「冤罪で検察官が処分された例はあるのか」国民・井戸議員が追及
10日の衆議院法務委員会で、国民民主党の井戸まさえ議員は、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを原則禁止とする再審法改正案をめぐり、「不適切な抗告によって無罪を訴える人の救済が何年も遅れる可能性がある」として、検察の責任のあり方をただした。 【映像】「網羅的に把握してくださいよ」井戸議員が激しく追及 井戸議員は「抗告が棄却された場合、誰がどのような基準で、どのような手続きによって検証するのか。再審開始決定に対する抗告は単なる訴訟上の一手段ではなく、その抗告によって無罪を訴える人たちの救済がさらに何年も遅れる可能性がある。場合によっては『生きているうちに救済する』という再審制度の理念そのものを失うことにもなる」と指摘した。 そのうえで、「仮に十分な根拠を欠く検察官抗告によって再審開始や無罪判決が遅れ、最終的に国家賠償責任が認められた場合、その賠償を負担するのは国、すなわち国民だ。本来、違法または不適切な抗告によって救済を遅らせたのであれば、その判断を行った検察組織自体が厳しく検証されるべきだ」と述べ、「検察官抗告を制度として残すのであれば、少なくとも抗告が棄却された場合の検証手続きや責任の所在、再発防止策をあらかじめ明確にしておく必要がある」とただした。 これに対し法務省・佐藤刑事局長は、「無罪判決等があった場合には、事件における捜査・公判活動の問題点を検討し、必要に応じて検察官の間で問題意識を共有し、反省すべき点については反省して今後の捜査・公判の教訓としている」と説明。その上で、「国民の信頼を確保する観点から必要と考えられる場合には、検証結果を対外的に公表することもある」と述べた。
「結果的に無罪でも処分は困難」法務省刑事局長が指摘に答弁
井戸議員はこれに対し、「問題点を共有して反省するだけなのか」と追及。さらに、「これまでに検察官の中でこうした冤罪事件に関して罪に問われた方はいるのか」と質問した。 佐藤局長は、「現在、数字は持っていない」としたうえで、「厚生労働省元局長の無罪事件では、証拠隠滅事件に関与した検察官について、懲戒免職処分と刑事事件としての立件がなされた」と答弁した。 これに対し井戸議員は、「事前のレクでは、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件以外に、検察官が罪に問われたケースはないと聞いている」と確認。 佐藤局長は「網羅的に把握していないが、その事件以外は現時点で承知しているものはない」と述べた。 すると井戸議員は、「網羅的に把握してくださいよ。これだけ冤罪があるわけじゃないですか。そしてそれが立法事実として今、再審法を議論しているんじゃないですか」と批判した。 これに対し佐藤局長は、「無罪に至る理由にはさまざまなものがある。有罪を認定するだけの合理的な疑いを入れない程度の立証ができなかった事案について、結果的に無罪だったからといって検察官を犯罪や懲戒処分とすることは困難だ」と説明した。 井戸議員はさらに、「証拠隠滅をしたり、意図的にやっているのではないかと思われるようなものもある。しっかり処分も含めて対応しなければ、結局は『自分たちは関係ない』となりかねない」と指摘。「再審無罪となった事件や裁判所から捜査・公判活動について厳しい指摘を受けた事件について、どのような基準と手続きで検証を行うのか検討してほしい」と求めた。 また、郵便不正事件で無罪となった村木厚子氏の「法制審議会では裁く側の論理が強く、裁かれる側の視点が十分反映されていない」との指摘を紹介し、「第三者や当事者も交えてしっかり検討していくべきだ」と訴えた。 これに対し佐藤局長は、「無罪判決等があった場合には問題点を検討し、必要に応じて問題意識を共有し、反省すべき点については反省して今後の教訓としている。厚生労働省元局長事件でも無罪確定後に検証を行い、公表した経緯がある」と答弁した。 最後に井戸議員は、「生きているうちに救済するという理念を実現するため、私たちも修正を求めながらやっていきたい」と述べ、質疑を終えた。(ABEMA NEWS)
ABEMA TIMES編集部