在日朝鮮人系「ウリ信組」に一部業務停止命令 架空名義で口座、着服
架空名義の口座を作り、元役員が顧客の預金を着服していたなどとして、金融庁は12日、在日朝鮮人系信用組合「ウリ信用組合」(札幌市)に対し、銀行法に基づき、一部の業務を停止する命令を出し、発表した。信組は着服などの不祥事を隠蔽(いんぺい)し、金融庁の検査に対し、資料を破棄するなどしていたという。 【ひと目でわかる】ウリ・イオ・ハナ・ミレ……在日朝鮮人系信用組合の系譜 ■処分受け、理事長は辞任 ウリ信組は12日、札幌市内で記者会見を開き、処分を受けて琴正煥理事長が同日付で辞任したことを明らかにした。第三者委員会を立ちあげて調査する。 在日朝鮮人系の信組をめぐっては、2000年前後に各地の16信組が破綻(はたん)し、1兆1千億円超の公的資金が投入された。この際、架空口座を通じた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)への資金流出が問題になった。ウリ信組は破綻を免れた3信組の一つだが、存続した信組で不正の継続が発覚し、金融庁は他の信組への検査も検討する。 金融庁によると、ウリ信組は20年以上前から、本名で口座を作りたくない顧客の求めに応じ、架空の名義を用いたり、顧客の親族の名前を無断で使ったりして口座を作っていた。金融庁は他の在日朝鮮人系信組の破綻を受け、ウリ信組を検査し、架空や借名の口座をなくすよう求めたが、口座作りは続いたという。 ■資料の破棄・隠蔽 虚偽の答弁 ウリ信組によると、架空や借名の口座作りは1985年ごろから始まり、架空口座の預金は最大で03年に約74億円、借名は最大で14年に約120億円あったという。 信組の元常務理事は04~13年、架空口座などに入っていた複数の顧客の預金計約14億円を着服し、私的に使ったり、第三者に流用したりしていた。他にも職員らによる着服事案が4件あり、いずれも理事長ら経営陣主導で長期にわたり隠蔽していたという。 ウリ信組は不正の発覚を免れるため、直近の金融庁の検査に対し、多数の役職員が資料の破棄や隠蔽を行い、検査官に虚偽の答弁をしたという。金融庁は検査忌避などでの刑事告発を検討する。 金融庁によると、架空口座を通じた朝鮮総連や外国、反社会的勢力への資金流出は確認されていないという。 一部業務停止命令は、7月14日から1カ月間。新規の顧客への貸し付けや預金の受け入れが停止される。 金融庁は、25年に発覚したいわき信用組合(福島県いわき市)の不正融資問題を受け、地域金融機関に対する検査体制を強化していた。 ウリ信用組合は1965年に設立。営業地区は、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島県。昨年3月末時点で、預金残高は1千億円、融資残高は859億円。(編集委員・沢伸也、三浦淳) ■在日朝鮮人系信用組合をめぐる経緯 ■在日朝鮮人系信用組合をめぐる経緯 1950年以降 各地で設立される 80年代 全国に最大38信組 97~2001年 バブル崩壊や乱脈融資で16信組が破綻(はたん) 1兆1千億円以上の公的資金の投入 02年 破綻信組を受け継ぐ形で4信組を新設。既存の3信組と合わせ、現在の7信組に 05年 16信組から630億円が流れていたとして、整理回収機構が朝鮮総連に返済を求めて提訴。その後、東京地裁が返済を命じる 26年6月 金融庁がウリ信組に一部業務停止命令
朝日新聞社