東京女子医大の元理事長、無罪主張 2.8億円背任事件

東京女子医科大の看板=東京都新宿区で2025年1月13日、北山夏帆撮影 拡大
東京女子医科大の看板=東京都新宿区で2025年1月13日、北山夏帆撮影

 東京女子医大の新校舎や新病棟の建設工事を巡り大学に約2億8300万円の損害を与えたとして、背任罪に問われた元理事長の岩本絹子被告(79)は12日、東京地裁(福島直之裁判長)で開かれた初公判で「背任行為はしていない」と起訴内容を否認した。大学に架空の業務の支出をさせ、還流を受けていたとする検察側に対し、被告は適切な支払いだったとの認識を示し、無罪を主張した。

 起訴状によると、岩本被告は大学の経営統括部次長だった森洋美(53)と1級建築士の松丸典義(70)の両被告=いずれも公判中=と共謀。2018年2月~21年10月、新校舎2棟と新病棟の建設に関し、「建築アドバイザー業務報酬」名目で大学から松丸被告に不正な報酬を支払わせて損害を与えたとされる。

 検察側は冒頭陳述で「建築アドバイザー業務」には実態が伴わず、松丸被告が受領した報酬から税金分を差し引いた上で3分の2の金額が還流されたと指摘。スキームを考案した岩本被告が森被告に実行を指示し、計約8700万円が現金で岩本被告に渡ったとした。

 岩本被告は「支払われた報酬は適切なもの。一部を取得しようと思ったことも、受け取ったこともない」と主張。弁護側も「松丸被告は大学に多大な貢献をしていた」などとし、報酬額は適切だったと反論した。

 岩本被告は14年に副理事長に就任し、19年4月から理事長を務めた。推薦入試や職員採用を巡る複数の不正疑惑が浮上し、大学が設置した第三者委員会は24年8月、岩本被告の経営責任を「極めて重い」と指摘。岩本被告は理事長を解任された。

 東京女子医大は背任事件などの影響で、私立大の運営費を補助する「私学助成金」の24、25年度分が全額不交付になった。大学側は岩本被告に対し、不正支出分の賠償を求める訴訟などを起こしている。【菅健吾】

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