- 1126/05/30 00:44:27
- 2二次元好きの匿名さん26/05/30 00:55:25
獄中恋愛とかいう強めの四字熟語
- 3二次元好きの匿名さん26/05/30 00:55:51
ドラマのタイトルみたいですね
- 4二次元好きの匿名さん26/05/30 01:01:05
10まで保守
- 5二次元好きの匿名さん26/05/30 01:02:05
次スレありがとう!
- 6二次元好きの匿名さん26/05/30 01:02:18
続きドキドキする
- 7二次元好きの匿名さん26/05/30 01:03:56
夏目ア〇タの結婚もドラマ化したし、この日虎もそろそろドラマ化が決まるはず
- 8二次元好きの匿名さん26/05/30 01:16:59
ほしゅ
- 9面会26/05/30 01:25:36
「、なッ」
その言葉に虎杖は、思いがけず胸をナイフで突然刺されたような、一瞬だけ何が起こったかわからない顔をした。
感情が乗る前の透明度の高い剥き出しの視線を、日車へと放り出すみたいに向ける。それは堕ちてゆく最中に崖の上に立つ人を見上げるような、どこか間抜けであどけない悲壮感のある、幼げな瞳であった。
「…………」
「かっ…、くしたい、こと、…なんて……ンな……、……」
青年は、この期に及んで砂を搔き集めて足場を固めるように言い分を求めたが、掴んだ先から指の股を伝って逃れ落ちてしまうのか、その掌には何も残らない。胡坐を掛けるほどに頑丈なごまかしなど、捏ねられそうもなかった。
「────そうか。やはり、俺なぞには何も言えないか」
「ちが、……」
まるでオセロの角を的確に埋めるように、戦略的で丹念に逃げ場を塗りつぶす執念深い尋問であった。
否定しても肯定しても泥沼であることにすんでで気づいたが…気づいたところでもうどうしようもない。日車の顔は打って変わって、血液の代わりに氷水でも流れてそうな影深い無表情だ。心を売り払った後みたく、手心がない。
そもそもこの男を前にして、論舌の土俵へとウッカリ足を踏み入れてしまったことから間違っていたのだ。ただ一年のうちの三十分間だけ、血を通わせて温めあいたかっただけなのに。握る手に込められた力が徐々に強まるように、いつのまにか境界線を足先が踏んでいたのだ。それは何より、日車の領分である。
日車は顎を引いて、他の何も動かさず、黒目だけをググ…と持ち上げた。その仕草が何とも言えずどこか非人間じみており、今しがたスイッチが入ったばかりの焦点を絞りつつある精密機械を思わせる。虎杖は「ああ、今から追い詰められるんだな、俺」と頭の片隅にあるやけに冷え込んだ現実逃避の俯瞰的思考が、一足先に諦めて覚悟の準備をし始めていた。
「…………虎杖、君の無実を証明するには、お誂え向きのやり方があるだろう?」
トン、と日車の指先が下唇を叩く。
「────そのマスクを取って、君の顔を俺に見せてくれ」
「、────…………」
虎杖は、
dice1d2=1 (1)
1観念する
2まだ舞える!
- 10二次元好きの匿名さん26/05/30 01:27:29
潔し!!
- 11二次元好きの匿名さん26/05/30 01:31:19
原 作 再 現
- 12二次元好きの匿名さん26/05/30 02:22:28
このレスは削除されています
- 13二次元好きの匿名さん26/05/30 03:20:14
おお!!!!!
- 14二次元好きの匿名さん26/05/30 07:37:01
そりゃあそう
日本でも有数の口喧嘩の上手い男だからな… - 15二次元好きの匿名さん26/05/30 10:02:24
あーもーバレてるぅ
- 16二次元好きの匿名さん26/05/30 13:52:54
スレ主が立てた過去スレ大好きだから不老不死告白展開助かる
さあ魅せてくれ!!日車寛見!! - 17二次元好きの匿名さん26/05/30 18:32:21
弾丸論破されてる
日車との舌戦なんて自ら処刑台に立つようなもんだね - 18二次元好きの匿名さん26/05/30 23:22:47
保守
- 19二次元好きの匿名さん26/05/31 07:27:06
保守
- 20二次元好きの匿名さん26/05/31 13:28:34
保守
- 21二次元好きの匿名さん26/05/31 19:44:06
獄中恋愛の響の強さよ。不老を知った日車はどんな反応をするのかな…
- 22面会26/05/31 22:17:16
青年は冷たく切実な痛みが浸透しきって、完全に自分の一部となるのを待つように、永く目を瞑った。暫く、その余韻のため、沈むように黙っていた。
下瞼のフチまで押し上げられて、へばりついた分厚い影か、錠前のない開かずの戸のように頑なに顔の大半を覆っていた黒いマスクへ、虎杖の指が死にかけの虫よりも覚束ない頼りなさで、この期に及んでまだ迷いながらも掛かる。
「…………」
人差し指をマスクのフチに引っ掛けて……、その状態で一瞬だけ捨てられる犬の、ほとんど諦めながらも一縷の望みを抱いて飼い主に縋るような光を瞳の奥で瞬かせて、虎杖は日車を見た。しかし日車は、既に判決は決してひとつの事件を終えた後の取り付く島のない突き放す無表情で彼を静かに見返している。
虎杖は遣る瀬無く目を伏せた。どうせ、遅いか早いかの違いで、この秘密と同じ骨壺に入ることができないのは、わかりきっていたことなのだから。
「…………────これでいい?」
「、────君は……、……」
日車はそっと目を細めて彼を見つめた。
思えば、この素顔をどれほど見たいと願い続け、しかし彼らを沈黙とともに別つ歳月やアクリル板のように単純な辛抱だけでは過ぎ去ってはいかない厄介な難問のため、今まで遠ざけられていたことか。
日車はおもむろに虎杖の頬へ手を伸ばし──、その指先は冷ややかなアクリル板の無愛想で硬質な皮膚に、敢え無く阻まれたが、構わず、虎杖の肌を撫でるように柔和に指を滑らせる。 - 23面会26/05/31 22:30:20
「出会ったときから、何も変わっていないのだな…………」
その言葉に、虎杖は大人びた悲しい覚悟のために、却って青褪めた静観が瑞々しく澄まされ、平静さの中枢に腰を据えた顔で唇を硬く引き結んだ。
彼の顔はこの三年で、ほとんど変わった様子を見せなかった。いや、ほとんどというのもまた、及び腰な手心のため、触れあぐねている表現だ。全く、と言い切ってしまうのが正しい。
十代後半、少年を脱皮して季節が変わるようにごく自然に、誰でもそれぞれの勾配へと差し掛かる過渡期の時代である。目覚ましい変化を経て、やがて羽化を遂げるものだ。
しかし、彼は何ひとつとして変わっていなかった。面会時はいつも虎杖が先に座った状態で対面するからわかりにくかったが、背だってきっと伸びていないのだろう。
将来の展望を不透明であれど予感させながらも、しかしそれで成熟とするには硬さが足りず、青く初々しい印象が先立つ少年らしさが時を忘れたように未だそこにある。青年はもはやそれで完成し、骨壺の如き額縁へと一足先に入ってしまったかのように、アルバムに栞を挟んだ少年時代のままであった。
「────ごめん」
彼は日車の口を塞ぐように、一口の謝罪を口早に挟み込んだ。
「待って。待ってほしいんだ、ごめん。ちゃんと……、ちゃんと、言うから。言わなきゃいけないって、わかってたから。……でも、ここじゃ……、……」
「……………………そうか」
手近にある言葉をなりふり構わず掴んだ先から押し付けるように、虎杖は必死に言い募った。
結末が露呈した以上、その因果も想像がついた。少なくとも、非術師である刑務官が同席するこの場では、これ以上彼の秘密を深堀りするわけにはいかないのだろう。
ひとつの落としどころを見定めて押し黙った日車に、虎杖は好機を見て更に言い重ねた。
「黙ってたわけも、……日車が知りたいことならなんでも……日下部先生あたりに頼んで、知ることができるようにしてもらうから……、……だから、今日は…………」
「…………」
dice1d2=2 (2)
1「……わかった。(これ以上の追及を止める)」
2「…………わかった。でも最後にひとつ、おしえてくれないか。君が、俺のことを本当はどう思っているのか」
- 24二次元好きの匿名さん26/05/31 22:32:46
今回の面会から日車が覚醒しとる!!
