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プラセボ効果[前編]/Novel by とまと

プラセボ効果[前編]

10,022 character(s)20 mins

いつも、いいねや反応ありがとうございます( * . .)"

【注意書き】

■某掲示板の甚爾/髙羽/日車が高専の同期だった世界線を参考にしたIFストーリーです
真面目にこの御三方が好きだったので、神スレありがとうございました
■掲示板の内容を参考にしたり、自分の解釈を突っ込んで居います
■腐界隈の人間が書いて居るため、苦手な方はご注意いを
■術式などしっかりと理解していない点がある為、ツッコミ所が多々あるかと思います。ノリで凌いでください。
■髙羽さんにギャグ要素ありません。

□オリキャラがでております
□存記トリオの過去捏造
□相変わらずな、ご都合設定ありです
□誤字は見つけ次第修正しております┏○┓

タイトル変更しました。早いタイミングで読んで頂いた方、申し訳ありません。中身は特に変わらないです。

→なんでも許せる方向け( .. )

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0.side甚爾
武器庫呪霊を体内から取り出し、更に武器庫呪霊から呪具を取り出し、一つ一つ並べる。時折メンテナンスをしなければ、ただの鉄の塊同然となるからだ。
いくら天与呪縛による身体強化があったとしても、呪詛師はともかく呪霊は祓えない。

中でも特に使用頻度の高い游雲をセーム皮で拭き、汚れや油分を拭き取っていく。自身が所持している特級呪具はこれだけだ。
後は4級と3級の呪具が幾つかあるが特級には及ばない。大抵の呪具は自分が使用すると直ぐに壊れてしまうのだ。耐久度が足りなすぎる。

基本的には游雲だけで事足りるが、廃病院での任務の様に打撃だけでは対処出来ない案件も出でくるだろう。毎回、壊れた分の呪具を補充するのも面倒だ。

そもそも、フィジカルの強化だけでは限界があるのは分かっている。術式の解釈の幅を広げて出来る事を増やすだとか、呪力の核心にを掴む等のイベントは俺にはない。
自身の力を最大限活用するためには、更に肉体を強化し経験値を積む必要もあるが、状況に伴い使用する武器も多種揃える必要が出てきたからだ。

__殺らなきゃならねぇ時は、俺が殺る。

そう日車に啖呵を切ってしまったのだ。口先だけにはしたくない。
まさかそんな言葉を自分の口から発するとは考えて無かった。でも、考えていなかったからこそ本心に近い物だったのかも知れない。

そして、夜蛾からの報告…髙羽についても薄々感じてはいた。あいつと関わるとどうにもコミカルな方向になりがちだが、確かに呪霊はともかくとして対人には余り攻撃している覚えが無い。
任務で何があったか夜蛾から聞こうしたが、これから報告や後処理があると言って詳しく知ることが出来ず、髙羽とも翌日出掛けはしたが、特に任務の事は話してこなかった。

「(面倒な奴らだな。)」

呪具を全て拭き終わり、武器庫呪霊に戻していく。

呪術界に居る限り、その問題にはずっと向き合って、時に折り合いを付けていくしかないのだろう。ずっとこちらの世界で、それが当たり前と思っていた俺には完全に分かる感覚では無いけれど。

そんなキャラじゃないことを考えながら、飲み込めるサイズに纏まった相棒の呪霊を呑み込んだ。


1.
高専を出て5時間。バスの窓から外を見ると近くには畑と田んぼ、少し顔を上げて遠目を見ても山、山、山。そして所々に民家がある程度だ。こんなド田舎に来る用事なんて任務だ以外に無い。
ただし、いつもの任務とは毛色がちがう。普段であれば、呪霊討伐だの呪詛師確保なんだが、今回はこの地域の民宿で窓をしている人物に届け物をすると言うのが依頼内容だった。

舗装させて無い道を左右に揺れながらバスが1時間程走り、1つの停留所に到着した。日車が降りる気配を見せたので、俺も仕方なく顔色が優れないもう一人の同級生を支えながらバスを降りた。

「本当にここで合ってるのかよ。」
「バス停の名前は間違ってない。あとは渡された地図を頼りに歩きだな。髙羽、大丈夫か?」
「ごめん、歩くのちょっと待って。」

完全にバス酔いした髙羽を、停留所の古びた木の椅子に座らせる。
先程までの元気は鳴りを潜め、少しでも楽な状態になれる様に意識を向けている様だ。手も腹の辺りで組んで動かない。

