菅野完さんの「人殺し」発言について。 まず大事なのは、この発言がどのような文脈で出たのかです。 菅野さんは、直前の赤旗記者とのやり取りを受けて発言しています。 そのやり取りを見れば、この「人殺し」という言葉は、「物理的な意味で斎藤知事が人殺しをした」と指摘するものではなく、「斎藤知事の言動が元県民局長の自死を招いた」とする指摘であることは明らかです。 したがって考えなければならないのは、「人殺し」という言葉の印象ではなく、その指摘が的を射たものであるかどうかです。 まず、斎藤知事は令和6年3月に県民局長が兵庫県警やマスコミに送付した告発文書が、公益通報(外部通報)であるにもかかわらず、公益通報者保護法に違反した通報者探索を行い、通報者を特定しています。 また、実際には告発文の内容に真実が含まれていたにもかかわらず、斎藤知事は会見の場で「嘘八百」「公務員失格」とまで罵り、公開でハラスメント行為に及びました。 さらに、批判的な世論が広がる中、知事の直属の部下にあたる総務部長は、公益通報の内容の真偽とは無関係であるにもかかわらず、公用パソコン内にあった県民局長のプライバシー情報を拡散しています。 県民局長のご遺族からは、県民局長が斎藤知事の一連の行為に抗議の意思を示していたことも明らかにされています。 これらの事情を見れば、斎藤知事の言動が県民局長の自死を招いたという意見は至極真っ当です。 告発文書問題の書籍を先日発行した奥山俊宏氏も、同書籍の中で 「内部告発者探しをしなければ、どうなっていたでしょうか? 私の推測では、おそらく誰も亡くならなかっただろう」 と述べています。 表現こそ異なりますが、菅野さんと同意見の発信をしています。これは多くの報道関係者やマスコミにも共有されている認識だと思われます。 なお、竹内英明元県議の訃報を受け、東京新聞の望月衣塑子記者がX上で「立花孝志氏の言動が竹内氏の自死を招いた」と指摘する投稿を行ったことについて、立花氏は名誉毀損として提訴しています。 しかし、この訴訟では裁判所が外形的な事情などを踏まえ、望月記者の上記指摘は合法と判断されています。 以上を踏まえれば、菅野完氏が斎藤知事に対して「人殺し」と発言したことについても、それが名誉毀損に当たると断定することには相当な疑問があると言わざるを得ません。 「人殺し」という表現は過激です。 しかし、斎藤知事が百条委員会や第三者委員会の最終報告を受け入れず、公益通報者保護法の有権解釈権を有する消費者庁の見解にも反する荒唐無稽な主張を都合よく繰り返している以上、斎藤知事に対する批判の表現が相当厳しいものになっても致し方ないと思います。