後悔噬臍[貮]
こんにちは。ご閲覧ありがとうございます。
そしてご無沙汰してました。
仕事と体調不良でこちらを後回しにしてました。
まだまだ、呪術及び存記にどハマりしてますので少しづつアップして行きたいです。
【注意書き】
■某掲示板の甚爾/髙羽/日車が高専の同期だった世界線を参考にしたIFストーリー
真面目にこの御三方が好きだったので、神スレありがとうございました
■掲示板の内容を参考にしたり、自分の解釈を突っ込んで居います
■腐界隈の人間が書いて居るため、苦手な方はご注意いを
■術式などしっかりと理解していない点がある為、ツッコミ所が多々あるかと思います。ノリで凌いでください。
■主のセンスの都合上髙羽さんにギャグ要素ありません。
□オリキャラがでております
□存記トリオの過去捏造
□相変わらずな、ご都合設定ありです
□誤字は見つけ次第修正しております┏○┓
→なんでも許せる方向け( .. )
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3.side甚爾
乗船して直ぐ、指示されていた場所に向かった。船の客室はランク毎に分かれており、内側、海側、海側バルコニー、スイート…そして、俺が今向かっているロイヤルスイートの5種類だ。
もちろん最上級の客室に部外者が簡単には入れる訳が無いのだが、来いと言われているのなら行くしかない。
「高専の呪術師ですね。」
人の気配が少なくなり、床が高価そうな絨毯へと切り替わる。歩く際の感触が違く、足音も響かない。そのまま少し進むと廊下に佇んでいたスーツに眼鏡を着用した男に話しかけられた。
呪術師…ではないが、高専からの指示で来たことには変わりない。そこを突っ込むのは面倒だ。
「そうだと言ったら?」
「失礼ですが、何か証明になるものを拝見しても?」
仕方がないので、本物の学生証を見せる。それをみて相手は納得すると、此方へどうぞと俺を促した。
そのままスーツ眼鏡の男に着いて行くと、ロイヤルスイートのエリアに辿りついた。そこには船のスタッフが立っており、チケットを確認している。
男は、俺をゲストと話すと素直にそのエリアに入る事が出来た。おそらく一人で来ていたら止められていただろう。何せ、依頼主の名前も知らないのだ。
「こちらの部屋に依頼主がいらっしゃいます。くれぐれも、失礼のない様にお願いします。」
ある一室の前まで来るとスーツ眼鏡が警告し、扉を開ける様に言われたため、言われるがままにドアノブを捻って戸を開け部屋に入る。
その瞬間、左側の死角からナイフを持った奴が音も無く襲い掛かってきた。
「(はぁ…。)」
顔には出たが、言葉に出さなかっただけ偉いと自画自賛してしまいたくなる。
襲って来た相手は、一般人と比較してみれば獲物の使い方は上手い方だと思うし、筋力もそれなりにありそうだ。けれど、俺がこんなちゃちな攻撃を躱せないわけが無い。
向かってくる刃先を避けて、ナイフを持っている側の手首を掴むとそのまま一気に捻り上げる。
「うぐっ…。」
相手が唸り声を上げると、今後は右側から蹴りがとんでくる。ナイフの男を捻り上げたまま、右足を上げて蹴りを足の裏で制御した。
「(これなら、昼間の日車の方が全然マシだな。)」
そもそも呪力強化した人間と比べるもの間違いなのだが、不意を突いて襲ってくるのであればもう少しやり応えを出して欲しい。
蹴りの勢いを殺され少し戸惑いを見せる相手に、ナイフの男を投げつけた。2人はそのまま床に倒れて、痛いだの、邪魔だの言い合った。
「2人共見苦しいですよ。黙りなさい。」
俺の後から入って来た眼鏡スーツがナイフと蹴りの男を制すと、言い合っていた2人は黙り、体制を整え始めた。
