任務報告
いつも、いいねや反応ありがとうございます┏○
【注意書き】
■某掲示板の甚爾/髙羽/日車が高専の同期だった世界線を参考にしたIFストーリーです
真面目にこの御三方が好きだったので、神スレありがとうございました
■掲示板の内容を参考にしたり、自分の解釈を突っ込んで居います
■腐界隈の人間が書いて居るため、苦手な方はご注意いを
■術式などしっかりと理解していない点がある為、ツッコミ所が多々あるかと思います。ノリで凌いでください。
■髙羽さんにギャグ要素ありません。
□相変わらず甚爾さん、日車さんの過去捏造
□甚爾さんが優しいです
→なんでも許せる方向け( .. )
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1.side甚爾
山道を下り、日が昇り始まる頃に漸く一台の公衆電話を見つけた。
日車と顔を見合わせると、日車がBOXに入り金を入れボタンを押す。恐らく夜蛾の携帯電話にでも掛けているのだろう。時間なんて気にしていられない。
1分ほど話をしたところで受話器を戻し、BOXから出る。
「ここで待機とのことだ。公衆電話に記載されている住所を伝えた。」
とりあえず、これ以上は歩かなくて済む事に少し安堵した。別に体力が尽きたとかではないが、髙羽が歩いている途中で電池切れを起こし寝始めてしまい、仕方なく俺が背負って運んでいるからだ。
近くにはベンチもある。そこに髙羽を降ろして横にしておくと、俺はベンチの腰掛に背中を預けて地面に座ることにした。
髙羽は何だかんだ、ずっと特級の対応をしていたし、最後は游雲に大量に呪力を込めたせいで疲れたのだろうと思う。
呪力の無い俺には、その感覚は分からないが。
日車は近くにある自販機に向かい、財布から金を取り出す。俺は生憎手持ちがない。
そのまま自販機のボタンを押してオレンジジュースを購入すると、何か飲むかと聞いてきた。
「コーラ。」
思えば高専を出たのは昼前で、それからずっと飲まず食わずだ。エネルギー切れを起こしてもおかしくはない。現に腹はとてつもなく空いている。
自販機から戻って来た日車からコーラを受け取り、一気に飲み干す。多少なり喉は潤ったが、腹は満たされない。
「俺、金ねぇけど。」
「要らない。」
「そりゃどーも。」
髙羽の分なのか、奴の近くにポカリを置くと日車は少し間隔を空けて俺と同じ様に地面に座った。
正直限界に近いのだろう、オレンジジュースを一気に飲み干すとベンチの腰掛に背中を預けながら目を閉じたり開いたりを繰り返している。
「迎えは、夜蛾先生が来るそうだ。」
目を閉じる時間が長くなってきたなと横目で見てみていると、唐突に話かけてくる。
「ずっと起きてたらしい。」
「そうかよ。」
「来るまでに、2時間程掛かると思う。」
「ん。」
「……。」
「……お前、それまで寝てれば?」
「そう言う訳には……いや、やはり少し休ませてくれ。」
そう言って、何を思ったか財布から500円を取り出し、何も言わず俺に渡すと、そのまま膝を抱え腕に顔を埋めるて寝始めた。
俺は渡された500円を見て自販機に向かう。とりあえず缶ジュースを5本買い、缶のプルタブを捻り空腹を飲み物で紛らわせる。
高専に入って1ヶ月…と今回の件で、考え方が随分と変わった。
一般家庭出の人間と呪術界に産まれた時からそこに有った自分を並べて考えること自体、違っていたのだと思う様になったのだ。
それに、コイツらを見ていると呪術師としての力量は才能で決まる事を嫌でも自覚させられる。禪院の奴らが苦労して積み上げてる物を、簡単に越して行くだろう。
「(ざまーねぇな。)」
高羽に関しては、爆弾を投げつけられた様な攻撃をただの擦り傷で済ませたり、ペースに巻き込まれると思考まで持っていかれる術式は、もはや超人を通りこして全能を感じさせるものだった。
なのに高羽の人間性故か、張り合うだとか潰したいだとか、そう言った感情が沸き上がって来ない…別次元の存在を相手にする感覚だ。
もしかしたら、あの五条悟の無下限呪術にもワンチャン対抗できるのではないだろうか…。
「俺に不可能はない!」と決めポーズして冗談言った時はシメたけど。
日車に関しても、必殺は無いものの術式に領域展開がデフォルトで付与されていて、何年も掛けて習得する呪力操作を、術式を自覚した時から自身の中で解析・想定・出力 を繰り返し独自で学習したと、夜蛾との会話で知った。
それに加えて厄介なのは、努力できると言う点だ。勉強だろうが、フィジカルだろうが分からなければ調べるし、必要とあれば補おうと行動する。そして、それを本人は当たり前にやることだと思っている。
この2人は、自身の能力に胡座をかいて、俺を攻撃してきた他の呪術師と同レベルで考えて良い奴じゃない。
俺がコイツらを恨むのは、呪力0で周囲から向けられた偏見を、コイツ等に向けている様なものだ。
日車に限っては、自身が一度は望んだ物を全て持っているからと言って、自分の感情だけを押し付けて、勝手に攻撃対象にした…どう考えても八つ当たりで、本人からしてみれば理不尽極まりない話だ。
それに…呪具なしで呪霊の檻に入れられたあの日、こいつらが俺に消えて欲しいなら、絶対に自分はここ有り続けようと決意した事を思い出した。
そんな事を考えながら、3本目の缶ジュースのプルタブを捻る。空腹を飲み物で満たしながら夜蛾の到着を待った。
入学当初、腹に溜まっていく感情は落ち着いている。
2.