- 25二次元好きの匿名さん26/05/31 22:37:44
「この秘密と同じ骨壺に入ることができないのは」
毎回美文にうっとりさせられるけど、今回のこの言い回しが好きすぎる - 26二次元好きの匿名さん26/06/01 00:44:36
腹括ったんだな、どっちも……
この景色を見届けられて嬉しい - 27二次元好きの匿名さん26/06/01 01:28:09
きた!!!!
押し押し日車だ!!!! - 28二次元好きの匿名さん26/06/01 07:57:41
保守
- 29二次元好きの匿名さん26/06/01 13:11:56
たじたじ虎杖いいぞ〜日車を弄んだ(?)自覚があるのかな
- 30二次元好きの匿名さん26/06/01 20:21:52
アクリル板越しに虎杖の頬を撫でようとする日車の指の描写で全俺が萌え落ちた
- 31二次元好きの匿名さん26/06/01 21:35:49
わかる(わかる)
- 32二次元好きの匿名さん26/06/01 22:50:10
保守
- 33面会26/06/01 23:47:25
「、…………日車」
「君は、その……責任をとるべき、だろう。あれだけ期待をさせておいて……」
どうしても言わずにはおれない。
熱く情動めいた、日車とは違う生き物が舌に飼われ、それが漏らす生々しい慄えが音となって止まらぬようであった。日車は堪らず目を顔ごと逸らし、曇った鏡のような眼差しをして、努めて情報を拾わずに手前を見つめていたが、しかしそれでも彼の唇は彼の心を正確に写し取ってやまなかった。
「年嵩の…それも21も離れた中年を捕まえて、散々思わせぶりなことを言ったんだ。褒められた真似じゃない。…………今のうちにこっぴどく振っておくことをおすすめする。そうじゃないと、俺はどこかで希望を手放せずに、宙ぶらりんのまま、君を諦めてやれなくなるだろうから…………、………………」
それは心臓を解体したときに否が応でも飛び散って防ぐすべもなく手を汚す血飛沫のように生臭い言葉の破片であった。
日車の括られたように整頓してある理性の号令は、括られているがために不自由で融通が利かず、本音は道徳心に空いた情愛という穴を突いてガソリンのように漏出してしまったらしい。
「…………」
「……その……、すまない…………だが……」
打って変わって平静を取り落とし、挙げられた手がいつ振り下ろされるかに怯える老いた犬のような目をした男を、虎杖は却ってなだらかな風が吹き撫でてくるような心持ちで見つめた。
弁護士として染みついてきた生き方が言質に固執させるのか、世間の端っこの三畳で寝起きする男にとって黙契は愛を担保する保証書になりえず、今のうちに安心を言葉で買ってしまいたいのか、……もしくはもっと単純に、いずれ裏切られる期待ならば、今切り捨ててほしいのか。
虎杖の無言の底には仄かに呆れの色が溶け出してしまっていた。
しかしそれは本腰を入れた絶句というわけでもなく、むしろ自分の掌の上を広い荒野と勘違いして途方に暮れている可愛い間抜けを、転がしてやるときに抱く意地悪な愛おしさが、沸々と青年の情愛の温度を上げていた。 - 34面会26/06/01 23:57:38
「…………────俺はさ、何とも思ってない人間に、あんなふうに逐一言葉を尽くしたりしねーんだけど。それでもちゃんと言わなきゃわかんないんだ、日車は」
「、っ……いたどり、」
「ま、いいよ。こういうのは惚れた方が負けって言うしな。……何度でも言ったげる」
そのときの虎杖は、風に吹きさらしになって靡く素朴な野花のように衒いなく笑っていた。
その顔を見て日車は「ああ」と思った。
この「ああ」の二文字をつぶさに解体して文脈を着飾り、明朗に紐解いてやることはちょっと難しかった。ともかく感嘆とも、また息継ぎのための溜息的余韻とも違った。「ああ」とぬるま湯の温度をした充足が全身に浸透するように思ったのだ。
「…………好きだよ。日車のこと。生きてる間はずっと、俺のそばにいてほしいくらい。……それだけ、アンタが好き」
「…………」
「好き」と青年の唇がこの単純な組成をして、かつ透き通るほどに瑞々しい真情を象ったなら、自分はどうなるのだろうか。日車は一切と言ってよいほど、脳みその切れ端だけでも考えたことがなかった。
無意識に夢見る心を、この極端な生活から遠ざけていたし、自分が見てよい夢だとも思っていなかったからだ。こんなことは地球最後の日でもあり得ないと、心のどこかで諦めていた。
しかし虎杖は今、他愛無く日車の愛に応えた。
実に容易く、軽い抓みをチョイと捻るほどの労力もない簡単な仕事であるかのように、日車が開こうとして、実のところ今まで手を伸ばしあぐねていた最後の扉を開いたのだ。鍵なんて本当は掛かっていなかったみたく、彼は身軽だった。
世界は終わりも変わりもしなかった。
変わったのは日車の心だけで、それはひとつの長く小暗い過程を修了して、突如目の前に現れた小さな一段を上るために踏み出した足を、一歩分だけ持ち上げる力強さを齎した。
「……惚れたが負けならば、俺は君に負け通しだな」
日車は緩めた口元で溜息を吐くように穏やかに笑った。何か、大きな荷物を下ろしたばかりのような、それはどこか晴れ晴れとして、肩肘張らない楽な座り方にやっと気づいた顔だった。 - 35面会26/06/01 23:58:38
「────手紙。とりあえず、手紙書くから!」
面会の終わる間際。アクリル板の奥の方で日車が面会室の敷居を跨ぎ、日の当たらない三畳へと引き戻される手前、虎杖は今目が覚めたような唐突さでそう叫んで、男の足を引き止めた。
「だから、日車も俺に手紙書いて! それで……、仮釈放、どうするのかちゃんと教えてよ。……どんな返事だって、いいからさ────」 - 36二次元好きの匿名さん26/06/02 00:13:05
ワイの中の心の刑務官がスタオベした
- 37二次元好きの匿名さん26/06/02 00:31:14
マジで数分間顔を覆って泣きました
この一連の文章を形作る一文字一文字を柔らかい布で丁寧に磨いてぜんぶショーケースに飾ってしまいたい
一節一節の美しさについてそれがどれだけこちらの心を握りしめたか懇切丁寧に語り尽くしたい - 38二次元好きの匿名さん26/06/02 00:38:49
ラブレターをもらってド鬱になってた日車が虎杖に迫って告白させたなんて…成長(?)したな…
虎杖も返事欲しいと切実に願ってるから、日車も遠慮なく読んでも読んでも終わらない論文みたいな分厚いラブレター送ってやろうな - 39二次元好きの匿名さん26/06/02 00:43:30
虎杖は自分のほうが先に惚れたと思ってたんだね
言われてみれば面会にしろ手紙にしろずっと虎杖からアプローチしてたのに日車から返事なかなかこないし、浮浪の件もあるしで不安だったろうね - 40二次元好きの匿名さん26/06/02 07:23:22
虎杖のセリフの端々に不安要素を感じてしまう。
ただの考え過ぎであって欲しい。 - 41二次元好きの匿名さん26/06/02 16:22:15
虎杖を周りと同じ時間軸に戻すのが無理なら、日車が400年生きる方向で頑張ればいいんじゃないかな
五条先生も成熟したら年食わないなんか美しい生き物っぽいし、先生と並ぶ天才日車ならなんとかなるよ - 42二次元好きの匿名さん26/06/02 23:04:51
ほしゅ
- 43虎杖からの手紙26/06/02 23:54:45
『日車へ
