_____……四年前。
持っていたファイルから顔を上げ、あなたはびっくりしたような声を上げる。
助手席に乗っていたマネージャーはいたって普通に「そうよ」と返した。
ちょうどテレビ局の前に止まった車のドアから、マネージャーの静止も聞かずに勢いよく飛び出す。
途端にたくさんのフラッシュやファンの歓声があがる。あなたの入り待ちのLOVER。つまりあなたのファン達だ。
ファン達の方に投げキッスを飛ばし、あなたはテレビ局に入っていく。
すれ違ったスタッフに挨拶をしながら控室のあるフロアまで駆ける。エレベーターなんて待ってられない。
スタッフに教えてもらった通りに階段を登り、Stray Kidsの控え室前に到着する。
ダッシュしたことでよれてしまった服を手で軽くはたきながら、あなたは深呼吸した。
切れた息をなんとか整える。
デビュー日はStray Kidsより早いけど、ウジンやバンチャンやチャンビン。ヒョンジンにハン。アイエンも、練習生期間がかぶっていた。
みんな大好きなメンバーだ。
そんなみんなと今日、同じ舞台に立てる。
変な見た目じゃないかなとスマホを取り出し、確認する。うん。だいじょぶ。
なんて言って入ろうか。
考えるよりも前に、とりあえず扉をノックする。
コンコンと軽い音が鳴る。
中から聞き慣れた声がし、扉が開く。
「はい」と笑顔で出てきたリノはあなたと目が合った瞬間ちょっとびっくりしたような顔をした。
あなたはあはは、と笑ってリノの傍から顔を覗かせる。
楽屋に入り、勧められるままあなたはソファに座る。「ボクここ!」とすぐ隣にアイエンが来る。
同級生なのであなたとは仲がいい。
嫌そうなあなたを囲みながら、バンチャンとアイエンが爆笑する。
フィリックスはキラキラした目であなたを見、わあ…といった感じで手を口元に当てていた。
それに気がついたあなたが首をこてんと傾げ、バンチャンの方を見る。
【QUƎEN】はあなたが出ていたデビュー番組だ。
練習生と一般人から10人ずつ参加者を絞り、ミッションをこなして総合順位を決め、ソロヨジャドルをデビューさせるというものだった。
一般募集は韓国・日本・オーストラリア・アメリカで行われ、総応募数は5万を超えた。
大規模オーディション番組で見事デビューを勝ち取ったあなたは「born to be an idol」の称号を持つ。まさにQUEENだ。
ちなみにオーディションは2016-2017間に行われ、2017に見事デビューを果たした。
フィリックスは2017年に練習生になったので、あなたとの接点はほぼない。
「どこに書きますか?」とあなたが聞こうとした次の瞬間。
肩で息をしたあなたのマネージャーが楽屋に突撃し、あなたの頭をすっぱたいた。
あなたほ頭を抑えながら、「痛いッッ!!」と大きな声を出す。
それを上回る声でマネージャーが「痛いじゃないわよッッ!」と怒る。
あなたの顔からサッと血の気がひく。
バンチャンが慌てて「す、すみません!僕達が引き止めちゃって…」とあなたのマネージャーにペコペコする。
「チャニは謝らなくて良いの!」とあなたのマネージャーがぴしゃりと言う。
勢いよく立ち上がり、あなたは走って楽屋から出た。
相変わらず嵐みたいだなとバンチャンはひっそり思うのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。