高橋洋一・政治経済ホントのところ【ナフサ年度越え供給】原油価格より金融政策重要
高市早苗首相は中東情勢に関する閣僚会議で、ナフサ由来の化学製品について「年度を越えて供給継続が可能」との見通しを示した。ホルムズ海峡を経由した中東産に代わる調達が進んだとしている。 一部のオールドメディアでは、相変わらずナフサ不足をあおっている。 地上波では、専門家と称する人の意見として、イラン情勢により、日本のプラスチック原料となるナフサの輸入が滞り、4月初頭に専門家が「6月に日本は詰む(供給不足で生産不能)」と指摘した。 これに対し、高市首相はその発言をすぐに否定し、最近では、ナフサ由来の化学製品の供給のめどについて「年度(来年3月)を越えて継続できる見込み」と明らかにしている。在庫が少ない個別業者は、買い占めや過剰注文の影響を受けやすく、業者によっては目詰まりがあるところもあるが、ナフサが全体として足りていれば大きな問題になりにくい。政府は備蓄原油の放出をやめたくらいだ。 しかしながら、一部マスコミのナフサあおり報道は、コロナ禍のマスク騒動や、かつての石油危機のトイレットペーパー騒動をほうふつさせる。しかし、最近ではSNS上で、首相から直接の発言もあり、かつてほど消費者はだまされなくなっているのは心強い。 いずれにせよ、4月上旬に起きていたのは絶対量の不足ではなく、便乗値上げや、不安が不安を呼んで流通が慎重になりすぎた結果、必要なところに物が回らなくなったところもあるという程度だろう。 社会主義ではないので、個々の企業の経営問題まで政府に頼ることはできない。 第一次、第二次石油危機は、原油価格の上昇が当時の狂乱物価を招いたわけでない。第一次では、1973年10月の中東戦争勃発で原油価格は4倍になり、その後、国内物価は24%も上昇した。しかし、その1年ほど前の円切り上げによる円高加速に対し、政府がドル買い介入したが、これがマネタリーベース急増という過剰流動性をもたらしたのが原因だ。 これは、原油価格より金融政策のほうが国内経済にとって重要なことを示している。ナフサで日本経済が6月に詰むより、日銀利上げで日本経済が痛むほうが大きい。