お元気ですか…って、聞くまでもないか。この前、面会で会ったばかりだしね。
あの後、すぐ日下部先生にお願いしたら、どうにか今回は刑務官の人らのチェックとかはなしで、日車へオレの手紙が届くように手配してもらえたよ。
メンドクセーって感じの顔しながら「メンドクセー」って言われちゃったけど、何だかんだ面倒見いいよな、日下部先生。この前も、オレの代わりに面会行ってくれたしね。
何から書けばいいんだろうな、こういうのって。
全部教えるって決めたのにさ、じゃあってペンを取ったら、手紙の白紙が思ったより広く見えて、何かしばらくボンヤリしちゃった。
まあ、今更だけどこういう手紙のちゃんとした書き方とかわかんないし、単刀直入に書いちゃうと、オレってもう、みんなと同じように年取れないんだってさ。アニメやマンガに出てくる不老不死みたいに、まったく変わらないってワケじゃないんだけど、人生がながーく引き延ばされて、その分、成長や老化も緩やかになるってことらしいよ。
呪物食っておいて何の影響もないことはないだろって、諸々ひと段落ついてしばらく経った頃に家入さんがいろいろと精密検査してくれたんだけど、まあ案の定って感じ。今の状態は受肉体とか、どちらかと言うと呪物に近いのかな。
そういや脹相も大体150歳って言ってたけど、じいちゃんには見えなかったしね。あの当時はそういうもんだと思ってて、そもそも深く考える時間もなかったけど、今更思い返してみて、厳密にはオレとはちがうのかもしれんけど、何となくひとりで納得してる。
まあ、もう脹相はいないし、他の受肉体も、オレが呪物と元になった人たちとではがしちゃったから、この納得はもうオレだけのものでしかなくて、どうしようもないんだけどね。
でも、あの時はそれしか手段がなかったし、後のことは後になって考えようって腹決めて兄貴たちを食ったから、後悔はしてないよ。まあ実感も今のところあんまりって感じだから、しばらくしたら後悔するようになるのかな。そればかりはまだ、わかんないや。 - 44虎杖からの手紙26/06/03 00:00:48
一応、高専の外にオレの体をどうにかする手立てがないか探したりもしたんだよ。みんなもいろいろガンバってくれてさ。
オレは先生たちに手配してもらって、それこそ京都みたいに呪術の歴史が長い土地を探したり、あとはアイヌの呪術連を訪ねに北海道に行ったりもしたんだよね。
高専が扱ってない呪術や、忌庫にない呪具やらがもしかしたら糸口になるかもしれんし。手紙にもちょこっと書いたりしたけど、一時期出張が多かったのもそれね。単純に呪霊倒しに行くわけじゃない分、ゴールがはっきりしなくってそこそこ大変だったな。
でも、本当にいろいろな人に協力してもらって、それはめちゃくちゃありがたかった!それで試せそうなことは一通り試してみたんだけど、やっぱダメっぽいや。
まあ、宿儺を倒せるなら何でも食ってやるって決めたのはオレだから、もうしょうがないよな。
日車はさ、いつからオレのこと気づいてた?
頭良いから、隠し通せるわけないことはわかってたんだけど、思ったより早かったよね。だってまだ三年しか経ってないじゃん。
伏黒は最近、ケッコー身長伸びてきたんだけど、釘崎はあんま変わってないし、二人と並んでも、今のところそこまでのイワカンはないんじゃねーかなって思ったりもしてたのに、覚悟してたよりずっと早く見破られたから、ちょいビビった。でも、たまにしか会えない日車からしてみれば、ケッコーわかりやすかったりしたんかな。
それとも、愛の力ってやつだったりする? ……なんてね。
思えば日下部先生も、日車がオレの秘密に気づいてるっぽいこと、勘づいてたりしてたんかな。面会で何話したか、結局教えてくんなかったし、マジで。 - 45二次元好きの匿名さん26/06/03 00:07:46
このレスは削除されています
- 46虎杖からの手紙26/06/03 00:14:25
それでまあ、日車に今の今まで黙ってたワケなんですが。
日車って元々一般の人だったからなのかな、オレのことケッコー子どもとして扱うじゃん? 呪術師って年齢とかあんまり関係ないのに。面会の時だって、15の頃から変わらず。
だから、オレの不老を知ったら余計気に病んでしまうんだろうなってこと、何となくわかってたんだよね。ただでさえオレのこと、すごく気にかけてくれてたしさ。
せめてオレが成人してから、とか。いや日車が出所してから、とか。じゃあもう、どうせ年単位で隠し通すつもりなら、気づかれるまで黙っておきたいな、とか。……できればずっと、気づかれずにいたいな、とか。
会う度に言えなくなっていって、そうするとどんどん欲張りになっちゃってさ。決断を先送りにするだけだし、オレが日車から離れない限りは、いずれちゃんと向き合わなきゃいけないことなのはわかってたんだけどね。でも、だからって日車から離れるのも嫌だった。
オレってケッコー思い切り良い方だと思ってたんだけど、日車のことになるとずっとウジウジしてしまって、もうどうしようもなかった。
一緒に住みたいって言ったのも、その場だけの軽口じゃなかったんだよ。ほんと。
今はまだあんまり実感ないけど、これから先、みんなのことが好きで、そばにいればいるほどに自分との違いを痛感して、それでもどうしようもできずに、何年、何十年も同じ場所で遠くなる背中を、見送ることしかしてやれないんだと思う。覚悟はしてるんだけど、実際、何て思うかはその時にならないとわかんないじゃん。
それでも、オレが長生きすればするほどに、みんなや、日車と過ごした時間が、これから先の終わりの見えない人生に圧し潰されるみたいにして小さくなっていくのは、今でも何となく想像はつくんだ。もしかしたら、忘れちゃいけないことまで忘れてしまうかもしれない。
だからせめて、大切な人には生きてる間、できるだけそばにいてほしい。
いずれオレは日車を見送って、日車と過ごした時間よりはるかに長い人生を生きるんだろうけど、思い出したいときにすぐにでと日車のことを思い出せるように、ひとつでも多くのことを覚えていられるように、日車が生きてる間は、ずっとオレのそばにいて。できるだけ、一日でも長く。 - 47虎杖からの手紙26/06/03 00:15:46
だからさ、出所したら、一番初めにオレに会ってよ。
遠い未来でもオレがちゃんと生きていけるよう、日車の残りの人生、全部オレにちょうだい。オレの一生をかけて大事にして、それで気の遠くなるくらい先の未来まで、ひとつも取り溢したりしないよう、しっかりと抱えて生きていくから。
死ぬまでオレと一緒に生きてよ。日車のこと、大好きなんだ。
これはオレのワガママでしかないんだけど、でも日車にしか叶えられないんだよ。オレの一生のお願い。
返事、いつになってもいいから、書いてくれたらうれしい。仮釈放も、どうするか決まったら教えて。待ってる。
虎杖悠仁』 - 48二次元好きの匿名さん26/06/03 00:41:50
今すぐ仮釈放手続きして会いに行って虎杖を抱きしめてくれよ日車!!
- 49二次元好きの匿名さん26/06/03 00:55:24
過去スレ読み返してたんだけど、ダイス方式なのに綺麗に伏線回収されててビビったのと、虎杖もずっと会いたがってたのがよくわかる…あとやっぱり鬱車が頭おかしくて笑ってもた(すまない日車)
- 50二次元好きの匿名さん26/06/03 01:42:22
落ち着け日車!!ここで感極まって叫ぶならガベル持ち出そうもんなら仮釈放がオジャンになるぞ!!