「水飲めるか。あと、酔い止め。即効性あると思う。」
「ありがとう…でも先に渡して欲しかった。」
「悪いな、持っているの忘れていた。」

日車が髙羽に小ぶりの白い錠剤3つと、ペットボトルを渡す。それを飲んだ髙羽は状態を寝かせてた。

「甚爾は…問題なさそうだな。」
「そんな軟な三半規管してねぇよ。お前こそ髙羽側だろ。」
「地元の道が似たようなものだから慣れてる。」
「そうかよ。」

適当に返事をすると、俺は暇つぶしにバス停の時刻表を見ると、

「マジか…。」

思わず驚いた声を出してしまった。その言葉が聞こえたのか日車も近くに来て時刻表を確認する。

「1日1本…次の駅迄のバスは明日の正午だな。」
「必然的に泊まりじゃねぇか。」
「おそらく想定済みなんだろう。」
「夜蛾の野郎、先に言えっての。」

悪態をついても、あの強面担任には届かない。せめて向かう民宿の部屋が1人部屋なのを祈るばかりだ。
しばらく山の方を眺めていると、ふと視線を感じる。気になって後ろを振り向くと、

「史彦くん、復活しました!!」

髙羽が元気よく立ち上がっていた。

「はえーよ。まだ3分しか経ってねーじゃん。インスタントか。」
「お手軽だな。」

先程まで弱っていた姿は無く、髙羽も復活した為とりあえず民宿へ向かうことにした。
バス停を出て、左右に広がる田園抜け、山際に立っている小さな祠と地蔵の横を通りすぎる。バス停から30分程かけて、目的地の民宿へ到着する。

民家はお世辞にも綺麗とは言い難く、庭には雑草が一面に生えていた。その時には既に、バス停で感じた視線の事は忘れていた。


ーーーーーーー


「ごめんくださいーーーーーーーい!!」

民宿に到着し、玄関を開けると中は薄暗く人の影も見えない。
建物もさほど大きくは無く、受付用のテーブルには折り紙の鶴や、人形などが飾られており黒電話も置かれている。それを見て携帯電話の電波を確認するが、もちろん電波は届いていない。
この家の主人を呼ぶため、声の発生を髙羽に任せて反応を伺う。が、全く反応が返って来ない。

「こんにちはーーーーー!!お留守ですかーーーーーーー??」

再度呼びかけるも、中に人が居る気配はない。どうしたものかと思った際、ガタッと上の方から大きな音が鳴った。
3人で天井を見上げると、また再度ガタガタと音が鳴る。

音の出元を確認しようと外へ出て、屋根が見える位置まで移動していると声が聞こえた。

「ごめんねー、こっちだよー。」

声の方を確認すると、爺さんが微笑んで屋根の上に立っていた。

「高専の生徒さんだね、悪いが少し待っててね。」

そう言い終わると、再度屋根の奥の方へ引っ込んで行ってしまった。


ーーーーーーー


「ありがとう、代わりに修理してくれて助かったよ。」
「危なっかしくて見てられなかったんだよ。」
「とーじっ!」

気になって俺と髙羽で屋根に上り、屋根の上に居る事情を開くと雨漏りの対応をしているとのことだ。
少しだけ様子を見守っていたが、補強用の板を持とうとした際にバランスを崩そうとしたり、ぽろぽろと手元から釘を落とすので、見ていて居たたまれなくなり代わりに俺等で対応した次第だ。

一旦屋根の補強が終わると、民宿の一室に案内される。麦茶も出してくれたので、遠慮なく口を付けた。

「そう言えば自己紹介がまだだったね。私は長谷川義明と言います。この民宿のオーナーでこの地域の高専の窓をしています。東京からわざわざありがとうね。」

長谷川は確かに夜蛾が言っていた依頼主の名前だ。歳は70位だろうか、温和な雰囲気の爺さんだ。

「ご丁寧にありがとうございます。日車です。隣が髙羽で、その隣が禪院です。」
「うんうん、よろしくね。」
「こちらか高専から預かってきました届け物になります。お手数ですが、内容物に間違いが無いかご確認頂けますか。」