「で、俺は合格ってことでいいんだな?」
俺はその言葉を窓側のソファーに座っている人物に向かって言った。
「さすがは、呪術師だな。結構ウチでは腕の立つ2人なんだがなぁ。」
「俺は任務で来たのは間違いじゃねぇけど、呪術師じゃないんで。」
「任務を完遂できるのであれば誰でも良いわい。」
直毘人のジジィ程ではないが、それに近い貫禄のある爺さんだ。頭は禿げていたが、そこは触れない様にした。
「こちらは、門倉組組長の門倉慶二郎です。」
「へぇ。」
門倉組と言えば、この国でも上位の組織だ。国家機密である呪術師のことを知っていてもおかしくない。むしろ、呪術師を派遣できる程の力の持ち主ということだ。
「遅くなりましたが、私は秘書の家永と申します。そして、先ほどは失礼しました。恐縮ですが、腕を試させて頂きました。向かって左側が辺見、右側が鈴川です。あと一人、土井と言う者がおり、此方は5名です。」
家永と言う秘書は眼鏡の位置を整えながら淡々と話しを進め、自己紹介まで済ませてしまった。やはり俺に仕掛けて来たのは腕試しだったらしい。奇襲を任せられるだけあって、多少は辺見と鈴川も気配を消せていた。
「それで?」
「腕は問題ありません。このまま、こちらの依頼事項について説明します。」
そして、門倉の爺さんの近くまで移動させられ、爺さんと目が合う。
「ワシと目を合わせられるとは、大したガキだな。」
「そりゃどーも。」
「お前さっきから組長に失礼だぞ!!」
「構わん鈴川。」
「……ッス。」
爺さんが俺を制すと、突っかかってきた鈴川が黙る。
「肝も据わって居るし、いい体格をしているな。どうだ、ウチに入らんか?」
「嫌だね。」
「即答か。」
何かと思えば急にスカウトしてきやがった。ただでさえ面倒な家に居たのだ。まだ、組織だのに縛られるのは性に合わない。
俺の返答に爺さんがゲラゲラと笑うが、他の連中は苦虫を嚙み潰した様な顔をした。
「気に入った。今回の件はお前に任せた。家永、説明してやれ。」
「分かりました。」
爺さんは随分とご機嫌の様だが、別に気に入られても嬉しくない。それから、家永が今回の任務について説明を開始した。
「今回、この船が港に戻るまで組長の護衛をして頂くのが大前提です。」
「前提ってことは、他にも指示があるんだな。」
「はい。この船で開催されているイベントはご存じでしょうか。」
「さぁ、知らねぇな。」
おそらく、表向きのイベントの話など出してくる訳が無い。大方オークションの話だろうと察しは付いたが、話させる為に知らない様に振舞った。
「大々的に公表はされていませんが、今夜0時にVIP限定のオークションが開催されます。今回我々が乗船したのもそれが目的です。」
「…オークションねぇ。何か、大層な物でも出んのかよ。」
「オークションには国内外から数々の骨董品、絵画などが出品されます。私達の目的は、天下五剣『鬼丸国綱』と呼ばれている日本刀です。」
「……。」
「護衛の他に依頼するのはその日本刀を確実に入手したい。」
予想はしてたが、ここまで想像通りだと呆れを通り越して笑えて来る。ったく上層部の連中は何故これ程までに無駄な嫌がらせをするのだろうか。
只でさえ、入学すれば勝手に付与されるはずの4級の等級も無い上に、2級以上しか認められていない単独任務もやらされている。
今まで特級呪霊の討伐や呪詛師の捕獲も行っている。甘く見積もっても2級位はあって良いモノだ。
等級に関しては嫌がらせのつもりかも知れない。俺も髙羽も日車も余り関心が無いので意味がないが、もしかしたら等級付与は効果が無いと気付いたので別の手を打って来たのだろうか。
まぁ、等級によって任務報酬の額が変わってくることに関しては不満はあるのは確かだが、責任てやつが付いてこないだけマシか。