今は落ち着いて深呼吸して論文並みの手紙を書くに留めろ!! - 51二次元好きの匿名さん26/06/03 02:41:39
好きな子が自分の挙動に一喜一憂して時にはうじうじ悩んだりしてくれてたのがわかるって嬉しいよね
自分の一方通行じゃなかったんだって思えるもんね
開き直って問い詰めたくらいだし、もう揺り戻しの希死念慮はこないよね…ないよね? - 52二次元好きの匿名さん26/06/03 10:09:00
保守
- 53二次元好きの匿名さん26/06/03 10:54:25
>だからせめて、大切な人には生きてる間、できるだけそばにいてほしい。
ここでこの結論を出せる虎杖は強いよ……別れが辛くなるから遠ざけたいってなってもおかしくないのに
- 54二次元好きの匿名さん26/06/03 18:23:45
保守
- 55二次元好きの匿名さん26/06/03 18:23:56
保守
- 56二次元好きの匿名さん26/06/03 18:25:33
虎杖のお手紙いつもあったかくて好き
- 57126/06/03 23:22:46
「………………」
「……………、…………」
「…………………………………」
「……………………………いたどり、…………」 - 58返信26/06/03 23:25:33
拝啓 虎杖様
桜の樹というものは、その有頂天のさなかでもどこか死の影を透かせて見せるように滅びの気配をけぶらせているものですが、ふくよかなそれらの化粧も、今はもう涙のようにひとひらを重ねながら剥がれ落ちてゆく頃合いかと存じます。過ぎ去る春を惜しむにはあまりに貧しい塒ではございますが、このうらさみしい穏やかさだけでも、素肌の体温が移るように貴方と重ね合わせることができたならば、これ以上のよろこびはありません。
お手紙、拝見いたしました。封筒の中には、まるで分厚いひとつの鏡があったようでした。貴方の心を正確に映し取ったそれは、返す屈折で分厚い外套の裏へと密やかに仕舞ってあった私の生臭い贓物の一部である本心を、思わぬ角度から探し当ててしまったようでした。
今から書き出すことは、ひとつとして嘘偽りのない、私の真情であることを先に断っておきます。生のままでは本来ならとても食えたものではない、私の皮膚の下の赤黒い無様な器官なのです。
目も当てられぬ醜悪を、そうと知りながら晒す私の、貴方の肌へと素手で触れて憚らないようなこの厚かましさを、どうぞご容赦ください。
私が貴方に差し出せるものは、もはやこの誠意を差し置いて他にはないのですから。 - 59二次元好きの匿名さん26/06/04 00:30:03
つ、続きが気になりすぎる…この日車の語彙でどんな恋文が綴られるんだろう…
- 60二次元好きの匿名さん26/06/04 01:08:08
日車の文章って明治の文豪風だけどけどなんとなく平安時代の恋文みたいだなって思う
文の美しさだけで顔も知らない相手と恋愛するのってピンとこなかったけどこんな感じかと考えさせられる - 61二次元好きの匿名さん26/06/04 07:35:46
保守
- 62二次元好きの匿名さん26/06/04 09:46:28
いかんニヤニヤが止まらん。投稿主の語彙力やばくない?日車寛見と虎杖悠仁という人間性をあまりにも理解しすぎている。ノンフィクションと言っても過言ではない
- 63二次元好きの匿名さん26/06/04 10:42:46
作者は文豪
- 64二次元好きの匿名さん26/06/04 14:38:11
スレ主は夏目漱石の生まれ変わり(確信)
- 65二次元好きの匿名さん26/06/04 22:20:38
ドキがムネムネしております。
- 66返信26/06/04 23:20:53
貴方の中に、何か覗き込んでも底の見えない古井戸のように不明のうろを私が見つけたのは、私の自意識が把握しているよりも、きっと早いのでしょう。
私は固より公私の比重が極端に偏った男でありました。神経にまで喪服のように黒いスーツを硬く着込んだ詰まらない男でした。
つまり、私という個人を指すとき、それはほとんど弁護士という職業の男をひとり示すのと、まるでその意味に大差はありませんでした。
仕事のために生きてきたなどと大それたことを今更申し上げるつもりはありませんが、事実として、私の人生はその大半が仕事でした。
いや、人生そのものを弁護士という、ある種、区切りや折り返しとは無縁のいつまでも往路しかないマラソンコースのような業務に適合させるため、努めて拵えてきたと言うべきか。
そのために使用する神経回路が、いつか私の脳にプラグを挿して、プログラムに適した信号を送るように最適化されたのです。
依頼者と対面で話しながら、常に、その精神にかかった暗号キーを探るのは職業病のようなものであります。
弁護士は皆そうだと思いますが、まずは心を開いてもらわなければ、できることもできない。だから私自身も知らず知らずのうち、埃を被ってもはや骨董品であったそんな回路が久方ぶりに起動して、自然と不自然とを照合するように、貴方の秘密を嗅ぎ分けてしまったのでしょう。
しかし本当はそれより前に、既に予想できていたのです。
ただ見ないふりをしていた。もうずっと前から。それもこれも、抜き身の真実が持つ、押し潰してくるように弾圧的で、問答無用に絶大なその力を心のどこかで恐れていたからです。
先日、私はそこに骨壺があると知りながら、強引に掘り返して外気に晒し上げる墓荒らしのように不躾な真似を仕出かし、貴方の秘密をとうとう引き摺り出してしまいました。
貴方の心に背くと知りながら、血管に流されたガソリンに火花が散ったように、私はひととき我を忘れた。私は高揚とともに清々しく足を踏み外すようなあの衝動に対して、未だに貴方への愛以外の言い分を持てずにいます。
しかし、貴方への愛を私の乱行の免罪符にするつもりは、無論ございません。そのため、言い訳を持たない裸身の謝罪を、まずはこの手紙の第一義にしたいと願います。 - 67返信26/06/04 23:25:01
いっそここで、貴方の秘密と私の将来とに区切りをつけて、残りの余白は愛を綴るだけの、生ぬるく腐り落ちてゆくような甘い懶惰で埋めることができれば、どれだけ幸福でしょう。
私たちには未来も過去もなく、今だけであれば、希望の裏面にひそむ絶望や、愛の足元で風通しよくその大口を空ける奈落に捕まるいつかを憂うこともなく、晴れ晴れと、ただ貴方を想うことだけに専念できたのに。
私は貴方を愛しています。
もう改めて書くこともなく、ご存じのとおりでしょう。しかし、愛だけでは、もはや我々の日常は自転しないことも、同時に私たちは知ってしまったのです。
見ないふりをしていたこと、この際だから申し上げますが、実のところ私にはもうひとつ、目を背けていた厳粛な事実があります。
それは見る人の目を選んで表情を変えるように心許ないまやかしではありません。硬質に腰を立てた噛み切れない物静かな真実です。
しかし私はそれに気づいていなかった。
いや、私ですら把握していなかったブラックボックスに匿われていた血の通わない客観性は、恐らくは森閑としてすべてを見通していたはずだ。そいつが私の心に見えないブレーキを踏んでいた。
これはヒューマンエラーに対する、ある種のカウンター的セーフティのようなもので、私の精神の脆弱性を無意識が的確に撃ち抜いてしまった故でしょう。
ですが、もう気づいていないふりをする必要もないので申し上げますが、私が貴方宛てに書き送った手紙の数々は、最初の一枚からすべて、どうやらラブレターというものに当たるらしい。無論、これもです。
貴方への愛に無自覚のときでさえ、私は貴方を思う存分愛していたということになります。
日下部に呆れられるのも道理です。
過去の私は、貴方への愛情に無自覚で、どう日々を生きていたのか。この三畳の室にさえ、貴方の面影が点在し、それだけが私に人間らしい機微を保たせる生活だというのに。 - 68返信26/06/04 23:29:04
いつの間にかそこにあって、あまりに自然に、私という男の性質に馴染んでいたからか、いや、貴方への愛情が私という皮膚を被った人間性の骨組みを、一から組み立て直してしまったのか。