自己紹介がてら、夜蛾から預かっていた封筒を渡す。それを長谷川の爺さんが受け取ると中身を確認し始めた。
封筒から取り出したのは、数枚のお札だった。その札を一枚ずつ確認していく。

「はい。確かに受け取りました。」

札を丁寧な手つきで確認し終えると、また元の封筒に戻して近くの棚の上に置いた。

「そう言えは、今日は泊まりで良いんだよね?」

爺さんの言葉に、俺と髙羽は日車の方に視線を向ける。面倒だからお前の判断に任せると。それを察してか会話を続ける。

「可能であれば、1晩お願いできますか。移動手段も無いので。」
「駅から距離あるし、バスも1日1本だからね。いつも届けてくれる呪術師の方も一晩泊っていくから大丈夫だよ。もちろんお金は取らないよ。こんなところで申し訳ないけどね。」
「とんでもないです。こちらこそお世話になります。何か人手が必要なことがあれば、お手伝いさせてください。」
「ありがとね。僕も人が増えて嬉しいよ。」

本当に嬉しそうにそう答えると、長谷川さんは自分用に用意したお茶を啜った。

「あの!」

その様子を見て、髙羽が唐突に口を開いた。

「さっきのお札は何に使うんですか!?」

届けた札がずっと気になっていたんだろう、疑問を投げかける。基本的にそう言ったことには口を挟まないのが礼儀だが、今夜一晩泊まる場所だ。事情を知っているに越した事は無いので特に何も言わないでいた。

「気になる?」

爺さんはそう言って、先ほど棚に置いた封筒を再度持ち中身を取り出した。
7枚中、6枚は全く同じ札だ。

「年に1回、呪霊が確認できる様にお札を頂いていてね。玄関、裏口、屋根裏部屋、床下、座敷、私の寝室に貼っているんだ。別に家に悪さをするのが居る訳じゃないよ。」
「札があると呪霊が入って来れないってこと?」
「いや、入って来れる。」
「駄目じゃん!!」
「いやいや、どちらかと言うと知らせてくれるんだよ。呪霊が入って来れないなんて札はココで使うには高価過ぎるからね。」
「なっ…なるほど。」

呪霊が入って来れない札がこんなところで使われる訳が無い。結界術に長けた術師が何日もかけて作成するものだからだ。

「じゃぁ、何のために貼るの?」
「それはもちろん、呪霊の侵入を確認するためだよ。」
「それって、入ってきたら気付くものじゃないの?」
「普通ならそうなんだけどね。」

爺さんはそう言うと、湯呑をもって茶を飲んだ。
人口が多い場所程、多くの呪霊が発生し易い。それは、呪霊が負の感情から生まれるものだからだ。多くの人が居れば、それだけ多くの呪いも生まれる。
その代わり、ここの様な場所ならそこまで呪霊は発生し難いはずだ。呪霊を探知して知らせる札。一体何をそんなに警戒しているのだろうか。

「5年前位かな。呪霊が感知できなくなってしまっていてね。」
「え…。それって呪霊が見えなくなったってこと?」

更に髙羽が疑問を重ねる。爺さんはその問いに悪い顔をせずに答えていく。

「うん、その通り。」
「その状態で窓をしてるって危険なんじゃ…。」
「だから、本当は窓もそろそろ引退しないととは思っているんだけどね。どうしても後ろ髪を引かれてしまって。」

爺さんはそう言うと、湯呑の中に視線を落とした。
窓は高専の強力者であり、基本的に呪霊が見えることと、ある程度の適正があれば誰でもなることができる。
後ろ髪を引かれるとは、余程この仕事を気に入っているのか。そもそも高専が特定の窓に生徒を使わせてでも札を届けさせる意味が分からない。

その勘繰りが分かったのか、爺さんと目が合った。

「僕は元々、呪術師をやっていたんだ。あることが切っ掛けで、止めてしまってね。それからこの場所でずっと窓をさせてもらってるんだ。」

そう言いながら、爺さんはあともう1種類の札を取って見つめた。その目はどこか遠くをみていて、さすがにこれ以上は踏み込むのは野暮だと思った。髙羽もそれは分かった様で、これ以上の話は聞けなかった。

Comments

  • 小夜双☆スカィWeb
    September 27, 2024
  • shida
    September 27, 2024
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