博士課程で欧州に渡った若手研究者が見た「残酷な格差」
「日本ではこんな大きな研究は、旧帝大クラスでもないとなかなかできませんよ」
オーストリアの大学に留学したばかりの頃、鉄道車両のブレーキに関する研究に取り組む李白さん(Xアカウント名、30代)は、指導教授との打ち合わせの中でそう打ち明けた。
すると教授は驚いた表情を浮かべ、こう問い返したという。
「それではどうやって後進を育てるんだ?」
李白さんにとって、その一言は日本と欧州の研究環境の違いを象徴する出来事だった。
李白さんに、なぜ日本を離れたのかと尋ねると、こう答えた。「待遇と研究規模の格差です」
博士課程という高度人材育成の場は、将来の研究力や産業競争力を左右する重要な基盤だ。しかし欧州では博士課程の学生が「労働者」として手厚く支援される一方、日本では依然として「学生」として扱われるケースが多い。両者の差はどこにあるのだろうか。