どこにあっても目に入る当然の景色を、ひとは却って正しく認識し難いものです。近すぎるせいで焦点が合わない。それと同じで、いつでも私の視界には、貴方への愛情の念が陽炎のように輪郭を日常に溶かし込みながら、脈打っていました。
これが私の、この三年における唯一の真実です。
だから貴方の仰る子ども扱いも、正しくはそういうことなのでしょう。
私はこの三年間、祈るだけが真情の恋にのめり込んでいたものですから。きっと貴方を子ども扱いしたのではなく、ただ恋した相手への当然として、貴方そのものを内ポケットへと仕舞うように尊んでいただけに過ぎないのです。
それを貴方の、無垢で皮膚の内側の美しい世界まで見通せそうなほどに澄んだ瞳で濾過してみれば、あるいは私の下心にも、それなりの恰好がついて見えただけのことでしょう。
本当の私はただ、必死であっただけです。
好きだからこそ、貴方にはいつでも健やかに過ごしてほしかった。けれども、好きだからこそ、清潔な無私の祈りには程遠く、その健やかな生活の手助けをするのは私が良かった。
貴方が私に見せてくれる傷は、深ければ深いほどにうれしい。それらを癒す手立ては私が良い。どうか便利に使って、貴方の人生に役立てて。私は貴方の生活における、替えの効かない必需品となりたい。
人生における峻険な悪路を歩む先の杖のように頑丈なその自立心が、ぬるま湯にふやけてひとりでは立っていられなくなるほどに、骨まで甘やかしてしまいたかった。
しかし、ひとの心の鍵穴に合う鍵の形を敏感に察知できる鋭い感覚を持った貴方にでさえ、隠し通せていたのだから、私はこれら裸足の獣を、思うより上手く飼い馴らせていたのでしょうか。
だとしたなら、貴方より21も年嵩の大人である甲斐がありました。 - 69返信26/06/04 23:31:32
私の刑期は六年…満了まで後三年。
今はこの三年が人生のすべてより長く、揺り籠から墓場までの距離より遠く感じられます。
自分から望んで入った檻であるにもかかわらず、貴方の人生から今しも切り離されて漂流しかねない三畳の粗末な小舟のようにさえ、近頃は思えてきてならない。
今、貴方を抱きしめられないのが、こんなにも歯痒く、小さな机に齧り付いて手を動かすほか、貴方への愛を実現する手立てがないこの身が酷くもどかしい。
罪を雪がなければ、とても貴方の傍にはいられない。けれども傍にいられなければ、貴方の人生に私が介在して、使い勝手の良い小道具ほどにさえ、触れてもらうことも叶わないのでしょう。緞帳の裏でずっと埃を被ったままだ。
しかし復路を自力で歩かずして、それが正しく罪を雪いだと言えるのか。この残り三年の置き所をどうにも見つけられないまま、近頃は腕に抱えてオロオロと立ち往生しているようでした。 - 70返信26/06/04 23:46:18
仮釈放の打診については、先日の面会でお話しした通りなのですが、この度、一応の決着をみせたため、改めてご報告いたします。
模範的というよりかは、もはや力なく右足の次に左足を出して、粛々と歩んでいるだけの私でしたが、この生活における従順とは、きっとそういうことだったのでしょう。
どの辻を辿っても、結局は見覚えのある場所へと戻ってくるように、思考の方向感覚を失くすほど、私は暫く遅々として思い悩み、煩悶の泥沼に沈み込んでいた。
しかし、貴方との面会から日を置かずして設けられた複数回の面談にて、やっとこの身の振り方を定めました。
数字が高い方が勝ち
日車は仮釈放を、
受け入れる
両思い自覚・不老発覚補正50+dice1d100=84 (84)
拒絶する
dice1d100=11 (11)
- 71二次元好きの匿名さん26/06/04 23:48:53
きた!!
スタートダッシュキメて虎杖を抱きしめてくれ!! - 72二次元好きの匿名さん26/06/04 23:51:32
拒絶値低っっダイスの神がものっそいゴーサインを出してるぞ!
- 73二次元好きの匿名さん26/06/04 23:51:50
補正いらないレベルで差がすんごい
めちゃくちゃ正直な🎲だ - 74二次元好きの匿名さん26/06/04 23:58:04
🎲「え?ここで自分の出番ですか?まぁ一応振れって言われたし振りますけど…でも早くナマの日虎見たいしなぁ…1桁ならやりすぎか?じゃあ2桁にしとくか…11っと…」
- 75二次元好きの匿名さん26/06/05 00:48:26
よっしゃよっしゃよっしゃ今回ばかりは空気読んだなダイス、ナイスダイス!
いやしかし毎度のことだが重いのが最高。そういう次元の話じゃないって分かってるけど最高としか言えない。 - 76二次元好きの匿名さん26/06/05 02:05:50
>どうか便利に使って、貴方の人生に役立てて。
ここ……あまりの衝撃に脳髄撃ち抜かれて突っ伏してしまった
このフレーズを、愛する人に宛てて己の扱いを要望する男の言葉として用いるセンスよ
翻って、これが日車寛見から虎杖悠仁への言葉であることの、なんという破壊力か
道具視にしては可憐 献身というには淫靡
- 77二次元好きの匿名さん26/06/05 07:33:14
保守
- 78二次元好きの匿名さん26/06/05 13:04:54
今すぐにでも虎杖の支えになりたいだろうね
過去イチ熱烈なラブレターだった - 79二次元好きの匿名さん26/06/05 13:47:53
まあここで動かなきゃ男じゃないよなぁ!!!!
まっすぐ虎杖の下へ向かってくれ!!! - 80二次元好きの匿名さん26/06/05 21:35:07
すげえものを読ませていただいている 感謝…
- 81二次元好きの匿名さん26/06/06 02:05:14
ほしゅ
- 82二次元好きの匿名さん26/06/06 09:40:47
ほしゅ
- 83二次元好きの匿名さん26/06/06 17:04:17
保守
- 84二次元好きの匿名さん26/06/06 23:52:20
保守
- 85返信26/06/07 01:20:47
私は仮釈放の判断を、受け入れることとしました。
檻に入ったのは私の意地で、檻から出るのもまた私のエゴであるならば、そのふたつに何の違いがありましょうか。
三年前から依然として不寛容な親のように厳粛な態度で、現実は私たちを圧迫しており、檻の外の理論がその解釈を軟化させることはないのです。ただ、私がひとりで右往左往と、精神を足のように縺れさせながら踊っていたに過ぎず、場所を変えただけで…、私の頸に括りつけられた縄が一本減っただけで、その苦しみから解放されるわけでもありません。
では、何故私は、方々に迷惑を掛け、老いた時間を費やしてまで叶えた当初の望みを反故にし、刑期半ばで粛々としたこの歩みの道から降りることを良しとしたのか。
無論、貴方を言い訳にする気はございません。
貴方への愛を動機として挙げることも、貴方そのものを言い訳に使う浅薄と大差ない。
エゴであります。私の我儘です。肥大化した自我です。弁護士としての硬質なスーツを脱いで、人間としての表皮を失ったように煮崩れた私に鞭を打ったのは、僅かに残った冷たい芯のようなその意地でした。
一方的に法の世界に見切りをつけ、後ろ足で砂を掛けるように最も見苦しいやり方で現実のちゃぶ台を返して台無しにしたくせに、結局、私には法しかなく、自分の足で退場した舞台に自分の意志で舞い戻り、介錯を望んだ。
この三年はすべて私の我儘でした。そして今、一方的な身勝手のために、再び途中退出を望みます。
私に関係してくださった皆様もその多くが呆れてしまうことでしょう。軽蔑も致し方なしの独善と存じます。
けれども私は、自分の意地とか矜持とか、この三畳の質素な世界の中で最後に残ったそれら財産をすべて投げうってでも、貴方に逢いたい。
何ものにも遮られることなく、束の間、余命分だけ時間をかけて刻みながら縊るような現実の圧迫さえも振り切り、ただ貴方に触れてみたい。
どうぞ貴方の仰る通り、ここから出たならば一番初めにお逢いしてください。
そしてどうか、貴方の頬へと出し抜けに手を添えてみることをお許しください。最も皮膚の薄いところで、私は貴方の血潮の生あたたかさを感じたいのです。 - 86返信26/06/07 01:23:52
外的な作用が加わってつい、たたらを踏んでしまったような、ほんの弾みに精神の表面張力を破って飛び散った代謝の跡だったとしても、貴方の素朴な本音が久方ぶりに、頑丈な鍵のかかった皮膚の下の塒から這い出て、その顔を見せてくれたこと、とてもうれしく思います。
