日本初の児童書専門店、名古屋のメルヘンハウスの軌跡描く書籍出版

滝沢隆史
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 1973年、日本初の児童書専門店として開店した「メルヘンハウス」(名古屋市千種区)は、2018年に閉店したものの、5年前に再オープンした。その軌跡をつづった書籍「メルヘンハウス 日本で最初の子どもの本専門店」(工学図書刊)が出版される。

 メルヘンハウスは、3年前に79歳で亡くなった三輪哲さんが創業した。大学を卒業して入った商社を4年で辞め、米国に1年半滞在。個性的な書店を数多く巡った。もともと子どもが大好き。子どもの本専門店のアイデアが膨らみ、帰国後に実現した。

 利益率が高い漫画や雑誌はあえて置かず、宣伝文句に惑わされないように本の帯は外して絵本を並べた。手にとって内容を確かめられるよう、透明なフィルムで本を包むこともしなかった。親子と会話しながら、その子に合う最良の本を薦めるスタイルにこだわった。

 毎週の読み聞かせの会や、年齢に合わせた配本サービス「ブッククラブ」も人気に。ネット販売に押されて一度は閉店したが、21年に哲さんの息子で2代目の丈太郎さん(50)が復活させた。

 再オープンまでの軌跡をつづった書籍は、丈太郎さんが企画した。「いま、どの書店にも同じような児童書が並び、専門の担当者も置かず、子どもが良質な本を手にとれない環境がある。父が残したメルヘンハウスを知ってもらうことで、現状に一石を投じることができる」と考えた。

 哲さんが14~17年に月1回のペースで、店での日々の出来事をホームページ上で紹介していた「メルヘンハウス物語」の全文や、業界について語った哲さんの雑誌での鼎談(ていだん)を収録。国内外の子どもの本専門店にまつわる歴史や考察のほか、哲さんと縁のあった11人が寄稿した。

 丈太郎さんは、閉店や再オープンに至った哲さんと過ごした最後の9年間の日々をつづっている。「これからもメルヘンハウスを続けていくために、自分なりの整理や発見があった。あらゆる人の背中を押す内容にもなっている」と話す。

 本は四六判、256ページで2420円(税込み)。6月下旬から全国の書店に並ぶ。

 出版を記念し、哲さんの命日となる6月26日にトークイベントを開く。哲さんとゆかりのあった編集者ら5人と丈太郎さんが、哲さんの思い出などを語り合う。うりんこ劇場(名古屋市名東区)で午後7時から、参加費は2千円。問い合わせはメルヘンハウス(052・887・2566)へ。

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