植物探検家・長谷圭祐のいつか見たい、幻の草

植物探検家の長谷圭祐さんが「いつか必ず見てみたい!」と憧れる幻の植物たち。強く惹かれるその魅力と、なかなか出会えない幻たる所以(ゆえん)を教えてもらった。世界には、まだこんな珍奇な植物たちが潜んでいる!

illustration: Tatsuya Kobayashi / text: Shogo Kawabata

ホマロメナ ドクテルシー

100年ほど前にスマトラから記載されたホマロメナで、2000年代に入って大量の新種が見つかるまでは属内唯一の毛の生えたホマロメナでした。採集地とされる場所は、現在は観光地となっていて、現地のハンターも僕も何度も訪れているのですが再発見されておらず、論文の産地情報が正しければ、すでに絶滅した可能性もあります。

ホマロメナ ドクテルシー
Homalomena doctersii

ベゴニア ラハジャソアエ

マダガスカルのベゴニアにはタイプ標本の採集以降自生が確認されていないものが複数あり、本種もおそらくその一つ。細葉で知られるB. ambodiforahensisよりもさらに細葉で毛が密集し、葉柄にまで毛が生えています。30年以上前に保護区域外の海岸地帯で発見されたらしいのですが、現在も残っているのかは不明です。

ベゴニア ラハジャソアエ
Begonia rahajasoae

パエパランツス ピロスス

南米のホシクサ科といえば、ギアナ高地とブラジル高原での多様性が群を抜いていますが、西海岸のアンデス山脈高地にはクッションプランツ(高山帯の、背が低くマット状に生長する植物群)となるものが存在し、標高4,000m近くまで自生するとか。通常伸び上がることが多い花茎も、短く植物体の上に添えられている姿がかわいらしいです。

パエパランツス ピロスス
Paepalanthus pilosus

トリフィオフィルム ペルタツム

西アフリカの1属1種の食虫植物。ジャングルで、ほかの樹木などにつかまりながら這い登ります。ジメジメ系クライマーでありながら、生長途中でリンが不足した場合にのみ、粘着質の捕虫葉を展開するという奇妙な生態を持っています。確実に食虫植物とわかっているものでは、ほぼ唯一日本には入荷していない属だと思います。

トリフィオフィルム ペルタツム
Triphyophyllum peltatum

ポドソロス アングスタツス

一見、いかにもありふれたウラボシ科という感じの見た目ですが、胞子部が葉の外に飛び出しているという珍奇ポイントを持つ、フィリピンの1属1種のシダ植物です。属名の「Podosorus」はおそらく、“足のような胞子部”の意かと。記載された1961年以降見つかっていないため、生態写真なども存在しません。

ポドソロス アングスタツス
Podosorus angustatus

コリバス アルファケンシス

1923年にインドネシア領西パプアのアルファク山より記載されて以降、おそらく再発見されていない種です。そのため写真などは存在していません。コリバスは小型地生種なうえ、花がついている期間が限定され、さらに休眠期には葉もなくなるため発見難易度が高い。2019年にアルファク山を訪れた際は発見できませんでした。

コリバス アルファケンシス
Corybas arfakensis

フペルジア ルブラ

ブラジル・ミナスジェライス州の標高1,500m付近にごくわずかのみ自生する真っ赤な地生フペルジア。フペルジアで赤みが入る種は複数ありますが、本種だけはほぼ深紅とも言えるくらい真っ赤っか。現地では絶滅が危ぶまれており、採集・栽培はできませんが、フペルジアマニアとしては死ぬまでに一度現地で拝んでおきたいです。

フペルジア ルブラ
Huperzia rubra

トコカ スパディシフローラ

トコカ属は、葉の基部に小さなドマティアを形成するアリ植物です。とはいえ、小型のアリなどが日和見的に利用する程度で、アリ植物の中では地味なグループ。コロンビアのこの種は、葉の基部が迷路のようにウネウネとした構造になっていて、脳みたいでかっこいい。花の形状がサトイモ科ぽく、種小名はそこに由来します。

トコカ スパディシフローラ
Tococa spadiciflora

ジャングルプランツの宝庫、ボルネオ島へ 〜前編〜

ジャングルプランツの宝庫、ボルネオ島へ 〜後編〜

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