貴方の本心は美しい。
裸の生々しさや黄色い脂肪の煩わしさなどまるでない世界で、生きるだけで浅知恵に汚れてゆく人間の罪悪を貴方だけは知らないようだ。
けれども、叶うならば、私は貴方に際限なく望んでほしく存じます。足るを知らない人間の土台を組み立てた、古い設計図のような欲求を、私に見せてほしい。夢見る心に現実の折り合いなぞ、知らなくていい。
貴方が拾った望みは実に控えめで、海があんまり広くて途方もないから、足元の水を掌で掬える分だけとりあえず掬ってみせて、これがすべてだと言うようなものだ。
それは、手に入らないものを最初から欲しがらない、実に理性的な人間の聡明さの体現ですが、語弊を恐れず申し上げるならば、貴方には私の前で身も世もなく泣いてほしいのです。貴方の身に降りかかった数多くの難事について、仕方のない順当な苦艱など、何ひとつとしてなかった。その日出会うもののためにその日の命を使い、明日を知らず昨日を望まず、今だけを懸命に繋いで今日へとこぎつけた貴方に、一体どのような落ち度があるというのか。
しょうがないなどと、どうか言わないでほしい。私は諦めていない。貴方に纒わりつく色も形も揃わない峻険で紊乱でしぶとい極彩色の運命の、それがどんなに大がかりだとして、こちらから落としどころを見つけてやる義理がどこにあるのでしょうか。
だからどうか、貴方にも、貴方自身の人生を構成する、原子未満の粒に満たない色彩ひとつ、感傷ひとつ、涙ひとつでさえ、諦めて手放すなど、しないでほしい。
大変な我儘を申し上げますが、どうかご容赦ください。例え貴方の腑に詰め込まれる倦怠と疲弊とが、叢雲のように息もできない分厚さまで育つとしても、憤ってほしいし泣いてほしいし、望んでほしい。私はそのためだけに死んだって、悔いはないのだから。 - 87返信26/06/07 01:28:10
長々とつまらぬことを書き送りましたが、この一封に畳まれた私の心の写物において、最も強調しておくべき一節というものがあるとするならば、それはやはり、私は結局のところ自身のエゴを選び、貴方を巻き込もうとしているというこの罪悪についてでしょう。
私はただ、私の胸を膨らませる重要な贓物のひとつである貴方への愛が、貴方の人生において何にも役に立たず、無関係に散ってゆく徒花と終わることを恐れているだけなのです。貴方のために生き残ったのだと、どうか思わせてくれませんか。
貴方の周りには大勢の人間が居て、貴方は望んでも中々ひとりにはなれないでしょう。私もその末席にしがみ付いております。できることなら、人間自然の理に逆らってでも踏ん張り続けたいものです。
貴方の身の裡で逆巻いた歓迎されざる変革を抜きにしても、貴方より先に私が死ぬのは必定で、その上、貴方の仲間内での年功序列を考慮すれば、恐らくは私が列の先頭でしょう。
貴方は成長する一方ですが、私は老いる一方で、その差異はわかりやすく彼我の断絶を押し広げ、いずれ皮相さえも騙せなくなる。 - 88返信26/06/07 01:29:13
今からでも、貴方を残して逝くことが前世で既に見知ってしまった近しい悪夢であるかのように、克明に恐ろしい。しかし、私が長く不在にする人生において、人を救うことで救われ、何だかんだと縁が絶えず試練の先の幸福を勝ち取ってみせる貴方の未来もまた、夢よりもよほど具象性と立体感をもって、地平線よりも遠いところで柔く光っているようです。
貴方の幸福が、私が欠けた程度で翳ってしまうほどにはかなく無力な一過性の麻酔であって良いはずがない。けれども、図々しくも正直が美徳として幅を利かせる一般論に便乗して白状すれば、私は、私の退場した人生の先で、知らない者と知る由もない幸福に苦悩をほぐされる貴方を思えば、身勝手にも遣る瀬無くなるのです。貴方の過去として薄まりたくなどないのだ。
だから私は、勝手に突破口を探すでしょう。
貴方はそれに、自分のことだからと根気強く付き合ってくださるおつもりかもしれませんが、肥大化したエゴに螺子を巻かれ、止まれないから右往左往と見苦しく足掻いているだけなので、どうかお構いなく。私が勝手にすることで、貴方が重荷に感じる必要は何もございません。
ただ、自分自身の心を諦めないでいてさえくれるならば、それ以上、私が貴方に望むところはございません。貴方は貴方というだけで、完璧な人なのですから。 - 89返信26/06/07 01:32:04
今はただ、骨の髄まで冴え冴えとして、貴方の輪郭をただなぞってゆくように思考は滑らかです。見定めた道が自分の精神にやっと同化して、神経に一本の芯がピンと通ったように。
普段、貴方宛てに手紙を書き送る場合は、底の方に澱を溜めた私という古椀をまずひっくり返して根こそぎ吐き出し、後は、比較的エグみの少ない綺麗なうわべだけを掬い取るように文面を整えています。ですが今回は、その工程を省いて、思うさまに私の中身を書き出してみました。
読むに堪えない吐瀉物だと思えば捨ててしまって構いません。開き直りと言えばそれまでですが、肩の凝る荷物を漸く下したような、そういう奇妙な清々しささえ今は感じられるのです。
出所の日時が具体的に決まりましたなら、またお手紙をお送りします。気力と時間が余っており、また、それ以外にやることもなければ、ご返事ください。けれども、お忙しいようならこの一通を以て、私たちの文通に緞帳を下ろしてやってください。
どのみち、私はこの三畳と三年を古い手紙にするように畳み込んで過去へと仕舞い、貴方のもとへと帰るのだから。
敬具
追伸
同居のお誘い、謹んでお受けいたします。出所後には、新居に必要なものをふたりで見に行きましょう。 - 90二次元好きの匿名さん26/06/07 01:58:38
滔々と綴られる文章に頷きながら読んでたんだけど最後の二行でにっこりしちゃった
- 91二次元好きの匿名さん26/06/07 02:06:41
まさに万感の思いで読んでしまった
日車よく伝えた、かっこいいぞ…… - 92二次元好きの匿名さん26/06/07 04:54:28
あかん泣きそう…
スレ主の書く日車はさ、モジュ杖スレの時もそうだったけど一貫して虎杖の幸いのために死力を尽くすって宣言してくれるところが本当に好きで…自分の愛をもって虎杖と虎杖の未来を守らんとする姿勢がいじらしくて尊いんだよ
あの時はノンブレスで必死に愛を語ってた印象があって切羽詰まった感じが好きだったし最高峰だと思ってたけど、手紙って形式はずるいわ…知性と葛藤と愛が余すことなく伝えられてる
その本当にありがとう…
他スレの話だし、あかんかったら消してくれ - 93二次元好きの匿名さん26/06/07 10:13:59
保守
- 94二次元好きの匿名さん26/06/07 13:08:27
上手く言葉にできないけど素晴らしかった…
- 95二次元好きの匿名さん26/06/07 21:51:38
保守
- 96二次元好きの匿名さん26/06/07 21:57:34
無料で読むのが申し訳ないくらいには物凄く好きな日虎杖です。
- 97二次元好きの匿名さん26/06/08 00:19:23
続きが気に成って何度も覗きに来てしまう
- 98二次元好きの匿名さん26/06/08 07:10:51
ほしゅ
- 99二次元好きの匿名さん26/06/08 13:52:28
2人にはあたたかな春を迎えてほしい
- 100二次元好きの匿名さん26/06/08 22:08:11
保守
- 101126/06/08 22:29:20
春が過ぎた。
昼間の刑務所は黒い柵を端まで畳み門を広く開け放しているからか、銘板がないと、ともすれば建てた後で特に使い道のないことに気づいて持て余す平成初期の箱物のようにさえ思われた。
守衛が駐在するボックスが片足をはみ出させている舗道には、街路樹が縷々として立ち並び、その緑が美しかった。
青年はその一本に左肩を擦り付けるようにして凭れかかり、傾いた古時計のように物静かに凝然と、その刑務所を見上げている。
初夏に洗われたかの如く清潔な日差しが、美しい葉脈の緑を透かせながら右肩に降り落ちていた。
「…………────日車!」