「入手したいって、オークションなんだろ?金出して落札すりゃあいいじゃねーか。」
「もちろんそのつもりです。ですが、おそらく誰が落札しても結果は同じになるかと思います。」
「同じ?」
「盗品と言えど、普段出回らない様な一級品の代物です。それを狙っている同業者はともかく、貴方の様な者が参加していた場合、我々では対処できません。」
「術師が他に居るって根拠は?」
「鬼丸国綱を盗んだのは、呪詛師と聞いています。」
「保険として落札した日本刀を守れってことで良いんだな。」
「えぇ、落札できた際は…。」
日本刀を落札できた場合は、爺と日本刀を護るのが今回の任務の必須事項の様だ。おそらく、襲われる前提なのだろう。強ち間違ってはいない。
「落札できなかった場合は。」
「落札できなかった場合、もし何かのハプニングが起こり、落札者から日本刀が離される場面がありましたら確保して頂きたい。」
「奪えと?」
「おっしゃる通りです。落札主が不注意で紛失してもそれは仕方の無いことだと思いませんか。」
盗品と分かっている者を落札し、それが盗まれたとしても警察に訴えることはできない。奪われてしまったら、泣き寝入りするしかないと言っているのだ。
「もし、奪えなかったら?」
「それができる呪術師の派遣を依頼しました。できないと言う答えはありません。」
これは中々、面倒臭い依頼になった。爺さんの護衛は優先するにしても、少し刀の方を考えなくてはならなくなった。
「なんで、そんな面倒な物欲しがるかねぇ。」
「ワシの趣味だ。特に鬼丸国綱は3番目に気に入ってる剣じゃよ。」
趣味に命を掛けるとか、大したもんだ。
「因みに、1番好きなのは菊一文字則宗という、沖田総司が使っていたと言われている刀なんじゃがな。」
爺さんはそう言うと、急に刀だの新選組だのを語り始めた。
「親父、刀と新選組の大ファンなんだよ。話し出すと長いぜ。」
そっと辺見が近づいてきて、耳打ちしてきた。いや、俺にそれを言われても、俺は一切興味ねぇし、知らねぇんだけど。
日車なら多少なりとも分かるのではと思いながら、爺さんの話は1時間以上続いたのだった。
「戻りましたぜー。おーやじっ!!」
バタンと大きな音を立たせながら部屋に誰かが入ってきて、それと同時に爺の話は中断された。
「禪院さん、こいつが土井です。」
「あんたが呪術師?へー俺より若いじゃん。よろしくね!!」
「どうも。」
顔を近くまで近づけて来たのを押し戻して一応返事を返す。
テンション高くてうるせぇ奴だが、爺の話が終わっただけマシだと思うことにした。
「オヤジ、飯の準備ができた!飯に行こう!!」
土井がそう言うと、鈴川が俺に何か寄越してきた。
「禪院さんには、こちらへ着替えて頂きます。今の格好で、我々共に行動していると浮きますので。」
家永に言われ、鈴川から渡されたのは着物だった。なんで着物だよ、動き難いだろうが。
「あくまで我々のゲストとして振舞って頂きます。その方が組長の近くに居ても違和感を持たれ難いので。」
「さっさと着替えて来いよ!俺、腹減ってっから!!」
仕方なく着物を受け取り、適当な部屋を借りて着替えた。しっかり着込むタイプの物ではなくて良かったが…。
それから着替えが終了し、全員で食事の為に移動した。食事に関してもVIP専用の場所があるらしい。
その部屋は、食事をする広間を通る必要がある。移動中、広間で髙羽と遭遇した。
元々、関わりは極力持たないとしていたので目を合わせなかった。
「(なんだよ。一応任務はやってんじゃねーか。)」
髙羽の隣に居た人物の気配を確認し、何故一緒にいるかは分からないが、髙羽にも考えがあるんだろう。とりあえず、先ずは自分の任務のことを考える事にした。