Black Gryphon, Baasikの『INSANE』。
ハズビン・ホテルに登場するアラスターをモデルにしたまさにヴィランの曲だ。
あなたは目元だけ隠れる枯れ木が這わされたようなマスクを被り、漆黒のドレスで登場する。
先端が球体で、繊細なガラス細工が施されている赤のステッキを持ち、同じく真っ赤なピンヒール。口元はブラックのリップでしめる。
そしてラストのサビが来た時。
ブラックのドレスを脱ぎ捨て、仮面も捨て、靴と同じく真っ赤なドレスに変わり、あなたはアラスターとなる。…。
マネージャーに見守られ、2人は微調整を重ねていく。あなたは黒のドレスに。リノももう社交ダンス用の衣装に着替えていた。
とにかくあとは練度を上げていく必要がある。
あなたは表情を。リノは振り付けを。
本番までもう残り30分を切っている。
重ねるごとに、普段と空気が変わっていく。
リノはメンバーに接するようにあなたに指摘するし、あなたもいつも一緒にパフォーマンスしてるダンサーに言うように話す。
それはお互いのスキルに全幅の信頼を置いている証拠だったが、あまりの違いにマネージャー達は目をぱちくりさせる。
いつのまにか練習場にカメラが入る。
スタッフが1人、2人と増える。それに気が付かず、あなたとリノはただただダンスに没頭した。
時間が差し迫ってることからの焦りもあった。
しかしそれ以上に、どうしようもなく楽しかった。
推しと手を取り合って踊るのも、構成を練るのも。
いつしか敬語は抜けていた。時間がなかったからというのもある。
しかしなんだか、そっちの方がずっと気楽だった。
そしてついに。…。
あなたとリノがどたばた走って控室から出て行く。
準備は整った。
あとはステージで全力を出し尽くすだけだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。