青年は今起きたみたく街路樹から肩を離すと、突然に声を張り上げた。若者の何ものをも跳ねのけるようなそのハリのある声は、初夏の空に高く飛んだ。
スグサマにでも駆け寄りたげに前のめりとなって出した右足へと、一点の力を込めてにじり寄らせたように見えたが、彼がその若い力で刑務所の敷居を突破する寸前、正面玄関から門へと続くアスファルトの道を荷物少なに歩いてくる男が、右手を顔の前に掲げた。それで青年は、逡巡の小さなブレーキのためにつま先で所在ない小さな空振りをして、代わりに今度は両手を高く振ったのだった。
「日車、おかえり!」
「…………ああ、ただいま」 - 102126/06/08 22:35:33
刑務所の敷居を跨いだ男は、あらゆる言葉に相応しさを見いだせず、沈むような無言で唇を躊躇わせたのち、問うでもないふうに物静かに吐息を零した。
「…………来てくれたんだな」
「早く会いたかったから」
「……暑かったろう。どのみち、俺は今から高専だ」
「でも、一番に会おうって約束したじゃん。俺たち」
「……、…………ああ、」
「そうだったな」と、ともすれば眠りに落ちる寸前のように、安楽な穏やかさで微笑にほぐれた眼差しが、生あたたかく虎杖の輪郭を撫でて何だかくすぐったかった。
本当は言いたいことがたくさんあって、昨日のうち、それらの序列を整えて自分なりに言葉を用意してきたのに、段取りも含んでいたそんな祝辞の挨拶を、虎杖は心の抽斗のどこに仕舞ったか今の一瞬で忘れてしまった。そういう細々とした準備の努力が目の前の眩しい現実に押し流されてしまったのだ。
刑期明けとはそもそもそういうものなのだが、日車に触れるどころか話すことさえ、知らない人間の許可が必要だった昨日とは違って、今日になると途端に日車がこんなふうな無防備さで路上へと突っ立って、虎杖と何気ない言葉を交わしていることに、関心を持つ者などいなくなっていた。当然と言えば当然のその理屈を、常識未満の道理として動揺の余地なく前提へとストックしている自分自身と、打って変わった無制限の自由に当人を差し置いて、世界ごと変わってしまったみたく戸惑っている自分自身が、虎杖の中で闘争しており、きっと素直な感動はその調和を胎にして後から生まれてくるものなのだろう。
何が溢れる寸前なのかもわからない表面張力が、ギリギリのところで保たれている気配だけは確かにあった。
「……やっぱ、坊主けっこう似合ってんね、日車」
言ったとしても娑婆に馴染んで三日目くらいに出てくる類の言葉じゃないのかと自分でも思うが、何故か、深い感動に間髪入れずのめり込んでゆく勇気が持てなくて……、今しばらくこの穏やかさに浸っていたくて、安直にそう笑いかけてしまったのだ。 - 103126/06/08 22:40:29
「四十の男がどんな髪型をしていようと、そう気に留められるものではないだろう」
日車は肩を竦めて、間合いを測るような、虎杖の率直ではないそんな揶揄いの言葉に、皮肉気とも、安易に拗ねてるとも取れるちょっと子どもっぽい声で手ぬるい脱力を滲ませた。単純に、照れてるだけかもしれない。虎杖としてはそっちの方が可愛いので、そう思うことにした。
「ええ~、……せっかく男前なのにさあ」
そう言ったのは、ちょっと調子に乗ってみたら、甘く小突いてくれるかもしれないという、凭れかかるような期待からだった。
しかし、日車はやにわにスッと、冴えた切れ込みを入れるように目を細めて視線を虎杖の胸から顔にかけてなだらかに辿らせ、そしておもむろにその手を頬へと添わせた。話している最中にリラックスして自分のポケットに突っ込むくらい、その分厚い掌の運びは自然だったから、虎杖は却って受容にほぐれた体勢も取れず、少女のように固まった。
「……君は、ますます端正になったな」
「ちょっと前に会っただろ」とか、「男に何言ってんの」とか、そういう場の空気の綱引きを楽しむ換気の一言が喉奥に引っ掛かるどころか、一瞬だけでもパッと脳みその小さな部屋に点灯することすらなかった時点で、決着はついていた。
薄い皮膚に潜む血潮の脈を感じるほどジンと熱い日車の指先が、虎杖の目のすぐ下の頬骨をいたわるようになぞった。
「なに、……か、わってねえだろ、ンな、急に……」
「そうだな、君が美しいのは前からだ」
「、ッ……」
照れるところであるのに、何故か無性に声を上げて泣きたくなった。それは理由のない巨大な発作のようなもので、虎杖の搔き集めた虚勢やら強がりやらに包まれた柔らかい裸を見通す、やさしい理知の潤みが熱っぽくしたたった眼差しに、あらゆる葛藤が根こそぎ焼け落ちてしまう。 - 104126/06/08 22:45:47
「────日車……っ」
気づいたときには虎杖は、頭からぶつかりに行くように日車の胸へと潜り込んで抱き着いていた。
世界の中で安心が日車の懐にしかないとでもいうような衝動性の確信に突き飛ばされたみたいだった。
硬く、層のできあがっている感じのする、背骨の所在がありありとわかる力強い背中にしがみつきながらも、どんなにくっついたって、もうこれで十分とは思えない。
ふたりの抱擁に潰される空気の粒さえ憎らしかった。
「……アンタの人生、本当に全部、俺にくれんの?」
しがみついている布地が妙に生ぬるく、徐々に染みつくように冷たくなった。
泣いていないのに、しゃくり上げるような上ずった声で語尾を甘く引き摺ってねだるのが我ながらわかりやすく、自分の皮膚の下に潜むいくつかに分割された小さな自分自身のひとりが、こんなときでさえ妙に大人ぶって正気を捨てきれていないから、気恥ずかしさに火照るようだ。
……泣いてないのに? それこそ、顔を上げるまではわからない、自意識のためのその場しのぎの思い込みかもしれない。でも、どのみち顔を上げるつもりなんて、このときばかりは死ぬまでなかったから、どちらでも構わなかった。
もう十分、我慢したのだから。 - 105126/06/08 22:55:40
日車の冬めいて幹のように重く寡黙な腕が、虎杖の背をズルリと這い上がった。
魂と肉体のどちらをも自分に縛り付け、剥がれ落ちることのなきよう、グッと癒着させるみたく厳重に虎杖の身体を抱き留める。そして、耳筋にキスでもするような忍んだ距離まで顔を寄せて唇をくっつけ、囁いた。
「…………俺の人生なぞ、本当はもう随分と前から、ずっと君のものだった」
それは指先で耳たぶを甘く擦りつけられたのかと思うくらい、明らかな生のよろこびにあたためられた湧き水のような愛情のため、柔らかく潤んだ声だった。
その瞬間、虎杖は心臓の裏側へ未だ僅かにこびりついていた虚勢の曇りが、一気に押し流されて晴れた空が見えたような気さえした。それは長い雨にいくつかのものを失った後、思いがけず叢雲の厚化粧が割れた清々しさによく似ていた。予告なく訪れた感動というよりも、自分自身の中にもとからあった思いのようだった。
三年前に期せず落としていた自分の一部に意想外に再会し、このときになって改めて失くしていたことを知った、それは瑞々しい納得である。この三年は日車だけのものではなく、自分自身も同じ長さの年月を同じものへと捧げていたのだと、このときになって初めて青年は気づいた。
三年ものあいだ途切れさせなかった、切り分けた血肉を糧に育てるように痛切なその双方の努力が、愛情の報酬として何ひとつ欠けることなく今、返ってきたのだ。
肉体の芯から染み出してくる熱く焼けるような名前の知らない感慨を、一滴でさえ逃したくなくて、虎杖はきつく目を瞑った。
死ななくて良かったと、日車が生きていてうれしいと、無性に吐き出してしまいたかった。
今ならば、あれほど死にたがっていた日車へ、深い泥沼の底にあるものを気にして覗き込むような霧中の恐れなど抱くことなく、他の含みも知らないままで、ただ素朴に彼の生きているよろこびを伝えてもいいのだと、やっと、そう思えたのだ。
日々を無情の力で廻転させる運命の強制的な作用さえ、ほんの少しだけ緩まってくれたような人生への思いが、虎杖の胸を茫々と流れた。
(おしまい) - 106二次元好きの匿名さん26/06/08 23:08:40
(スタンディングオベーション)
よかったな日車も虎杖も…!
スレ主の文豪力がすごすぎて刑務所前の温度感とか幸せの空気までありありと浮かぶぜ
狭い面会室と紙の上だけで話が進んでいたのにずっと波乱万丈でドキドキさせられました!
