「冷泉」の読みは「れいせん」か「れいぜん」か 研究者が迫った博多の謎
呼称混在の背景に博多人の気質?
市内では89年のアジア太平洋博覧会(よかトピア)を契機に、ローマ字の街区表示が進んだ。山田さんの調査でも、この頃から清音表記が増える。清音を公称と認識する住民が増えたことは否めない。 □ □ 一方、呼称が混在する背景として、山田さんはこうも指摘する。「自分たちの町に誇りを持ちつつ、他人に押しつけない博多の人たちの気質が、異なる読み方を受け入れてきたのでは」。博多祇園山笠にも根付く自治の精神と言えよう。
冷泉公民館の前には濁音表記の看板が立つが、避難場所を示す敷地内の案内板は清音表記。冷泉小の卒業生でもある三浦鉄男館長(74)は「昔から『れいぜん』と呼ぶが、それぞれの思いがあっていいんじゃないでしょうか」と気に留めない。 とはいえ、「歴史を継承するためには、人々の記憶から『れいぜん』が消えていくことを防ぐ必要がある」と山田さんは訴える。博多の地域ブランドを考える上でも町名は重要なのだ。
山田さんは最後に教えてくれた。「『reizen』はオランダ語で『旅をする』という意味です」。偶然の一致は興味深い。どんたくの語源もオランダ語の「zondag(休日の意味)」とされる。やはり博多には「れいぜん」が合うのかもしれない。 山田さんの研究論文は3月発行の紀要「都市政策研究」第27号に掲載されている。
西日本新聞社