集合写真撮影後、マネージャーに呼び出されたあなたはびっくりして大きな声を上げた。
慌ててマネージャーが止め、あなたは口を覆う。午後、あなたは社交ダンスに出場する予定だった。
その時にペアで練習していたダンサーがついさっき階段で足を捻ったらしい。
集合写真の輪から抜けたバンチャンが駆け寄ってくる。
あなたは口元に手を当てて震えながら、「お、オッパ…私、私どうしよう…」と真っ青な顔をする。
ただごとでない気配を感じ、バンチャンは真剣な顔で「なにがあったんですか?」とマネージャーに聞いた。
あなたがハァ…とため息をつく。マネージャーが気難しい顔をしてる横で、バンチャンはあなたの肩をさすった。
アユクデには何度も出てるけど競技参加はしたことがないし、よほど悔しいのだろう。
どう慰めようかと考えてる時に、誰かが駆け寄ってくる音がきこえた。
リノだった。
深刻そうな表情のバンチャンとマネージャーを見、また涙目のあなたを見、顔を顰める。
リノは真っ直ぐマネージャーを見つめて「お願いします」と言う。
マネージャーは困ったように頭を掻いた。
あなたはそう言って、本部の方に走っていく。
許可が降りるか降りないかはあなたにかかっている。
あなたはちいかわの真似をしながらメイクさんの元へと行く。
メイクをしてもらってるあなたに対し、リノが話しかける。
あなたはちょっと笑って、『リノさんの言うとおり、この曲はヴィランの曲です。知ってて選びました』とあっけらかんと言う。
耳を塞いでぶんぶん首を振るあなたを見、リノはホオっと息を吐く。
経験者のシャオティンに勝つことはまずできない。
実力差は発想で埋めるしかない。
鏡に映る唇にブラックを引くあなたを見て、リノはグッと息を飲んだ。紛れもなく鏡に映っているのは。
…さっきの大騒ぎのどたばたSTAYではなくて。
自分が好きな、トップアイドルのあなただった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!