近くで黒いワゴンが停車する。それを遠目から眺めていると、降りて来たのは夜蛾だ。
声を出そうとして留まったのか、近くまで駆け寄ってきた。
「怪我は?」
夜蛾が唯一起きている俺に声を掛ける。
「見ての通り制服以外は問題なし。こいつらは体力尽きて寝てる。」
「そうか、無事なら…良かった。状況を知らずにすまなかった。寛見から電話で少し概要を聞いた。特級1体の討伐 に呪詛師1名確保だと…完全に1級術師が何名かチームを組んで行う案件だ。」
「夜蛾センが聞いた内容と違うんだろ。」
「複数の2級~3級呪霊の討伐だと聞いていたので了承した。」
「まぁ、想定通りだな。」
夜蛾が気まずそうな顔をする。大体事情を察したのだろう。
恐らく、俺達を連れてきた補助監督は見つからないだろうし、証拠があったところで何かできることはない。
「俺は別としても、こいつらは何とかならねぇの?」
「できるだけ、壁になろうとはしてるんだがな。」
「何だ、俺にその辺の事情を隠す気はねぇのかよ。」
「必要がないだろ。自分の立ち位置を把握するもの自己防衛の一つだ。」
俺の場合は呪力0の特異体質で、禪院からどのような結果になっても構わないと指示のある前提の為、今回の様に嵌められる理由があるのは…理解は出来ないが納得はできる。
今回の案件も3人ではなく俺だけを対象にしていた方が、殺る確実は上がっていたのではないだろうか。1人でも負ける気はしないが。
何故3人で行かせたのか・・・
それは考える迄もない。呪術師はプライドばかり高い連中の集まりだ。昔から要る様なお堅いジジババ共は特にだ。
そういう連中は一般出の呪術師への風当たりが強い。人手不足なのを分かっているから一応受け入れているだけで期待などしている訳がなく、何かの時の捨て駒程度にしか思っていない。
だからこそ一般出は身を護り、舐められないだけの力が必要なのだ。が…こいつらの場合は力があるのが逆に災いし、奴らの不安を逆撫でしてしまった…要は、目を付けられたのだ。自分達が倒されてしまう可能性を与えてしまったのだろう。
出る釘は打たれると言う話だ。胸糞が悪い。
「でも、それは本人達には言ってないんだろ。」
「寛見は察しているんじゃないか。史彦は自ら気づくのは良いが、直接話すことは考えてない。」
「打倒な判断じゃねぇの。」
そう答えると、「あぁ。」と返ってきた。
「今回の任務報告はこれで良いだろ。」
「良い訳ないだろ。上にまでは提出しないが俺が確認する。ただ今回は特別に3人纏めてで良い。」
「へいへい。」
「寛見だけに任せるなよ。」
そこは敢て答えないで置いた。
「ところで甚爾よ。」
「なんだよ。」
「お前らは、いつからそんなに仲良くなったんだ?」
そう言って夜蛾が訪ねて来る。今の状況…ベンチに乗っている高羽が寝返りを打った際、高羽の右腕が俺の首元に巻き付き、その後、寝ていた日車バランスを崩して肩に寄り掛かっている状況だ。
車通りのない場所で良かったと心底思う。
「どこがだよ。髙羽にヘッドロック、キメられてんだぞ。」
「良くお前が我慢してるな。」
少し安心した様な声色で聞こえた。
「暑苦しいんで早く剥がしてくれませんかね?」
「お前ならやろうと思えば簡単に剥がせるだろ。」
「……。」
「そうは言っても帰らねばな。」
そう答えてると夜蛾は日車を起こし始めた。俺は髙羽の腕を退けて、目覚まし代わりにぬるくなったポカリを開け、遠慮なく口に流し込んだ。
もちろん帰りの道中に空腹を訴え、夜蛾に朝飯を奢らせることにも成功し、その日の授業も無くなった。