ことの次第を知らないメンバーはあなたに駆け寄り、ステージを褒める。
即席だと知っているバンチャンだけがリノにこそっと声をかけた。リノは小さく笑って、バンチャンに「良かったです、ほんとに」と言う。
あなたはわあわあ泣きながらスキズにもみくちゃにされる。
もみくちゃにされてるあなたに手を伸ばし、腕を引き、リノが抱きしめる。
あまりのことにびっくりしたあなたは目を見開き、ビシッと固まる。
次の瞬間。ヒョンジンとアイエンが絶叫し、ハンとチャンビンもでかい声で喚き出す。
フィリックスは目を覆うが、好奇心勝つのか、「わあ…」と言いながら指の間から2人を見つめる。
笑ってるのはバンチャンだけだった。
他のメンバーがギャーギャーわめく。
それもそのはずだった。
社交ダンス用の衣装をまだ身に纏ったあなたはめちゃくちゃに薄着だった。
ほぼ布一枚みたいなもんだ。
それに…今まで「あなたさん、あなたさん」と年下のあなたを尊敬してさん付けして部屋にはアクスタまで飾って崇拝していたヒョンが抱きついてる。
いや自分から抱きつきに行った。
しかも呼び捨てで。
あなたもあなたで突き飛ばすのかと思えば、「リノぉお''ッッ………」と泣きながらリノの首に抱きついてぐずぐず泣く。
あなたは言わずもがなリノのオタクだし、もうこの状況が理解できない。
ヒョンジンとアイエンはピキーンッ!と固まってはわ…と手を口元に当てる。
付き合ってたって…コト…!?と思ってる訳だった。
リノはヒョンジンの頭をすっぱたき、呆れたような顔をする。
他のメンバーはそれを見て怖気付き、おずおずと黙った。
唯一まだ少し反抗心のあるアイエンだけが「ひょ、ヒョン。靴、靴だけ一緒に買いに行かせてもらうからねっ」とあなたとずいぶん前にした約束を小声で言う。
もちろん、チャンビンの後ろに隠れながら。
リノの腕の中にいたはずのあなたはいつのまにかスンミンの隣におり、もらったティッシュで鼻をかんでいる。
はしゃぎすぎた自覚のある面々がリノの前に正座する。あなたは鼻をかみながら何事かとぼーっとそれを眺める。
バンチャンは苦笑いしながらその光景を見た。
リノが4人にコンコンと説教を垂れていく。…。
あなたの腕をヒョンジンとハンが片方ずつ引っ張る。ハァッとデカいため息をひとつついてあなたは天を仰いだ。
結局、尋問はリノがもう一度怒るまで続いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。