インターネットの投稿などを巡り、「名誉を傷つけられた」として裁判所に発信者情報開示命令を申し立てる件数が急増している。審理の大半を扱う東京地裁への2025年の申し立ては2024年比1.5倍増の9300件超。ネガティブな口コミが寄せられやすいとされる医療機関の事例では、裁判所の判断が分かれたケースもあり、裁判官からは表現の自由と名誉権の侵害との線引きに悩む声も聞こえる。(三宅千智)
発信者情報開示手続き インターネット上の投稿に対し、情報流通プラットフォーム対処法に基づき発信者を特定するために行う手続き。従来はSNS事業者、通信事業者のそれぞれに裁判を起こす必要があったが、2022年施行の改正法により、1回の裁判手続きで済むよう簡易化された。開示された情報を基に損害賠償請求訴訟を起こすケースが多い。
◆評価1とされた産婦人科病院「真実ではない」
「入院生活を思いだすと今でも悪夢」「初産でしたが冊子を読んどいてと丸投げ。寄り添うような言葉は全くなかった」
地図情報サイト「グーグルマップ」に、関西地方の産婦人科病院に対する匿名の口コミが寄せられた。授乳指導で赤ちゃんの頭を雑につかまれたとも記し、評価は5段階で最も低い1。
病院側は「口コミは病院の社会的評価を下げる内容で、真実ではない」と主張。名誉を傷つけられたと訴え、東京地裁に発信者情報開示命令を申し立てた。
◆真実性がない場合、公益目的と言えない場合は違法
口コミが名誉権の侵害に当たるかは、投稿された側の社会的評価を下げたと認定できることが前提になる。その上で、投稿内容に真実性が認められない場合や、公益目的と言えない場合などに違法となる。
昨年3月の地裁決定は「主観的な意見に過ぎず、社会的評価は低下しない」と申し立てを却下。病院側が異...
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