後悔噬臍[参]
こんにちは。ご閲覧ありがとうございます。
コメントでお返ししている納期を守れず申し訳ないです。
ほぼ月1更新となっておりますが、少しづつアップ出来たらと思ってます。
【注意書き】
■某掲示板の甚爾/髙羽/日車が高専の同期だった世界線を参考にしたIFストーリー
真面目にこの御三方が好きだったので、神スレありがとうございました
■掲示板の内容を参考にしたり、自分の解釈を突っ込んで居います
■腐界隈の人間が書いて居るため、苦手な方はご注意いを
■術式などしっかりと理解していない点がある為、ツッコミ所が多々あるかと思います。ノリで凌いでください。
■主のセンスの都合上髙羽さんにギャグ要素ありません。
□オリキャラがでております
□存記トリオの過去捏造
□相変わらずな、ご都合設定ありです
□視点がコロコロ変わります。
□誤字は見つけ次第修正しております┏○┓
→なんでも許せる方向け( .. )
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7.side髙羽
古びたビルの廃墟の中、術式を突破して呪詛師を屋上まで追い詰めた。
呪力を使い過ぎたのか、今までの様な攻撃は出てこない。屋上の隅に移動する呪詛師を追う新藤は、スラックスのポケットに両手を入れながら歩いている。
ついに逃げ場を無くした呪詛師は来るなと叫んでいたが、新藤はお構いなしに近づく。楽しそうに鼻歌を交えながら。
フェンスを乗り越え、できる限り距離を取ろうとする呪詛師に向かい、新藤は手を掲げ、俺に顔を向けた。
「呪詛師に容赦はしちゃいけないよ。だって、生きてる価値ないからね。」
そう言って間もなく、新藤は自らの術式を使用し、屋上から呪詛師を突き落とした。
俺がその場に座り込んで直ぐ、ドサッという音が聞こえた。
「おい!史彦!!」
隣に居た筈の夜蛾センの声が遠くに聞こえる。そして、それからの記憶は無い。
ーーーーーーーーーー
「寒い…。」
閉じ込められてから、どの位の時間が経ったのだろうか。暗闇に目が慣れてきたとはいえ、今の俺に出来る事は無い。
部屋は木製の様で、呪力強化で壁をブチ破る手段は取れなく無いが、破壊する音が響いてしまう。しかも今は深夜だ。騒ぎを起こす訳にはいかない。
それに、騒ぎを起こしてしまえば、楽しいを優先していた俺と違って、真面目に任務を進めているであろうとーじやヒロミちゃんにも迷惑を掛けてしまう。
でも、光一君を放っておいても、2人に何らかの危害が及ぶかも知れない…。
「(ホント…何やってんだろ、俺。)」
自分の不甲斐なさを感じると同時に、
「(でも…、)」
俺が何かしなくても、とーじとヒロミちゃんなら何だかんだ上手く対処してしまうのではないかと思った。
そして、俺が捕まった事を2人が知ったら、怒るかな。呆れるだろうか、それとも…、
「(何も思われなかったら…少し寂しいな。)」
手や足先が寒さのせいで感覚が無くなってきていて、思考も凍ってしまったかの様にマイナス方向にしか考えられない。
『呪詛師に容赦はしちゃいけないよ。だって、生きてる価値ないからね。』
そんな時に限って、新藤の言葉が頭に反芻する。
8.side甚爾
「厳重な警備だこと。」
「同業者が絡んでますからね。」
「だろうな。」
オークション会場に入り、周りを見渡しながら呟くと、家永がそれを拾って返事を返した。
招待された夕食の席、並べられた料理は中々豪華な物だった。だが、俺が先に食べた料理をその後爺さんが手を付けていたから、毒味役もやらされていたのだろう。
てか、殆どの毒なんざ効かない体質の為、俺が食べれても安全とは限らないのだが、面倒なので黙っておいた。まぁ無事だったので、毒の心配は無かったのだろう。
オークションの開始時間は深夜0時から。それまで食事をしていた部屋で時間を過ごし、30分前になってから会場に移動した。
会場は船の地下2階。参加者は席から競りができるような配置になっており、飲み物やフルーツ等が配られていた。
参加資格の無い者は会場の扉から入る事も許されず、もちろん室内に窓は無い。ぱっと見、今入って来た他に出入口があるとすれば、商品が並べられるステージの左右に部屋があるかどうかだ。
