(社説)皇族数の確保 養子案には疑問が残る
皇族数の確保策をめぐり、衆参両院の正副議長が「立法府の総意」案を公表した。この内容に基づいて速やかな法案提出を政府に求めている。
今回は「皇族の数をどう確保するか」が焦点だったが、その先には「安定的な皇位継承をどうするか」という課題がある。立法化にあたっては、皇位継承のあり方をめぐる今後の議論を縛らないことを明確にしてもらいたい。
「総意」案は8日、各党派の代表者が集まる全体会議で示された。悠仁さままでの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないことを確認した上で(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ(2)皇室典範で禁止されている皇族の養子縁組を可能にし、旧11宮家の男系男子を対象にする――の両案を「了」とした。10日の全体会議での決定をめざす。
(1)で、本人の意向を尊重するとされたのは当然だが、皇族に残る場合、配偶者や子を皇族とするかどうかは明記されなかった。意見が割れており、結論を先送りした形だ。
問題が大きいのは(2)の養子案だ。養子の年齢、養親の範囲など留意点を四つ挙げつつ慎重な制度設計を求め、「養子が皇統の紊乱(びんらん)を防ぐ等のために皇室典範で認められてこなかったことを重く受けとめ、皇族数の確保の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、一定年数ごとに見直すものとする」とした。
そこまで問題点を自覚しながら、制度の根幹部分を改めるのには疑問が残る。
各界の第一人者からなる2005年の有識者会議は、旧皇族の復帰案について「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難」としていた。
問題が混迷する背景には、男系男子に固執する考えがある。父が天皇の系譜につながる「男系」か、母がつながる「女系」かの2通りと、本人が男性か女性かの2通りとで四つ組み合わせがある中で、「男系男子」だけを重視する論者は「伝統」を強調する。しかし「伝統」自体に「男尊女卑」の考えや慣習が埋め込まれていないだろうか。
男系男子論からは、女性皇族の子には皇位継承資格を与えるべきではなく、養子の子には与えられることになるが、賛成できない。
「総意」案が成案となるとしても、養子の子の扱いを含め、皇位継承に絡む課題は将来の立法府の判断に委ねると明確に確認するべきだろう。
今後は、女性・女系天皇への道を閉ざさず、広く国民が納得できる議論の場を、速やかに設けてもらいたい。
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