〈非正規の労組委員長〉第1回
大手靴販売店「ABCマート」で働く人たちが昨夏、それまで社内になかった労働組合を立ち上げた。
正社員も労組メンバーとして加わる中、執行委員長に就いたのは、販売員として働く水嶋由美子さん(49)。
3年前まではありふれた主婦パートの1人だった。なぜパートのまま、正社員をも率いる労組トップになったのか。2年以上にわたる闘いの中に葛藤や苦悩、そして成長があった。(畑間香織)
◆家族を説得して加入…苦悩の日々
怒りと悔しさで涙がこらえきれなくなった。
「組合員は悩み、苦しみ考え、今日にいたります」と述べた後、震える声で「組合員本人たちから生の声をお伝えします」と話を振った。
1月27日の厚生労働省の記者会見室。千葉県内にあるABCマートの店舗でパートとして働く水嶋さんは、自身が正社員を率いて立ち上げた労働組合の結成会見に臨んでいた。
労組名は「Backup(バックアップ)」。
赤い文字でその名を記したポスターを背に、組合員の正社員7人も会見に同席した。それぞれが家族を説得して加入するなど、この日を迎えるまでの苦悩を思い出していた。
◆なぜ、これほどの苦労を乗り越えないといけないのか
「会社に意見を言う窓口が労働組合。これまでなかったのがおかしい。『賃金を上げたい』『休みがほしい』。当たり前のことを会社に言うためになぜ、これほどの苦労を乗り越えないといけないのか」。水嶋さんは、こぼれる涙をハンカチで拭いた。
2023年に、時給が減額された自身ら非正規の賃下げ撤回と、非正規約5000人の平均6%の賃上げを勝ち取った。その後は従業員の意見を聞くために店舗を回ると、非正規に限らず、低賃金に苦しむ正社員の実態を知った。
◆1年9カ月ぶりの記者会見室で
従業員が会社に意見を直接言える場をつくろうと思い、自力で労組を2024年8月に結成。賃上げなどを求め2回の団体交渉をしたが、満足する成果を引き出せなかった。
同年12月には、全国コミュニティ・ユニオン連合会長の鈴木剛(たけし)さん(56)が立ち上げた個人加盟労組「ユニオン カント」(東京都新宿区)の支部となり、態勢を立て直すことを決めた。
記者会見室には、約5000人の賃上げを報告して以来、1年9カ月ぶりに戻ってきた。当時は社外労組の非正規組合員の1人、今回は店長ら正社員を率いる労組のトップだ。
会見で話を振った組合員は、準備した原稿を読み上げた。
◆自分の言葉で語り出した仲間たち
20代の男性は、若手とベテランの基本給の差が1万円程度だとし、こう訴えた「将来設計を描くことが難しい」
40代男性は労組に加わった理由を語った。「靴小売り最大手として、全従業員が安心して長期的に働ける労働環境と、業績に見合った給料体系に改善してほしいため、組合設立にいたった」
会見から2日後。水嶋さんは店を運営する東京都渋谷区の「エービーシー・マート」を訪れ、組合加入通知書と団体交渉申し入れ書を担当者に手渡した。
訪問を前に組合のLINE(ライン)グループに本社に行くと報告すると、次々と「お願いします」との連絡が来た。いつもなら返答はないので、驚いた。
「会見に出たことでやっと、組合員としての自覚が芽生えたんだ」と受け止めた。
水嶋さんがここに至るまでの道のりは平たんではなかった。
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ぶちお 2025年4月10日
よく頑張ったと思います。すごいです。応援してます、なんの役にもたちませんが。よくぞ記事にしてくれました。
いつから労働争議とかストライキとか禁忌されるようになったんでしょうか?昔は春闘の時期には、交通機関のストライキがあってバスが止まったりした記憶がある。アメリカをみても労働争議は当たり前。
お上に楯突くことは許さない、みたいな空気があるんでしょうね。TOYOTAやNISSANの金型無償保管なんかの下請けいじめも、日本らしさにしては行けないと感じます。
NISSANのEVやってた関さんが台湾の鴻海で頑張ってますが、企業体質にも嫌気が差したのかなぁ。
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