ブッダとイエスの違い
アメリカ大統領選での宗教右派の影響が議論されたり、宗教二世の問題が耳目を集めたりと、「宗教」への関心はこれまで以上に高まっています。宗教に関する知識を得ておくべきタイミングが来ているのかもしれません。
日本で「宗教」といえば仏教ですが、もともとはインドで紀元前後にはじまった「大乗仏教」が入ってきたものでした。
大乗仏教とはなんなのかを知るのに有益なのが、『大乗仏教の誕生』という本。著者は、京都大学教授で仏教学者である梶山雄一氏(2004年没)です。
本書では、ブッダとイエスの違いについて、A・L・バシャムというインド史の研究者が解説した内容が紹介されていますが、非常に興味深いものです。話は、ブッダの「ある行動」の記述からはじまります。『大乗仏教の誕生』より引用します(読みやすさのため、改行などを編集しています)。
〈シュラーヴァスティーの裕福な商家の嫁であったキサー・ゴータミーは、突然男の子を亡くしてしまった。彼女は死んだ子を抱いて歩きまわり、会う人ごとに薬をせがんだ。人びとは「死んだ子に飲ませる薬があろうか」とあざけった。彼女を憐んだある人が、たまたま近くに来ていたブッダのところへ行くようにと教えてやった。
ブッダに近づき、また薬をせがんだキサー・ゴータミーに向かってブッダは、「町に行き、だれも死んだことのない家から、カラシ種をもらってくるがよい」という。キサー・ゴータミーは死者を葬ったことのない家を探してまわるが、そういう家を見つけることができない。〉