上海電力、コオロギ太郎…偽情報信じた闇のクマさん「河野さん不出馬、僕にも責任」(上)

闇のクマさんのユーチューブチャンネル(スクリーンショットより)

政治関係のネット世論を巡っては、政治系インフルエンサーによって誇大に解釈された「偽情報」も少なくない。アライグマのCGで、時事ニュースをまくし立てる「闇のクマさん」は、橋下徹元大阪市長や自民党の稲田朋美元防衛相、河野太郎前デジタル相、林芳正官房長官ら有力政治家に対するネット上の誤情報を信じ、配信した過去がある。最近は何が事実なのかつかめるようになったといい、誤りに気が付くと謝罪動画も配信する。闇のクマさんのアカウント名で活動する会社員男性が産経新聞の取材に応じ、スタンスの変化を振り返った。

<闇のクマさんのユーチューブチャンネルのフォロワー数は約30万で、これまで2400本の動画をアップした。闇のクマさんに影響を受けたインフルエンサーは少なくなく、再生数も含めてトップインフルエンサーだったという>

──デマ情報を配信した相手政治家に対し、動画などで謝罪している

「一個一個(真実として)聞いて発信した情報が、一個一個間違っていたということが順番にドーンドーンと襲ってきた状況だ。恥ずかしい。ウソの情報を本当だと信じ込んでいた」

「僕はサラリーマン。情報収集にかけられる時間は1時間や2時間程度。ネットニュースを読んで、あとはネット上の好きな有識者や配信者の話を収集し、本当の情報を伝えているつもりだった。ただ、本名を出して肩書もしっかりした著名人が、ここまで適当なことを言っているとは思わなかった。僕も有名人の1人になって『ざっくりしたことしか言っていないのに、なぜみんな信じてしまうの?』みたいな感じだった」

<闇のクマさんは河野氏に対し、コオロギ食を推進しているとして「コオロギ太郎」と揶揄し、親族の会社「日本端子」が中国の太陽光ビジネスで利益を得ていると批判した>

──河野氏は今回総裁選出馬を見送った

「ちょっと前まで1票違えば総理になっていた人だ。今回出られていないのは、間違いなく『コオロギ太郎』『日本端子』『媚中』など一連の誤情報が原因だ」

「僕もネットで流れている河野さんのネガティブな情報はほぼ全て拾って動画にした。絶対、僕にも責任があると思う。ないわけがない。河野さんが総裁選に出馬しないと聞いて、もうどうしたらいいか分からなくなった」

「河野さんにとって厄介だったのは(2016年に行政事業レビューを巡って)官僚の方を怒鳴った動画があった。デマがいっぱい流れている所に(ネガティブな)真実の情報が1個入るだけで全部真実に見えるという最悪のサイクルが起きてしまった」

謝罪しても広がる誤情報

──橋下氏に対しては上海電力に利益供与したなど不確かな情報を発信。誤情報だと気が付くと唐突に謝罪動画を出した

「橋下さんにも、稲田さんにも、河野さんにも謝った。謝らないと今後気持ちよくしゃべることができない。謝り倒した」

──謝ることで炎上するリスクは考えなかったのか。何か思惑があって誤ったのか

「許してくれる確約なんかない。当然、謝ればガンガン炎上して、再生数がドンドン落ちた」

──謝罪した政治家の反応は

「河野さんは僕をX(現ツイッター)でブロックしていたが、解除してくれた。心の広い人だった」

──有力政治家らに謝罪した影響はあったか

「謝った僕が思うのは、問題は全然解決していない。誤情報による悪いイメージはずっと残る。名誉は回復されない。だからこそ、有名インフルエンサーによる誤情報は本当に怖い」

中国との交流は必要

──有名人を叩くことでインプレッションを得て収益につなげる構図がある

「自民党の有名議員は全員狙われているといってもいい。例えば、岸田文雄前首相は『増税メガネ』でたたかれた。僕がまだ勢いあるインフルエンサーだったら岸田叩きで2000万円、3000万円稼げるだろう。『岸田叩きマーケット』が見えている」

「お金が欲しければ誤情報だろうが何だろうが平気で流す。無名の誤情報インフルエンサーの多くは『有名人の発言を信じた俺がなんで悪いの?』というロジックでいるだろう。裁判を起こされてもそれほどひどいことにならないからだ」

──親中派の二階俊博元幹事長に対しても(盲目的に中国政府を礼賛する)「媚中」と批判した

「『媚中野郎』とめちゃくちゃ言ったけど、二階さんは貴重な存在だった。いるかいないかで中国と話ができるかどうかが変わる。尖閣問題をエスカレートさせず、台湾有事を起こさせないため、中国とは話をしなければいけない。中国とパイプを持っている人が減っているのは単純に怖い」

「中国との交流は必要だ。ぼろくそに言っていた僕がこんなことを言うようになると思わなかった」(聞き手・奥原慎平)

林芳正氏=リンホウセイ「名づけ親は僕、誤情報に踊った」インタビュー(中)

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