「(俺が狙うとしたら…。)」
俺が日車の立場なら、先ずはターゲットである呪物と保管場所の確認、次にオークション会場と開催時間・出品時間の把握をして、奪還するタイミングを計る。
競りの前に物が無くなれば騒ぎになるし、落札者の元に商品が渡れば確保は難しくなる。その為、事を起こすなら競りが終わり、引き渡される迄の合間を狙う。
『もし、何かのハプニングが起こり、落札者から日本刀が離される場面がありましたら、確保して頂きたい。』
が、家永の台詞からすると、他の人間も狙っている可能性が高いと云う事だが、考えた間以外に行動する時間は無い。
「(レプリカとかがあれば別だろうが…。)」
実際に見た事も、触ったことも無い者の模造品など用意できる訳もない。
そもそも本来、特級呪物は一般の人間が扱える代物ではない。呪いの力に当てられ、正気を失う事もある。
もちろん呪術師、呪詛師と云えど気持ちが沈んでいたり安定していない時に触らない方が良い物だ。"鬼丸国綱"って名刀の方が、爺さん含めて重要なんだろうけれど。
「(俺の武器に欲しい位だぜ。)」
それが正直な感想で、今回同級の任務のターゲットでなければ俺が奪って帰る所だ。武器庫に入れてしまえば持ち運び自由である。
「(まぁ、特級呪物でなければの話しだけども。)」
その様な事を考えながらテーブルの上に置いてあるマスカットを一粒摘む。
皮ごと口に含み、溢れる果汁と実の食感を堪能しながら周囲をさっと見回す。
「静かすぎるな。」
会場はオークションの参加者の声で溢れている。静かと表現したのは、戦闘の気配が無いと云うことだ。主に髙羽の…。
日車ならともかく、髙羽の術式で呪詛師を相手にしているなら、呪力がぶつかる気配がしても良いはずだ。
それに、術式の使用なく確保なんて簡単に実行できることではないし、戦闘を何らかの形でしなくとも、どこかに捕まえておく必要がある。
「(逆に…あのお人好しの事だし、なく無い話だな。)」
さて、状況の整理だ。恐らく目当てのオークションまで俺が此処に居ても果物を食って待っているだけだ。髙羽はともかく近くに日車が潜んでる気配もねぇ。
見るからにこの会場内に呪詛師の類は居ない。怪しそうな奴は居るが、何かあっても辺見と鈴川で対処できるレベルだ。それに、家永も言ってはいないが銃、所持してるっぽいし。
「家永さんよ。」
「何でしょうか。」
「土井どこ行った?」
「組長の部屋ですよ。あいつは雑務兼、荷物番ですので基本は其方に居ます。」
「へぇ。」
荷物番ねぇ。
「どこへ行かれるんですか?」
会場から出ようとする俺に向かって家永が声をかける。
「便所。」
「ボディーガードですよ。」
「呪詛師が絡んでなきゃ何とかなるだろ。」
そう言って自分の左胸を叩いた後、指を銃の形にして家永を撃つ真似をすると家永はピクリと右眉を動かした。
ーーーーーーーーーー
オークション会場から出て、気になる形跡を追っていると後ろから何やら着いてくる気配がある。
「俺のこと知ってる人間?」
振り返りながらそう言うと、見たことも無い男がそこに立っていた。
「いや、初対面だな。」
男はそう答えると、胸ポケットから煙草を取り出して遠慮なく火を点ける。特に敵意は感じられない。
「ただの刑事だ。」
「その刑事が俺に何の用だよ。」
「そりゃ、監視対象の組織に新顔が居たら気になるだろう?」
一重の目つきの悪い男は軽い口調でそう答える。確かに相手も言い分も分からん事もない。
「お前名前は?」
「名乗るなら、そっちが先だろ。」
「まぁ、そうか。」
煙草を入れていた逆側のポケットから警察手帳を取り出し此方に見せる。
「孔時雨だ。」
「...…。」
初対面のヤクザの関係者に、警戒心もなく簡単に名前を教えるだろうか。
「わりぃ。俺、男の名前覚えるの苦手なんだわー。」
此方の名前は言わずに、そう答えて足を進める。
「ったく、名乗らせといて無視すんなよ。」
そんな小言が聞こえてきたが、どうらや相手はこれ以上は着いてくる気は無さそうだ。
「だってお前、まともな刑事じゃなさそうだし。」
振り返らずにそれだけ言うと、それ以上会話は無かった。
「("コン シウ"ねぇ。)」
何だか良く分からなねぇけど、ソイツとは長い付き合いになる気がした。