スイスで14日、人口を1000万人までに制限することの是非を問う国民投票が実施され、人口制限に「反対」が多数を占めて否決が確実となったものの、賛否は拮抗する見通しとなった。背景には、移民流入により人口が増え続けた結果、住宅は価格高騰で手が届かなくなり、通勤電車は満員となるなど、スイスで社会顕在化するひずみがある。
四半世紀で190万人増
政府によると、14日午後3時(日本時間午後10時)時点で約295万票が集計され、賛成が約46.4%、反対が約53.6%。地元メディアによると開票率は8割超となっている。
スイスの最大都市チューリヒ近郊のキルヒベルク。美しい湖に面し、チューリヒにも電車で15分ほどと、生活環境と利便性を兼ね備えた場所だ。6月初旬に訪れると、各地で住宅建設の工事が行われていた。
「素晴らしい場所だけど、家賃が高くなりすぎて引っ越したよ」。キルヒベルクに以前住んでいたという会社員、ブラムさん(38)は生活の苦しさを打ち明ける。スイスの中でも特にチューリヒ周辺はどこも生活インフラが逼迫しており、生活費の上昇も激しいという。
賃金水準が高く政治も安定しているスイスは多くの移民を引きつけ、2000年に約720万人だった人口は、四半世紀後の25年時点で約910万人まで増加した。外国籍の居住者の比率も約28%に上る。