練習室の扉の向こうから、あなたのくぐもった怒鳴り声が聞こえる。
チャンビンは「遅かったか…」と天を仰ぎながら、練習室のドアを開いた。
中には靴をなぜか片方だけ脱ぎ、他の練習生にはがいじめにされてるあなたと、気圧されて小さくなってるチェ・スンホがいた。
あなたはスンホに向け、大きい声で怒鳴り散らしている。
チャンビンが駆け寄り、あなたの腕を掴む。
「離して!!!!」と叫びながらあなたは暴れた。
相当怒っているらしい。
スンホに向け、チャンビンが「離れてろ!」と言う。
あなたがスンホに対し、必死に手を伸ばす。
チャンビン含め練習生が羽交締めにしてあなたをなんとか引き留め、スンホの方へ行かないようにする。
丁度そのとき、練習室の扉が開いた。
バンチャンがあなたをハグし、落ち着ける。「嫌!納得できない!」と叫んでいたあなただったが、スンホが出て行くと徐々に落ち着いていった。
あなたが荒々しく息を吐く音だけが練習室に響く。
バンチャンはあなたの頭をポンポンと撫でた。
小さい声で呟きながら、あなたはバンチャンの胸板に顔を埋める。服が濡れるのを感じ、あなたが泣いているのだと悟る。
タオルを受け取り、バンチャンは黙ってあなたの頭にかける。他の練習生はそれをソワソワ見るばかりで、特になにも動かなかった。
チャンビンでさえなにが起きたのかわからず、首を傾げている。
あなたの腕を引き、バンチャンは練習室を出て行く。他の練習生に止められるはずもなく、チャンビン含めて皆呆然とするばかりだった。
そこに入れ違いでバタバタと足音がし、ハンが部屋に飛び込んでくる。
『何があったの?』とバンチャンは優しくあなたに聞く。あなたは困ったように眉を顰めてから、静かに喋り始めた。
バンチャンはほおっと息を吐きながらあなたの頭をポンポンと優しく撫でた。
あなたは練習生歴が長い方だし、実力もある。
SIXTEEN参加の打診もあったし、すでにデビューするのには申し分ない実力だ。
おまけに明るく、社交性もある。
あなた自身にその気がなくても、あなたの周りにいる人間に対して嫉妬する。なんて事は起きる。
あなたはすんっと鼻を啜った。
今はこんなに憔悴しきってるあなたがまさかあのとんでもない提案をするだなんて誰も想像していなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。