所の対応方針
当事務所は、権利者の正当な権利を実効的に保護するため、悪質な著作権侵害事案につきましては、今後も刑事告訴を積極的に活用してまいります。
とりわけ、正当な理由なく交渉そのものを拒絶する事案につきましては、刑事告訴を積極的に検討いたします。
その典型は、発信者の特定の前提となるログの保存期間が経過するのを待ち、時間の経過により責任を免れようとする対応です。
かかる対応は、交渉による早期解決の機会を放棄するものであり、その態様によっては、事案の悪質性を基礎づける事情となり得ます。誠実な対応を行わず、時間の経過による時効を図る事案に対しましては、民事の枠組みにとどまらず、刑事告訴を含む厳格な対応を講じる方針です。
民事上の損害賠償請求と刑事告訴は、いずれか一方のみを選択すべきものではありません。事案の悪質性・反復性及び対応の誠実性に応じ、両者を併用しながら、権利者の被害回復と侵害行為の抑止を図ってまいります。
権利者の皆様へ
当事務所では、これまでの刑事告訴の積み重ねを通じて、告訴の手続・方法に関する実務上のノウハウを蓄積してまいりました。 これにより、告訴状の作成から捜査機関との対応に至るまで、円滑かつ的確に進めることが可能となっております。
さらに、郵送による告訴にも対応できる体制を整えております。 これにより、所在地を問わず、全国の事案について迅速に刑事告訴の手続を進めることが可能です。地方の権利者の皆様、あるいは被疑者が遠隔地に所在する事案につきましても、お気軽にご相談ください。


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