でも最後は幸せになったんだね…良かったね…そうかもうずっと前からお互いの人生がお互いのものになってたんだね…
素敵なお話をありがとうございましたスレ主さん!!! - 107二次元好きの匿名さん26/06/08 23:31:10
二人が同じところに立ってこれから一緒に歩いて行けるのが…とうとうエンディングで…あの…
本当に語彙が見つからないほど良くってぇ!
幸せになれというかもっと足掻いて虎杖をハッピーエンドに連れてってくれ日車とか色々言いたくってぇ!
ありがとうございました
(スタンディングオベーション) - 108二次元好きの匿名さん26/06/09 00:22:32
最初に会ってって虎杖お前…迎えに行ったのかよ(号泣)
ありがとう、本当にありがとう…お互いがお互いを支えに生きてほしいと心から願ってる!!おめでとう!!
(守衛もスタンディングオベーション) - 109二次元好きの匿名さん26/06/09 00:31:54
ちょっとまって
今、ぜんぶ最初から読み返してくるから
涙が止まったら 1からぜんぶ
今こそ 涙が じゃまで くそ 拭っても拭っても出てくる - 110二次元好きの匿名さん26/06/09 07:47:36
お疲れ様でした
物語に感極まり、稀に見る綺麗な言葉遣いに脳が幸せになる
そんな時間を毎度感じておりました
本当にありがとうございます - 111二次元好きの匿名さん26/06/09 08:55:35
ほ、本にしませんか!?せめて別サイトにまとめるとか…!振込先も書き忘れてますよ!!
こんな場末の掲示板にだけ掲載は勿体ない神作!!! - 112二次元好きの匿名さん26/06/09 09:04:19
ありがとうスレ主
マジでありがとう - 113二次元好きの匿名さん26/06/09 16:08:30
保守
- 114126/06/09 19:30:25
まだスレ残ってたので落ちるかこのスレ消費し切るかするまでボチボチ続けます。
おまけ安価>>116
1 改めてツーショを撮る話
2 今までの手紙をとってたのが日車にバレる話
3 新居の買い出しに行く話
4 また日下部が変な絡まれ方されてる話
- 115二次元好きの匿名さん26/06/09 19:32:27
>また日下部が変な絡まれ方されてる話
本当に草4で
- 116二次元好きの匿名さん26/06/09 19:33:52
安価!?
4444 - 117二次元好きの匿名さん26/06/09 19:35:36
アツヤ、いつもありがとう
- 118二次元好きの匿名さん26/06/09 19:59:03
全部読みたい
- 119後日26/06/09 23:37:33
ドシン、と目の前のソファに誰かが座った。
日下部はそれが誰なのか、わざわざ目線を上げて確認する前からかわかっていた──廊下からやってきた人間が、三秒も見なければそのうちに忘れるほどには無難なネクタイを締めている、いつでも葬式帰りみたいに辛気臭い男であることは、その胸から下が視界の奥で見切れながら背景を動いていったので流石に気づいていた──が、意地でも顔を上げなかった。単純に面倒くさいからだ。
あくまで報告書に目を通している体裁を保とうとしている。虫のように無感動な目つきをして、無表情というにもだいぶ虚無的な、中身が張りぼてなのは叩いて確かめるまでもない乾燥した置物の風情であった。
日下部は「用がないならはやく出ていってくれないかな…」と、脳みその前の方から徐々に重たくなって、そのまま腐った泥へと溶けてゆくような分厚い倦怠を感じながら、面倒ごとがなだらかな目の前の坂をゆっ…くりと下ってゆき、見えなくなるのをただ眺めながらやり過ごすことにした。積極的に働きかけようとすれば、それはそれで違う坂から知らない億劫が顔を出してきて、本当に面倒くさいからだ。
足の短い卓子を挟んで真正面に座った男が、背凭れからその背を離した。日下部はまだ、顔を上げない。
「────虎杖と付き合うことになった」
「、…………ハァーーー」
暴力よりも魔法的な効力を持つ、この一発のために研ぎ澄まされてきたような満を持した一言が、日下部の念入りに塗り固めていた鉄壁の無視を、容易く打ち破った。
それで日下部はしょうがないから、「ほんっと嫌、お前」と、打って変わって心置きなく悪態をつきながら、顔を放るようにその首をだらしなく伸ばして後頭部をずっしりと寝かせ、天井を振り仰いだ。反応してしまったので、もう負けである。腹を括る他ない。
手にしていた書類ごと投げ出すようにして、撚れた紙屑みたいな体勢のまま腕を背凭れの後ろへと落とした。もう破れかぶれであった。本音を言えば、誰か今すぐここから連れ出してほしい。
「わざわざ報告しに来んな、マジで。ンなことは、アイツがお前の身元を引き受けた時点で、わかりきってんだからさァ……、……」 - 120二次元好きの匿名さん26/06/10 00:04:05
申し訳ないけどアツヤは貧乏くじ引かされてる時が一番旨み出てる
ありがとう - 121二次元好きの匿名さん26/06/10 00:11:40
アツヤノルマ達成
- 122二次元好きの匿名さん26/06/10 00:30:19
- 123二次元好きの匿名さん26/06/10 00:48:36
続いてくれてありがとう・・・
安価で外れた内容もきっとこの2人にあった出来事なんだなぁと思ってすごく心が温まっている、アツヤはどんまい、そこでしばらく迷惑を被っててな - 124二次元好きの匿名さん26/06/10 08:32:33
全力保守
- 125二次元好きの匿名さん26/06/10 10:43:39
続くの嬉しすぎる
早速餌食にかかるアツヤ楽しすぎる - 126二次元好きの匿名さん26/06/10 15:32:49
報告相談感謝どういう体裁でもいいから日車の口から年の差同棲生活の話聞きたい
アツヤは多分結構マジで聞きたくないだろうけど諦めてくれ - 127後日26/06/10 22:31:39
「ふむ、まあ、そう言うだろうな。君は」
日車は自分から持ち込んできた話題のくせに熱量のない声で、ポケットに入っていたもので揃えた有り合わせのような相槌をいけしゃあしゃあと返した。
見る人によっては微妙にイラつく何処かとぼけた中年の無防御な顔つきをしている。そして日下部は、その〝見る人〟のうちのひとりであった。
目鼻の置く場所を三秒で決めたような気合のない二軍の面構えだ。畏まっていない中年にはいつでも何処かだらしない所帯臭さが滲むものだが、とりわけこの年代に差し掛かった男は基本的に公共の場では外面を丹念に塗り固めておくのが社会のマナーであり、往々にして剥がれ落ちた塗装の下から覗く地金は、黄ばんだ生活感の肌色をしていて見苦しいものだ。
そこに乾燥した無骨な色気を見出す好き者もいるにはいるが、そのように奇特な約一名は現在欠席しており、概ね見えないものは見えない。
それに付け加えて、改めて言葉にするほどのことではないが、このふたりは出会った当初から人格が既にできあがっていたいい大人同士で、互いのパーソナリティに死ぬほど興味がないので、ちょっとずつ扱いが雑であった。
日下部は「じゃあ言うなよ、わざわざ」と言いたげに、しかしそのまま吐き捨てるよりも余程直接的な尖った視線を無言で日車へと差し向ける。
何だかんだ人付き合いがいいのが、この男の無自覚な弱点なのだ。貧乏くじを引かされがちであることを嘆いておきながら、このように所々で、自分から引きに行っている節があった。
「だがな、流石に礼くらいは言っておくべきだと思ってな」
仕切り直しの段落も設けず、事も無げに日車はそう続けた。
「アンタに礼を言われるようなこた、俺は何も──、」
「助力してくれたんだろう。あの子が、俺の身元引受人になれるよう」
「、…………」
そのときの日下部は本当に見もので、辞書で〝嫌そう〟と調べると、親切な図解として頁の最後へと掲載されていそうなくらい見事な表情へと、クシャッと紙を握りしめたときのように一瞬で移行し、日車は小規模な笑いが発作的に頬の裏側で発生したのを急いで噛み殺した。
ここで笑ってしまえば流石に仕切り直せなくなるからだ。この男の面の皮は妙に厚かった。